« ガバナンス改革「第三の波」と企業周辺領域への規制拡大 | トップページ | シンポ「公正なる会計慣行を考える」のご報告 »

2012年3月29日 (木)

オリンパス社は元社長暴露本の出版を差し止めないのか?

当ブログではずいぶんと前に、オリンパス社のウッドフォード元社長が「解任」なる新刊書を出すことを伝えました(4月下旬に早川書房から出版予定)。私個人としては、早く読みたくてウズウズしているところであります。

本日(3月28日)のWSJの記事によりますと、ウッドフォード氏は講演や執筆活動に大忙しであり、すでに2冊目の執筆にもとりかかっておられるそうです(この記事からしますと、たいへんお元気そうですね。WSJニュースはこちらです)

ところで、上記ニュースによりますと、オリンパス社もこのウッドフォード氏による新刊書の内容がとても気になるようでして、英国の法律事務所を通じて、ウッドフォード氏に内容を開示するよう求めているとのこと。これに対してウッドフォード氏側は(英文原稿の)開示を拒否しているそうであります。たしかにウッドフォード氏自身が社長に就任した経緯から、解任に至るまでの事情を告白する、というものですから、今後のオリンパス関係当事者の刑事・民事事件においても有力な資料になるかもしれず、企業の信用や役職員のプライバシーにもかかわる事実が含まれている可能性もあるため、オリンパス社としても新刊書の中身については一日も早く知りたいと思うのが自然ではないかと。

事件当事者の方にご迷惑をおかけしないように、あくまでも素人的発想としての疑問でありますが、こういった場合、オリンパス社としては、ウッドフォード氏による著書が発売されるまでに出版物の発売を差し止める仮処分命令の申し立ては検討されていないのでしょうか?もちろん日本の出版社の「表現の自由」に関わる問題であり、また公益目的に沿う内容のものだと思われますので、出版差し止めが許容される可能性はかなり低いものとは思いますが、しかし、そうでもしない限りは、出版以前の段階において、オリンパス社としては何が書いてあるのか、察知するのは困難ではないかと思います。仮処分命令申立の裁判が起こされれば、裁判官の指示によって債務者(被申立人)側は、出版前の書類審査のための開示が必要となり、嫌がうえにもオリンパス社側による事前閲覧が可能になってきます。

出版まで、あと20日余りを残すところとなりました「解任」でありますが、今後はまた、なにか関係当事者から法的な動きがあるのかもしれませんね。とりいそぎ備忘録として。

|

« ガバナンス改革「第三の波」と企業周辺領域への規制拡大 | トップページ | シンポ「公正なる会計慣行を考える」のご報告 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: オリンパス社は元社長暴露本の出版を差し止めないのか?:

« ガバナンス改革「第三の波」と企業周辺領域への規制拡大 | トップページ | シンポ「公正なる会計慣行を考える」のご報告 »