取締役の不正行為に関する内部通報を受領した監査役対応(ベリテ社事例)
先日の監査役協会の研修におきまして、取締役関与の不正事例の場合には「ガバナンス+ヘルプライン」でなければ内部通報制度は機能しない、と述べましたが、そのベストプラクティスに近い事例が3月19日に公表されております。
宝飾品小売大手のベリテ社(東証二部)の監査役会は、取締役関与のもと、①商品仕入れに関する架空取引、および②関連会社との間における経済合理性のない取引が行われた疑いがあるとして、これを取締役会に報告し、同時に監査役会の下で第三者委員会を設置し、さらに事実関係を調査するとのこと(リリースはこちら。取締役会も、これに対して全面的に協力するとされております)。
内部通報が監査役の下に届き、その通報事実の調査を監査役会で行い、取締役が関与していた不正の疑いが濃厚になったために会社法上の報告義務を履行したもののようです。もちろん、このリリースだけでは、以前から監査役の方々にとって不正の兆候が認められたのかどうかは不明ですが、社内の通報制度によって経営者不正が明るみになるのは唯一、このパターンしかないのではと思います。
もし本当に、監査役会による報告まで、不正の存在および第三者委員会設置の事実を役員会のメンバーが知らなかったとすれば、監査役間において「有事意識が共有」されたものとして監査が有効に機能した好例ではないでしょうか。また監査役会の下で、機動的な調査対応が要請されることから、「日弁連第三者委員会ガイドラインに完全に準拠するわけではない」と書かれているところも個人的には「好み」です。
1か月程度で出される予定の第三者委員会報告書を楽しみにしております。ということで、お休みモードではありますが、備忘録程度にご紹介いたします。
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