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2011年11月 7日 (月)

大王・オリンパス事件の視点-春日電機事件を忘れてませんか?

この時期となりますと、日曜日は嫁さんと大和古寺巡りが恒例なのでありますが、今年は日曜日も仕事(涙)でして、少し疲れ気味です。日曜日の深夜というと、ときどき日経の独占スクープネタが楽しみでありますが、「東証、大証、来秋合併」とのこと(^^;

オリンパス元社長解職事件については、皆様本当にご関心が高いようでして、コメントをたくさんいただきながら、お返事もせず誠に申し訳ございません。いや、ほんとにみなさん、次から次へと時事ネタをフォローされており、私の方が参考にさせていただいております。

大王製紙事件もオリンパス事件も、そろそろガバナンスにも関心が集まりつつあるようですが、新聞記事や皆様方のブログ等を拝見しておりまして、ちょっと物足りない点がございます。当ブログで3年ほど前、あれだけ盛り上がった「春日電機事件」のことが、すっかり忘れ去られてしまっているのではないか・・・という点に一抹の寂しさを感じます。

大王製紙事件も、オリンパス事件も、「監査役がどうした」「監査法人がおかしいと指摘していたのではないか」「監査法人は知っていたのか」といった指摘や批判がよく話題に上るようになりましたが、「監査法人と監査役の連携」について、ほとんど触れられておりません。

春日電機事件は、会社を乗っ取った新社長が、自身がオーナーとなっている別会社に春日電機の資産を流出するわけですが、当時の監査法人が「どうもおかしい」と感じて、同社監査役と協議のすえ、金商法193条の3をもって監査役に「会社と対決せざるをえない状況」をお膳立てするわけです。

たとえ有事でなくても、J-SOX導入によって各社とも監査役と監査法人との連絡協議会の回数は増えており、なにかおかしいと感じることがあれば、臨時報告会を設けて対策協議を行うのが通例です。監査役から監査法人に連絡するときもあれば、監査法人が監査役に相談をもちかけることもあります。そのような実務はほとんど一般の方々には知られていないので、おそらくマスコミでも取り上げられないものと思われます。

期末に監査役が有価証券報告書を隅々まで見ていなかったとか、監査法人に不正発見義務はないとか、いろいろと言われておりますが、上場会社の「監査役と監査法人との連係・協調」に関する実務慣行からすれば共同責任の時代になったのではないかと。たとえ監査役が決算役員会で初めて有価証券報告書案を見たとしても、それまでに監査法人が問題視している点があれば、監査役に相談しているはずであります(つまり「見ていなかった」では済まない問題かと)。もし相談していないのであれば、金商法193条の3の規定が存在する以上、それこそ監査法人の怠慢であります。また、たしかに監査法人に不正を発見するまでの具体的な義務がないとしても、監査役から調査依頼や相談が持ちかけられた以上は、財務諸表・計算書類の信頼性に重大な影響を及ぼしかねない虚偽記載のおそれがあるかどうかを判断する必要があるはずです。監査法人と経営者において、その会計処理方針等で対立が生じ、監査法人が辞任するようなことでもあれば、それこそ「不正の兆候」を目の前にした監査役(監査役会)としては、喫緊に後任の監査法人と疑義の解消について協議を行う必要があるはずです。

監査法人の規模にもよるかもしれませんが、そこそこ大きな監査法人であれば、監査役との協議会もきちんと履行されるよう指導されているはずです。つまり監査役か監査法人かどっちかが「おかしい」と感じる点があれば、年間を通じて何度も情報交換を行う機会、経営陣に指摘する機会があるわけですから、実はそういった協議会で何が語られたのか、今回の大王製紙、オリンパスの件ではとても重要な点ではないかと。あの春日電機事件を契機に、これから監査役と監査法人との連係がとても重要性を帯びることになる、と思っておりましたし、昨年上場会社で何件がみられた監査役会による監査法人解任騒動などでも、そういった流れになってきたのかな・・・と感じておりましたが、今回の騒動では、あまりクローズアップされていないので、あえて個人的な意見でありますが、書かせていただきました。

11月 7, 2011 商事系 |

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コメント

重要なポイントですね。
大王製紙の場合、両者の連携は十分とはいえないように思います。
元会長に対する貸付金については、経理部と会計監査人は22年の第一四半期に知ることなったのに対して、社外監査役は本年9月に連絡されています。
監査役は、関連当事者の注記を確認しなかった過失がありますし(取締役の利益相反をどのようにチェックしたのでしょうか?)、会計監査人は内部統制監査において、監査役を統制環境として評価しなければなりませんから、監査役が当該貸付をチェックしたか否かを確認する必要があったのではないでしょうか。
「監査人は、内部統制監査の実施において不正又は法令に違反する重要な事実を発見した場合には、経営者、取締役会及び監査役に報告し適切な対応を求める」(内部統制の監査に関する実務上の取扱い)

オリンパスについては、メディアが真相に近づきつつあるようです。
鍵をにぎるとみられる人物が実名報道されています。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK065050020111107

投稿: 迷える会計士 | 2011年11月 7日 (月) 22時51分

やっとオリンパス事件の真打登場ですね。(ロイターニュース)
それにしても、なんでこのN氏のことを日本のメディアはとりあげないのでしょうね。最初から普通の証券マンならおなじみの方なのにね。

投稿: MM | 2011年11月 8日 (火) 01時08分

いや、ホンマ、えらいことになりましたね。

正直、ロイターニュースが出てから発表まで、こんなに進展が早いとは思っておりませんでした。今夜はブログを書く時間がありそうなんで、なにかコメントしたいと思います

投稿: toshi | 2011年11月 8日 (火) 16時16分

オリンパスの件はまたたいそうな事になりました。昨今、世の中が大変な時期にまたマイナスな事が発生して今年は大変な年になっていると、痛感しております。
お忙しい中、教えてほしい事があります。専門家の方のご意見をお聞かせ頂けますようお願いいたします。会社人事でメンタルヘルスチェックアンケートを必ず提出(1週間内)してくださいと全社員に今回通知(前年任意)が入りました、また外部依託業者から督促も入ります。現在、事業者はたしか、国の労務基準法上は社員の義務化はされていないと、認識してます。通知内容に違和感があります。個人情報で任意であり、個人の承認ない場合はアンケート提出の義務は発生しないと思いますが、適正なご意見をお聞かせ頂けますようお願い出来ないでしょうか。また返答の仕方も教えて頂ければ幸いです、お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。

投稿: only.1 | 2011年11月 8日 (火) 22時14分

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