オリンパスの法人起訴とSESCの課徴金処分勧告
先日、拙ブログにおいてオリンパス事件が予定調和的に解決できない理由として、「大きな力」でも制御できない「検察の正義」と「株主代表訴訟」の存在を挙げました。本事件の幕引きに向けてのストーリーが出来上がったとしても、そのストーリーは検察には通用せず、独自の正義感によって立件がなされる可能性が高いと思料されます。現に大方の見方が3名逮捕だったのに、ふたを開ければ7名逮捕という点が、まさに「検察の正義」だと思ったわけですが、またまた異例の事態が続くような状況にあるようです。
3月7日の日経社会面の記事ですが、金融庁は法人としてのオリンパス社を刑事告発したばかりですが、今度は証券取引等監視委員会が1億円超の課徴金処分を(金融庁に)勧告する予定と報じられています。つまり虚偽有価証券報告書提出、という一つの事実に対して、刑事処分と行政処分を併科する、ということであり、これは金融商品取引法(証券取引法)に課徴金制度が創設されて以来、全く初めてのことであります。まさに異例中の異例の事態が生じております。これは証券取引等監視委員会の再編問題(5課➔6課 開示検査課の独立)に絡む問題なのでしょうか、それとも金融庁と検察庁との力関係に起因するものなのでしょうか。それとも他に理由があるのでしょうか。
憲法39条違反(二重処罰の禁止)の疑義が残るなかで、経済犯罪において、どうしても検察がイニシアチブをとりたい、という気持ちの現れなのでしょうか。これも有識者の方々の間では、オリンパスの法人としての処分はおそらく課徴金どまりだろう・・・とまことしやかにささやかれておりましたが、結局は「検察の正義」が通る形となりました。このように「検察の正義」がオリンパス事件の前面に出てくる・・・ということであれば、やはり私の予想しておりますとおり、今後もオリンパス事件では組織的関与を示すような何か新しい事実が出てくるのではないかと思われます。
なお、継続開示義務違反に対する課徴金処分の導入と刑事処罰との関係については、内閣法制局の見解等も含め、また別途エントリーしたいと思います。
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