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2011年11月18日 (金)

「清武の乱」とコンプライアンスの本意

(18日深夜 追記)

このエントリーは、昨日いったんアップしたものの、世間のご批判にさらされるのではないか、「お前の方がコンプライアンス感覚が欠如しているぞ」と言われるのではないか、と臆するところとなりましたので、非公開としておりました。しかしブログをご覧の皆様にいろいろとお教えいただくほうが、自身の勉強にもなると思い、改めてアップした次第です。(以下本文)

電車の中で聞こえた会話。。。 「そらぁ、清武がかわいそうやがな。ナベサダが悪いねん、ナベサダが諸悪の根源やがな!」
  ・・・サックス奏者に罪は無いと思うのですが、とんだとばっちりです。。。

(フェイスブック仲間である某大手メーカーの労組執行委員長の方のつぶやきのパクリです)

さて、オリンパス事件にエントリーが集中していたせいで、話題に完全に乗り遅れてしまった株式会社読売巨人軍の内紛問題でありますが、ナベツネこと渡辺読売新聞グループ取締役会長と読売巨人軍清武取締役(代表職)との対立におきまして、清武氏側よりナベツネ氏による重大なコンプライアンス問題が指摘されております。しかし、「コンプライアンス問題」と指摘されているわりには、いったいなにがコンプライアンス上問題となるのか、いまいちよく把握できておりません。世の中で「コンプライアンス」という言葉が当たり前のように使われる今日、その言葉の認知度が高まるにつれ、内容が希薄化していくのも若干不安がございます。そこで、この騒動の中で語られている「コンプライアンス違反」とは何を指すのか、考えてみたいと思います。

とりあえず、清武氏による声明文から察するところでは、ヘッドコーチの人事計画をナベツネ氏に報告していったん了承してもらっていたのにもかかわらず、後日「俺は聞いていない」とナベツネ氏が激怒し、別の方をヘッドコーチに据える案をひそかに原監督と協議して清武案をひっくり返したことを「重大なコンプライアンス問題」ととらえているように思われます。ヘッドコーチ予定者に清武氏が内示をすでに済ませていたことから、親会社の役員といえども、契約法理に従って考えれば一方的に内示を反故にすることはコンプライアンス違反である、といったところでしょうか。

しかし選手同様、監督、コーチも(労働基準法上は)読売巨人軍の従業員ではなく、個人事業主ですから、その契約は労働法上の雇用契約ではなく、また契約社員でもなく、いわば請負契約に近いものかと(子会社による対外的な事業活動に近いのかもしれません。そうでなければ解任など簡単にできないはず)。しかもまだ内示の段階ですから、契約の拘束力はあまり強くないのでは・・・と考えられます。就職時における「内定違反による損害賠償」といった問題も出てこないのではないでしょうか。そのような段階で、100%親会社の役員が子会社の事業活動に関わる経営判断に口をはさむのは、普通どこの会社でもあると思うのでありまして、子会社役員がこれを嫌うのであれば断固拒否すればよいだけの話ですし、また親会社として、そのような子会社役員の対応が気に入らなければ臨時株主総会を開いて解任すれば済むことであります。そのような事態は普通によく耳にするところでありますが、これが特に「重大なコンプライアンス違反」と言えるのかどうか、私はちょっと自信がございません。

むしろナベツネ氏が桃井代表取締役(オーナー職)からオーナー職をはく奪し、また清武氏の処遇問題も独断で決める、ということは、子会社の事業活動ではなく、純粋な組織規律への介入であり、そっちのほうが問題ではないかと思われます。ご承知のとおり、会社法362条4項では、「支配人その他重要な使用人の選任及び解任」は取締役会の専決事項、つまり企業の重要な従業員を指名することは業務執行者に委任することはできず、かならず取締役会で決議をしなければならないことになっております。この「支配人」には、たとえば執行役員、営業本部長等も含む(会社法概説 大隅・今井・小林著)とされておりますので、オーナー、GMといった職務上の地位もこの「支配人」に準ずるものと解されます。したがいまして、100%親会社といえども、勝手に支配人人事を実質的に決定することは子会社の独立性を侵害する法律上の問題となり、これはコンプライアンス違反、内部統制上の問題(企業の業務の適正を確保するための体制構築に問題あり)とされる可能性もあると思われます。

しかしよくよく考えますと(よくよく考えるほどでもないかもしれませんが)、子会社の独立性を侵害するといいましても、子会社人事、たとえば子会社のトップを親会社が指名する、定款を変更させて常勤監査役を設置する、といった重要な人事政策を親会社は普通に行うのでありまして、たしかに法律上は疑義が残るかもしれませんが、とくに「重大なコンプライアンス違反」とまでは言えないようにも思えるのであります。「株式会社読売新聞プロ野球課」の課長さんの降格を行うことと、今回のこととではどれほどの差があるのでしょうか。内部統制上の問題と主張されているようですが、親会社はむしろ読売新聞グループの経営目的を達成するために企業集団としての内部統制を構築する必要があるわけで、子会社の内部統制といえども親会社のコントロールに服することも求められるわけでして。

感情的には清武氏に同情するものですから、脊髄反射的に「ナベツネ氏の重大なコンプライアンス違反、内部統制違反だろ。清武氏はよくやった!」と反応してしまうわけでありますが、きちんと考えていくとよくわからないところがあります。一般の中小の子会社とは異なり、ファンや選手など、プロ野球球団特有のステークホルダーが存在するので、その夢を壊す、といったことを「コンプライアンス」という言葉で表現しようとされているのでしょうか。しかしそうなりますと、ますます希薄化した言葉になってしまうような気がします。

この清武VSナベツネの紛争におきまして、コンプライアンス違反の中身がいったいどのようなものなのか、きちんと頭で整理されていらっしゃる方がおられましたらお教えいただきたく存じます。そもそもコンプライアンスなる言葉は「法令遵守」ということだけでなく、「企業が社会の要請に誠実に対応すること」を含む概念として、かなり抽象化されてきているわけでして、定義づけはあいまいであります。したがいまして、今回の巨人軍騒動にように双方から「あんたのほうがコンプライアンス違反だ!」という主張が繰り広げられる事態も考えられるわけでして、いわば世論を味方につけるための常套句になりつつあるのではないかと思われます。以前「裸の『正義』なる言葉を使用することは危険である」という趣旨のことを述べましたが、この「コンプライアンス」なる用語も、あまりに世論誘導型に使用されてしまいますと、中身が空疎なものとなり、法律の世界から離れていって、「ソフトローとしての規範性」すら喪失してしまうおそれが生じるのではないか・・・と少し危惧するところであります。

(追記)

いやいや驚きました。まさかエントリーをアップした当日に「清武氏、解任」なる事態となるとは全く予想もしていおりませんでした。なお、コメントをいただいている皆様が、たいへん有益なご意見を述べておられ、いろいろと勉強になりました。あらためてお礼申し上げます。<m(__)m>同じように疑問を抱いておられた方も多かったのでしょうね。(気持ち的には清武氏に同情するのですが・・・・・。今後の展開がまだありそうなので、注目しておきたいと思います)

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コメント

ごぶさたしてます。
いっそのことナベツネ氏に「俺様に"comply"せずに反旗を翻すとはお前こそコンプライアンス違反だ」とのたまわっていただければ、コンプライアンスとは何かということにより焦点が当たったのではないかと思います(笑)
会社法的にはご指摘の通りだと思います。ただ、「オーナー」「GM」の職務が明確に定められていたのか、そもそも組織規律があったのか自体が疑問です。本件を意識したのかDeNAのベイスターズ買収における三木谷氏の「最後は島田オーナーが決めるのだが」という留保つきの発言なども微妙ですよね。
これがさらに世の中に散見される「代表取締役相談役」とか「取締役名誉会長」という(あと「主筆」とか)いうのがそもそも何なんだというところにまで広がっていけば面白いのではないかと思いますが。

投稿: go2c | 2011年11月18日 (金) 13時09分

そもそも論として、新聞社でありプロ野球球団の企業で、かつ、最も「それ」にふさわしくない組織から「コンプライアンス」なる言葉が出てくること事態が笑い話に聞こえます(なおかつ、この人、ルールもあってないような新聞記者出身でしょ?)。

コンプライアンスは連結企業組織内部のモノではなく先生もご指摘の様な、「企業が社会の要請に誠実に対応すること」という前提に立てば、笑い転げます。

ドラフト制度というフェアな組織を逆手にとって犯した数々の実質的なルール違反がコンプライアンス違反でなかったのか、とか、FA制度対象選手にFA宣言前に実質的に話をまとめ上げていたのも誠実な対応だったのかとか、言いだすとキリがない。

投稿: katsu | 2011年11月18日 (金) 17時08分

なんか清武氏の解任が伝えられているようで、ビックリしております
あまりにタイミングが。。。

投稿: toshi | 2011年11月18日 (金) 18時48分

コンプライアンスは錯綜した概念になってきてますが、勝手に整理すると、コンプライアンスという言葉の定義には主に下記3種類があります。

a)法令遵守
b)法令その他の規範の遵守=内部統制との接合
   ※「その他の規範」は社内規程等の社内のルールであると強調する
c)法令その他の規範の遵守=CSR・企業倫理への解消
   ※「その他の規範」は社会的要請にこたえることであると強調する

社会的要請は具体性を欠きますし、実際問題として担保しないといけないのは法令違反を防ぐことであり、社内の規範を維持することですから、社内でコンプライアンス活動をする場合の本音はa)b)になります。たてまえとしてc)を言うか言わないかだけの問題ですね。

清武氏の場合、依って立つ視点はおそらくc)です。プロ野球球団という事業においては、球団経営のルール、幅広いファンの存在がありますので、c)の考え方に立った場合、ナベツネの振る舞いは巨人軍のコンプライアンスに違反するという考え方に理論的な間違いはないです。しかし、清武氏のケースは、コンプライアンスという言葉の「使い方」を間違えています。
社会を味方に付けようという戦略だったのでしょうけれども、やはり声をあげるならまずコーポレートガバナンス内部で抗うべきだったのではないでしょうか。それができないなら言うべきではなかった。
あるいは、コンプライアンス本部長になってから風土を変える地道な努力をすればよかった。

投稿: JFK | 2011年11月18日 (金) 22時50分

清武氏は何の役職をどのような手続きで解任されたのかが曖昧なところがこの問題を象徴してますね。
外野としては地位確認訴訟を起こしてもらいたいものです。

投稿: go2c | 2011年11月19日 (土) 00時10分

皆様、今回はいろいろとお教えいただき、ありがとうございます。私もJFKさんの後半部分の意見に全く異存ありません。おそらくいろんなことがたまってのことだとは思いますが、いきなり文科省で記者会見・・・というのはまずかったかなと。全体像で考えるならばkastuさんのようなご意見も出てくると思います。
go2cさん(ごぶさたしております)、清武氏は日本シリーズ終了後、対抗措置に出ると述べておられるようですので、地位確認訴訟(仮処分?)あたりが出てくるかもしれませんよ。

投稿: toshi | 2011年11月19日 (土) 00時48分

報道では「読売新聞」とか「巨人」とかの書き方をしているので判然としませんが、私の購読している新聞を読むと、「11月18日、株式会社読売新聞グループ本社(以下Y社)及びその関連会社である株式会社読売巨人軍(以下G社)は、それぞれ臨時取締役会を開催し、清武G社取締役・球団代表・ゼネラルマネジャーの全ての役職を解職した」ということのようです。

Y社とG社の資本関係が分かりませんので、なぜY社までが臨時取締役会を開催したのか分かりませんが、Y社の社内規定で必要だったのでしょう。(あるいは清武氏の取締役解任の臨時株主総会開催を決議した?)

なお同紙によると、長嶋茂雄G社専務取締役は臨時取締役会に出席し、強い口調で清武氏を批判したとのこと。たしかに日本シリーズの前日にこんな会見をするのは「社会的要請」に反するのかも。

投稿: skydog | 2011年11月19日 (土) 09時51分

「当社の親会社である株式会社読売新聞グループ本社が、臨時取締役会を開き、取締役9名全員、監査役4名全員の計13名が出席して、当社取締役・清武英利を解任し、取締役山岸均を選任するため、会社法第319条第1項に基づく提案を行い、かつ書面によって同意することにより、当該議案を可決する旨の当社の株主総会決議があったものとみなされました。」

ということのようです。

投稿: 迷える会計士 | 2011年11月19日 (土) 11時29分

c )の意味でのコンプライアンスが問題になるのは、社会の常識と会社の常識が対立する局面においてです。内部的な人事問題の段階で、取締役がいきなりコンプライアンスを持ち出して会見したところがまずかったです。マスコミもどう捉えていいかクエスチョンマークな段階だったため、社会への伝わり方も清武氏が意図した形にはならななかったのだと思われます。コンプライアンスというキーワードが先行したことにより、マスコミが反社を期待してしまったところも不運でした。切り口が両論になり、当然、社会の受け止め方も両論になってしまった。

社会と会社の対立局面を作り、ナベツネ側に説明責任を発生させれば、まさにコンプライアンスの問題にすることができたのではないでしょうか。例えば、人事の意思決定が歪められている実態をリークし、『渡辺氏、球団私物化、決定済み人事をひっくり返す』などの記事を書かせ、社会が同調すれば、ナベツネ側が説明責任に追われ、清武氏はむしろマスコミからコメントをお願いされる立場になったと思います。

投稿: JFK | 2011年11月19日 (土) 16時03分

会社法319条の点についてひとことだけ。

読売巨人軍は読売新聞グループの100%子会社ですが、親会社が株主提案をした場合、当該提案について全ての株主が同意した場合にはその提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす、ということです。
だから今回は簡単に総会決議(みなし)が可能となります。
そのみなし決議のために、株主提案及び提案への同意のために親会社の取締役会を開催する必要があります。

投稿: toshi | 2011年11月19日 (土) 16時14分

渡辺氏のコーチ人事への介入がおそらく球団内の職務権限規定を無視していること、及び記者達に「報告を受けていない」旨の虚偽発言を行ったことはコンプライアンスに関わる問題です。しかしわざわざ内部告発の記者会見を開くほどの「重大なコンプライアンス違反」とは確かに言えないかも知れません。
むしろ今回の騒動の本質は、読売グループの企業統治の問題性であり、渡辺氏の積年のワンマン経営の病弊としての球団経営の私物化が、今回権限規定無視の形で表れたということでしょう。
たとえ親会社トップといえども、オールマイティではなく、与えられた権限を越えて指示命令を行うことは出来ないはずです。ワンマン経営者は人事権を行使して周囲を側近で固めた上で、会社を合法的に私物化してオールマイティ化してしまう。その結果言うべきことも言えない雰囲気が蔓延し、組織は腐敗し、最悪の場合暴走して破綻に至る例は内外多々あります。エンロン、ワールドコム、カネボウは言うまでもなく、今問題のオリンパス、大王製紙、九州電力、いずれも同様の問題が背景にあるように見えます。企業ガバナンスの課題はこのワンマン経営の暴走にどう歯止めを掛けるかに尽きるといっても過言ではないでしょう。
今回の清武氏の記者会見を行うという行動は、これだけ見れば唐突で過激過ぎるようですが、ワンマン体制の中ではこういう形で異議申し立てを行うしか現実に影響を与え得る手立てはないと判断されたのでしょう。確かに記者会見の時期や場所は適切さを欠き、また芳しからぬ個人的風評も様々報道されて、清武氏への風当たりは次第に厳しくなりつつあるようです。
しかし「大人げない行動」と揶揄するのではなく、抜きがたく存在する企業の病巣に警告を発し、企業人の一つのあるべき姿を示してくれたものとして、支持と激励を与えたいと思います。

投稿: いたさん | 2011年11月19日 (土) 22時31分

迷える会計士さん、toshi先生、ありがとうございました。
G社の株主に正力家の人達がいるのではないかと推測していましたが、Y社の100%子会社だったのですね。

投稿: skydog | 2011年11月20日 (日) 11時15分

いたさん様、ご意見ありがとうございます。

たしかに世間的には『オモシロネタ』として受け止められてしまう傾向がありますね。
ただ清武氏も、ここまでの展開は確実に予想していたはずですから、今後の展開がまだまだあるように思います。
中傷合戦になってしまうと清武氏に不利になるように思いますので、いたさん様のように、大人の対応、つまりコンプライアンスという言葉を持ち出すとしましても、あくまでも会社のための対応であることを前面に押し出して抗争することが不可欠かと。
日本シリーズも終了しましたので、今後の展開が楽しみです。
他局のマスコミが今後どこまで取り上げるか、ということも課題のような気がします。

投稿: toshi | 2011年11月21日 (月) 01時41分

いやいやいや、伝統的な、この企業の有り様は、
「きったない大人たちの、醜い対応」の歴史であるわけでして、
必要なのは、綺麗な心である子どもの対応かと(笑)。

投稿: 機野 | 2011年11月21日 (月) 23時57分

DMORIです。朝日新聞が単独で渡辺氏にインタビューした、11/27の報道によると、渡辺氏は来季のコーチ人事について、清武氏から「確かに報告は受けたが、人事については短い時間で、了承もしていない」と話し、それが最終決定ではなかったと主張しています。
渡辺氏側は弁護士とも作戦を練った結果、コーチ人事をひっくり返そうとしたのでなく、自分はそもそも了解をしてはいない、という前提から争うほうが得策と判断したのではないでしょうか。
言った・言わないの話に持ち込めば、清武氏がどのようなセリフで説明したかは、録音が残っていないと分かりません。「こうした人事にします」「おうそうか、よしよし」で了承したことになるのか、人間関係がうまくいっている時は問題ないことでも、争いになると微妙な言葉のニュアンスの問題になってきます。
toshi先生が仮に渡辺氏から弁護を依頼された場合も、この戦術を勧めるのではないでしょうか。
渡辺氏に限らず、老人に大事な問題を説明する際は、了解したことのサインをその場で取っておくことですね。老人はそのとき「了解した」と言っても、すぐ忘れます。始末が悪いことに、本当に自分は言った覚えがないと、思い込んでしまいます。だから前もって作成した文書でなくても、その場のメモ用紙でよいから、サインさせておくと、あとあと証拠に使えます。
当時の清武報告に同席していたという桃井氏の見解が問われますが、桃井氏はまだ読売側に残っていますから、渡辺氏側は桃井氏への根回し(抱き込み?)もできたとみるべきでしょう。

投稿: DMORI | 2011年11月27日 (日) 11時19分

>「株式会社読売新聞プロ野球課」の課長さんの降格を行うことと

人事権のない人物が、人事権を行使するのは
特に問題ないという事でしょうか


>子会社の内部統制といえども親会社のコントロール

親会社のコントロールといえども、正当な手続きに則って行うのが
企業にとって求められているのではないでしょうか


清武さんの行動は「内輪もめ」「内部の恥をさらした」という点で
問題になっているようですが、内輪もめを表沙汰にしてこなかったのが
旧来の日本企業の悪いところだと思います

騒動を起こしたこと、内部の問題を表沙汰にしたと言う点で
清武氏の行動を評価します

投稿: bn2islander | 2011年11月27日 (日) 11時38分

>コンプライアンス違反の中身がいったいどのようなものなのか、
>きちんと頭で整理されていらっしゃる

私の理解としては、正式な人事権を持っていないナベツネさんが、コーチの人事を進めていたところにあると思います。


読売巨人軍の社内規定としては、コーチに対する人事権を明確に定めた条文はないそうですが、「球団代表は(略)球団経営業務を統括する」「編成本部は球団のチーム編成および運営に関する業務を行う」との規定があるそうです。であれば、コーチの人事権は編成本部長である清武氏にゆだねられていると考えられるのではないでしょうか。


もっとも、これならば清武氏がノーと言えば済みそうな話ですが、ナベツネさんの「江川ヘッドコーチの起用が実現困難になった」とのコメントを見ると、江川コーチの契約が進んでいたと推測できます。


実際に人事権を持っていないにも関わらず、人事を動かしたというのであれば、コンプライアンスの問題になってくると思います。企業統治の要素の方が大きそうですが。


なお、清武声明文の中では「全ての会社にそれが求められるように、読売巨人軍にも内部統制と健全な企業体質、つまりコンプライアンスが要求されると思います」と触れられていますね

投稿: bn2islander | 2011年11月27日 (日) 11時59分

清武さんの記者会見報道を見ると「コンプライアンス」という言葉がドンドン手垢に塗れた言葉になっていくようで残念です。
会社法に則って解任された清武さんは何をしたいんでしょう?
トライアイズの時は「これは日本の法制がヤバイぞ」と思ってたのに、今回は清武さんに何の共感もありません。

大体「ナベツネ」に対する反感って、古くは宋の王安石、近くは我が田沼意次に対する反感みたいなもので、「本当のこと」を知ってる人なんていないでしょう。磯野さんはご存知ですか?

投稿: skydog | 2011年11月27日 (日) 22時41分

あのー、ですね…

これ、司法に馴染む案件でしょうか??

世間では、極めてとは申しませんが、ま、よくある話です。

夫婦喧嘩みたいなもんですぜ。馬鹿馬鹿しい(笑)。

そのことと、会長ナベツネが老醜を晒しまくっていることとは別の次元の話です。

投稿: 機野 | 2011年11月27日 (日) 23時50分

1年も前のエントリーへのコメントでかつ長文で申し訳ありません。
先日都内のあるシンポジウムに参加しました。「読売に屈してトンデモ判決を繰り返す~日本の裁判所はナベツネに逆らえないのか」がタイトルです。
「清武の乱」を契機にナベツネ氏と読売新聞に法廷で対峙する清武英利氏と七つ森書館を中心に、訴訟代理人の弁護士と佐高信氏等支援の知識人の参加です。聴衆はそう多くないものの、熱気の篭った集まりでした。会の初めに主催者の「ここに読売の関係者がおられたら退席して下さい」の言に思わず苦笑しましたが。元々阪神ファンとして巨人の内紛に内心ほくそ笑む以外の利害関係は全くありませんが、この集会に参加して改めて本件が重大な問題を提起していることを再確認しました。
第一は、経営の私物化という企業統治の問題。
清武氏はコンプライアンスの問題と捉えていますが、むしろ本筋はワンマン経営者による経営の私物化という読売グループの企業統治の問題性にあるでしょう。しかもワンマン経営者による独裁という病巣は日本企業の少なくない部分に見られるのは周知の通りです。本件は「清武の乱」ではなく「ナベツネの乱」であるとの清武氏の言明はその本質を言い当てています。コーチ人事での「コンプライアンス」問題という発端だけでなく、その後の経過自体が経営の私物化の問題性を明らかにしていると感じました。読売社会部清武班著「会長はなぜ自殺したか」の出版を阻止するための七つ森書館への恫喝的訴訟の乱発はトップを守るためには、巨大メディアが言論・表現の自由を平気に踏みにじるまでに至ることを示しています。また「一番辛かったことは、元同僚や部下が自分を攻撃する陳述書を相次いで提出したこと」との清武氏の言葉も胸に響きました。組織を守るために、過去の自分の発言を翻してでも会社に有利な証言を強要される(?)ことにより、社員の良心と矜持の喪失にまで至ることが分かります。オリンパスのもう一つの不祥事、「内部通報者への不当配転事件」での組織ぐるみのいじめ・攻撃も同様の組織としての倫理意識の崩れが齎したものでしょう。
第二は、マスコミ報道のあり方とそれに引きずられた「世論」の問題性。
「清武の乱」の当初は大きく取り上げたが、本質を論じることなく清武氏の個人攻撃を面白おかしくたれ流し、結局「お家騒動」「子供同士の喧嘩」と問題を矮小化し、その内忘れ去られるというこの手の事件の常套的流れに本件も入り込みつつあるようです。ましてや弱小出版社「七つ森書館」への恫喝的訴訟などは殆ど取り上げられることなく、結局は力の強いものが個人や弱小企業を押し潰す構図もまた見慣れた光景とは云え見過ごすことは出来ないでしょう。
第三は、司法の問題性。
パネラーの佐高信氏は、どうせ現在の司法の下では裁判で争っても無駄であると氏らしい挑発的な発言をしていましたが、岡邦俊、吉峯啓晴両弁護士の報告を聞く限り、常識では理解が難しい判決が下されていることは否定できないように思います。近時大きな問題となっている警察・検察による自白の強要、調書の捏造、その結果としての冤罪の頻発は、同時に裁判所の判断の誤りの問題でもあります。訴訟当事者になることによる多大な犠牲の問題と合せ、裁判への批判と監視、司法制度の改善の重要性を痛感しました。
以上、本件には改めて社会の注目と監視が求められているとの思いからの報告です。

投稿: いたさん | 2012年11月18日 (日) 22時39分

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