オリンパス・大王製紙問題と会社法改正論議
民主党が「資本市場活性化・企業統治向上WT」を設置すると報じられています(ロイターニュース)。昨年、議員会館でいろいろと議論させていただいた大久保議員が座長に就任されるようでして、このたびのオリンパス事件、大王製紙事件を契機として、上場企業のガバナンス向上のために、会社法改正だけでなく、開示規制や上場規則の改正なども視野に入れて検討されるようであります。
そういえば、5年前の会社法改正のときも、自民党の商法部会(たしか塩崎部会長)の「一声」で内部統制システムの構築に関する会社法条文が盛り込まれましたっけ(金商法上の内部統制報告制度と会社法上の制度との違いがどこまで意識されていたのかは定かではありませんが・・・)。当時、一生懸命法制審の議事録に目を通しましたが、たしか内部統制システムの構築といった議論はほとんどなかったと記憶しています。パブコメ案の時には、まだ内部統制システム整備に関する条文がなかったはずです。
ちょっと趣旨は違いますが、「会計参与」の導入・・・というのもありましたよね。法制審委員の方々が、商事法務の座談会で「なんで会計参与なんか、入っちゃったんだろう。いまだによくわかんないです。」とつぶやいておられたのを思い出します(笑)。これもほとんど法制審での議論もなされないまま、政治的な意味合いで、ふと気が付いたら条文が入っていたような気がします(その後、立法当初の予想を超えて、会計参与制度が「そこそこ」実務に定着していることはご承知のとおりかと)。
ずいぶん昔ですが、総会屋対策に関する条文が商法に組み込まれる際、東大の竹内昭夫教授が「商法の美しい体系が汚される」として、たしか論文で大いに嘆いておられました。それでも株主総会の正常化のためには実務では必要、とのことで導入が決定したようでして、会社法の改正にはときどきドラマがあるように思います。
会社法改正に関する熱い議論が続き、パブコメ案が間もなく公表されるというこの時期に、あっと驚くような会社法改正条項の追加(もしくは上場ルールの改訂)があるんでしょうか?さすがに「公開会社法」とまではいかないと思いますが、それでも何かドラマがあるのかもしれません。たしかに「立法事実」は目の前で現在進行形で展開されているような気もいたします(すいません、今日のエントリーはうろ覚えのところがありますので、誤りがございましたらご指摘ください)。
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コメント
法律をいじくるのはやめましょう。やめさせてください。
法律をいじくれば不正がなくなるとか犯罪がなくなるとか、
昨今は小学生でもそんなことは思いませんよ。
あえていえば、教育の問題でしょう。子どもに対してだけではなく、
全ての大人たちに対する教育です。
宗教に依らず、イデオロギーを振りかざすのでもなく、
いかにしてこの社会で道徳を説いていくのか、
それは極めて難しいことかもしれませんが。
投稿: 機野 | 2011年11月 3日 (木) 20時09分
今回の法改正では不正をなくすとか、犯罪を減らすために法律を変えるのではなく、「いかに日本を豊かにするか」というところの考え方の違いに起因する対立が大きいのでしょうね。
不正をなくす、というのはコンプライアンスの世界の話だと思いますので、私も法に委ねるのではなく、機野さんの言われるように教育に関することが重要だと思います。倫理の問題と言っていいと思いますが。ただイデオロギーを超えて、これを教える(広める)ことができる人間がどれだけいるのか、私も悩むところです。結局、「こうあるべき」といった結論を教えるのではなく、「あれこれ考える」というプロセスを教えることしかできないのかなあと。
投稿: toshi | 2011年11月 4日 (金) 01時42分