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2012年5月30日 (水)

社外監査役が会社を訴えて勝訴した事例(さすが金融庁初代長官!)

一個人株主さんから教えていただきましたので、アコーディアゴルフ株主委員会主催の株主提案説明会の様子をビデオ録画(ストリーム 株主委員会のHPでどなたでもご覧になれます)で拝見しておりましたところ、おもしろいシーンが・・・

(大株主側社外取締役候補でいらっしゃる金融監督庁初代長官のスピーチ)

「ちょうど1カ月前の平成24年4月24日、最高裁判決が出まして、私は会社の新株発行の無効を主張して完全勝訴しました。私(社外監査役)が会社を訴えたのです!社外監査役である私が会社を被告として訴えたのですよ。最高裁でも全部勝ちました!寺田裁判官が補足意見の中で、よくぞこの監査役は会社を訴えたものだと称賛していましたが、それは私です!」(^◇^ ;

下級審の判決文(金融・商事判例1317号)や最高裁判決文ではたしかXとか「原告」として表現されておりましたが、こちらのビデオでは「これは私です!」と見事にカミングアウトされておられました。さすがでございます。

旧商法時代にストックオプションとして新株予約権が発行されたのですが(上場条件付き)、この会社のコンプライアンス上の問題発覚によって上場が困難になりました。そこで、会社法時代になってから取締役会で勝手に当該ストックオプションの行使条件を変更してしまって、元取締役の方々に都合のいいように新株予約権が行使され新株が発行されてしまいました。就任早々、この社外監査役の方は、「これは新株予約権の有利発行に総会の特別決議が必要であることの趣旨を潜脱したものでけしからん!」ということで、新株発行無効の訴え(予備的には無効確認)を(会社を被告として)提起した、というものであります。

非公開会社に関する判例ですが、上場会社にも実務的に参考になるものなので、ご興味がございましたら最高裁HPでご覧になれますのでそちらをどうぞ。また、寺田裁判官の補足意見では、新株予約権、募集株式の有利発行について、その内容決定権の取締役会委任の是非についても(公開会社と非公開会社とを比較しながら)商法と会社法の解釈上の違いに言及されており、とても参考になります。なお、中村直人先生が東京証券代行のコラムに、本件事例の争点を明確に解説しておられますので、そちらも参考になります(私は拝読しておりませんが、ジュリスト6月号には弥永真生教授が判例評釈を書いておられるそうです)。

アコーディアゴルフの件について、最新情報を得ようと思ってビデオストリームを閲覧しておりましたが、途中でこっちの話題ばかりが気になってしまって、結局新しいネタを取り忘れてしまいました((+_+))それにしても、さすが金融庁初代長官、平成18年12月に社外監査役に就任されて、平成19年4月に会社を相手に訴えを提起するという、まさに独任制の社外監査役の鏡であります!(おそらく就任早々、「これはいけませんよ!直ちに元に戻しなさい」などと取締役の面々とバトルがあったものと推測いたします。普通じゃなかなかここまではできないかもしれません・・・)

あと、この社外監査役の方は平成18年12月に就任されておられますが、平成24年5月時点で、すでに5年以上監査役に就任されています。当該会社は非公開会社ですが、定款上の監査役の任期はもっと長いのでしょうか、それとも4年の任期を終了し、再任されているのでしょうか。訴訟上の当事者適格の問題もありますが、こういった紛議があったとしても、会社側としてはなお、この方に社外監査役就任を望んでおられるのでしょうね。

おそらくアコーディアの社外取締役に就任されても、大株主(もしくはその親会社)の利益よりも、株主共同利益を優先する姿勢をお見せになるであろうことが、このビデオと最高裁判決でよく理解できました。実はこの金融庁初代長官の方は、私が司法試験に合格した年に、刑事訴訟法の面接試験の試験委員として面接していただいたことがございます。ただただコワイ印象だけが残っております(^^;。社外監査役の理想的な姿を体現した事例としてご紹介いたす次第です。

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2012年5月29日 (火)

大手運用会社によるガバナンス強化策(第三のガバナンス改革)

本日(5月28日)の日経夕刊一面に「社外役員 より独立性を重視」と題する記事が掲載されておりました。野村アセット、三井住友アセットマネジメント等の大手運用会社が、6月の定時株主総会において、これまで以上に議決権行使に関する判断を厳格に行う、とのこと。今まではスクリーニング(社会的に問題行為を起こした企業をピックアップして、そこだけ重点的に審査する)をかけるところが多かったようですが、今後は不祥事を発生させていない企業であっても厳格に議決権行使基準を適用していく、ということだと思います。

とりわけ社外役員候補者については「独立性」基準を厳しく適用し、たとえば社外役員の相互派遣、親会社出身者の選任、長期の社外役員在任に関しては反対票を投じる運用会社が増える見込みのようです。これまでは海外の機関投資家や議決権行使助言会社の独立性要件の厳しさが目立っておりました。しかし、3名の社外取締役が存在していたにもかかわらず、損失飛ばし、飛ばし解消スキームを長期間見逃してしまったオリンパス事件などを教訓に、社外取締役の人数だけでなく、その属性についても厳しく審査していこう、という国内運用会社の姿勢が注目されるところであります。

ただ、企業不祥事が目立ったことだけが、大手運用会社の議決権行使ポリシー厳格化の理由ではございません。当ブログの3月28日付けエントリー「ガバナンス改革の『第三の波』と企業周辺領域への規制拡大」でもすでに述べましたように、行政当局による上場企業に対するガバナンス改革の一環としての意味合いが強いのではないかと推測いたします。最近よく言われる「ガバナンス改革第三の波」の兆候ではないかと思われます。これは日本だけではなく、リーマンショック以降の欧米におけるガバナンス規制の手法にも合致するところです。

Gaba03


上図は3月28日付けエントリーで示した解説図に、大手運用会社を用いたガバナンス規制を加えたものです。会社法改正はもちろん法務省の管轄ですが、法務省主導によるガバナンス改革が進まない場合には、金融庁主導による改革が上場企業に改革へのプレッシャーをかける、という構想図となっております。

社外役員の独立性がいろいろと話題になりますが、独立性を知るうえで一番効果的なのは社外役員候補者の方に以下の質問をぶつけて、ご回答いだだくことだと思います。

「〇〇さん、あなたは誰の紹介で、この会社の社外役員候補になったのですか?」

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2012年5月28日 (月)

福岡魚市場高裁判決と親子会社法制(多重代表訴訟)への影響

旬刊商事法務の最新号(5月25日号)が報じているとおり、子会社不正を見逃した親会社取締役の責任を問う「福岡魚市場株主代表訴訟」の控訴審判決が4月13日、福岡高裁第4民事部より出されました。親会社株主が、親会社の取締役について、子会社不正を見逃したことについて任務懈怠ありとして、その責任を問うものです。高裁判断は福岡地裁判決(平成23年1月26日)の結論を支持し、親会社取締役らの責任を認める判決となりました。なお、昨年の地裁判決につきましては、こちらのエントリーなどをご参照ください。

控訴審判決でも、いわゆる「グルグル回し取引」の基礎となる「ダム取引」の経済的合理性(商社金融機能)は認めつつも、そのリスク管理が十分でなければ容易に架空取引に変容してしまうことは明らかとされています。そのうえで高裁判決は、子会社プロパーの取締役が主導していた架空取引について、十分な調査もせず(破たん寸前の時期において)子会社支援を継続した親会社取締役らに、子会社不正を見逃して(子会社支援決定という)安易な経営判断に至ったことに関する善管注意義務違反が認められる、としております。

親子会社法制については、このたびの会社法改正論議でもホットイシューとなっており、いわゆる「多重代表訴訟」を認めるかどうかが中間試案でも論点になっております。子会社不正を抑止し、企業グループとしての自律的行動を確保するために、親会社の株主が、子会社取締役の責任を追及できるようにすべき(多重代表訴訟を認めるべき)、との意見も根強いところかと。この意見に対しては、経済界からはグループ企業を活用した経営戦略を委縮させてしまう可能性があるのではないか、という経営管理面からの批判が出ていることとともに、子会社不正への対応としては、そもそも親会社の取締役の善管注意義務違反を追及すれば足りるではないか、との法制度面での反論も出ておりました。

地裁に続き、高裁も親会社の取締役らについて、子会社不正見逃し責任が認められたことについては、反対派の方々がおっしゃるとおり、多重代表訴訟までは必要ないのではないか、といった議論に有利に援用されることになるのかもしれません(このあたりは、またどなたかの判例評釈等でご議論いただきたいところであります)。

ただ、本件で責任が追及された親会社取締役の方々は、みなさん子会社の非常勤役員たる地位にあったことに加え、判決全文を読まなければわからない「特殊事情」もあることに留意すべきです。ここからは私の勝手な推測にすぎませんが、福岡魚市場株主代表訴訟の事例を、どこまで一般化できるか、という問題です。地裁、高裁の判決を通じて、親会社の取締役の方々は、子会社取締役の不正を長年見抜けなかったことを前提とはしておりますが、現実に裁判官の方々は、素直にそう思っていたのかどうか、若干の疑問が残ります。むしろ、親会社の取締役の方々は、実は子会社取締役の架空売上の計上を知っていた可能性が高いのではないか、そのような子会社不正を親会社としては容認していたのではないか、しかしそこまで明確には証拠からは認定できないからこそ、少なくとも「見逃しについての任務懈怠」があったとして責任を認めても良いのではないか、といった思考過程が垣間見えるように思えます。このたびの高裁判決は、地裁判決よりも自信満々に株主側勝訴と判断したように読めたので、そのように感じた次第です。「不正を知っていて放置」する場合は論外ですが、「子会社の監督はいちおう一般水準程度には真面目に行っていたけれども、不正を見逃してしまった場合」のすべてにおいて、本件が前例としての意義を持つのかどうか、そのあたりも著名な法律家の方々に論評していただきたいところであります。

なお、この高裁判決は、子会社不正に親会社取締役が対応しなければならない、とされるターニングポイント(子会社不正の兆候といえる事実とは何か?)についても判決文の中で触れているので、この点についてはまた別途、興味深い論点として問題を整理してみたいと考えています。子会社のどういった情報が親会社役員に届いた時点から、親会社は有事対応に切り替える必要があるのか、取締役の責任論と絡めて論じてみたいところであります。

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2012年5月25日 (金)

不正の芽と誤謬(ごびゅう)の芽(監査人の注意はどちらに向かう?)

本日(5月24日)の日経新聞で「不正会計防止へ監査基準」の見直しが行われる、との記事が目に留まりました。相次ぐ企業会計不正事件への対応として、金融庁は監査人の引き継ぎやリスクの高い企業への監視体制の整備など、企業の不正行為に対応する手続きを新たに定めるそうです。

不正の芽をつかんだとき、会計士は最善を尽くすためにどのような手続きを踏むべきか議論を深めたい、との金融庁幹部の方の発言が掲載されております。おそらくこの議論は、運よく会計士が不正の芽をつかんだ場合のことを想定しているのであり、「監査人は不正の芽をどうやってつかむか」という点についての議論にまでは発展しないのでは?と考えてしまいます。

会計不祥事を想定した場合、この「不正の芽」を監査人がつかむことは結構むずかしいはずです。なぜなら不正の芽といっても、誤謬(ごびゅう)の芽との境界線はあいまいなわけで、不正の芽らしきものを発見したとしても、まずは誤謬の芽として取り扱うのが「会社との信頼関係維持のため」にも無難だと思うからです。誤謬として会社側が認めて、訂正してくれればそれで一件落着にしてしまうのではないかと思います

※ここでは「不正」とは故意に虚偽の記載をするもの、「誤謬」とは不注意で虚偽記載をするものを指しています。

不正の芽をつかんだと確信できる場合としては、社員からの内部通報や内部告発によって不正の端緒が監査人のもとへ(運よく)届くのが一番確実かもしれません。しかし、通報を受領するような場合でさえ、たとえばオリンパス事件を例にとっても、1998年に初めて損失飛ばしの通報を受けたA監査法人さんは、どこまで対応できたのか、2011年にウッドフォード氏の告発文が送られてきたS監査法人さんは、これをどう受け止めたのか、その対応のむずかしさは申し上げるまでもないと思います。

ましてや、監査人自身が「不正の芽」に気づく、というのは至難の業かと。今の監査制度を前提とするならば、健全な懐疑心をもって監査業務に従事している場合、不正の芽以前に、誤謬の芽に気づくことのほうに監査人として細心の注意を払うのが普通ではないでしょうか。遡及修正に関する会計基準や経営者見積もり、将来予測に関連する会計基準の適用を前提にして経理担当者が決算書を作成しているかどうかのほうが、よほど監査人としては注意を向けなければならないように思います。確率的には圧倒的に誤謬による虚偽記載リスクのほうが高いと思いますので、現場の監査担当者は誤謬を見逃すリスクのほうが実務的な感覚としてはコワイと感じておられるのではないでしょうか。また、監査法人内の品質管理担当者も、現場から上がってくる報告においても誤謬の芽のほうに注意が向くのではないかと。

会計監査人による不正対応につきましては、(監査役制度と同様で)新たな規則を制定するよりも、いまある制度がなぜ監査人によって行使されないのか、その機能不全の構造的な欠陥を見つけるほうが妥当ではないかと考えています。たとえば会計監査人異動時の意見表明制度はなぜ使われないのか、金商法193条の3はなぜ行使されないのか、なぜ監査人と監査役の連携はうまくいかないのか、といったことをまず検討することが不可欠だと思います。

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2012年5月24日 (木)

6月総会終了をもって社外監査役を退任いたします

(私事でございますが)私、株式会社フレンドリー(大証二部)の監査役を8年間務めてまいりましたが、6月27日の定時株主総会終了をもって退任することとなりました(本日の開示情報記載のとおりでございます)。

ありがたいことに社長、会長より「あと4年」とのご要望もありましたが、私自身「社外監査役が『社外』と呼べるのは2期8年まで」との信念を持っておりますし、事実、議決権行使助言会社の指針にも2期8年を超える社外監査役の選任については否決票を投じるところもあるようなので、退任させていただくことといたしました。また同業でありますが、後任に優秀な方が控えておられることも、気持ちを後押ししてくれました。

この8年間、いろいろなことがありました。コンプライアンス的な問題もあり、M&A(統合中止)もあり、株主総会の退場命令あり、GC注記もあり、ということで、社外監査役としての対応を真剣に考えさせていただく機会も多かったように感じます。もう少し業績が回復できてから・・・との思いが届かぬままに退任することが唯一悔しいところです。

社外とはいえ、8年も経営会議に関与していれば、やはり社内の役員に近い発想になってきます。ただ、顧問弁護士とはまた違った視点で、社内の意思形成に関与できたのは幸せでした。常勤監査役さんは、8年間で3名の方にお世話になりました。また多くの役職員の方々にもたいへん勉強させていただきました。これからも外食チェーン「フレンドリー」の一ファンとして、応援していきたいと思います!決して株主総会に出席して文句を言ったりする「特殊株主」にはなりませんので、どうかご安心ください(笑)。

しかし総会終了後の(毎年恒例の)取締役会に出席せず、先に帰るのは寂しいかぎりです。。。

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2012年5月23日 (水)

アコーディアゴルフの乱(その3-現経営陣、次の一手は?)

完全な野次馬モードに入ってしまって、どうしても気になってしまうのがアコーディアゴルフのコンプライアンス問題→事業統合問題の成り行きであります。PGM社長さんの東洋経済インタビューや、現社長の退任を含めた昨日(5月21日)の会社側リリースなど、話題は尽きません。業務執行取締役候補として株主委員会側から推薦されていた3名の方々が、株主提案が通ったとしても取締役には就任しません、と回答されているそうですので、株主委員会側の次の一手も気になるところでありますが、代表取締役が交代した現経営陣の次の一手も気になるところです。

アコーディア社の新社長さんの記者会見によると、PGM・オリンピア側への買収防衛策として第三者割当増資も検討している(選択肢のひとつ)と述べておられるそうです(記者会見を報じるニュースはこちら)。現アコーディア社にホワイトナイトが登場するのかどうかも不明でありますが、そもそもPGM社長さんが「委任状争奪戦も辞さず」と述べておられる時期に、第三者割当増資による買収防衛というのは法律上大丈夫なんでしょうか?基準日以降に株式を取得した者による議決権行使の可否が問題となるところです。

たしかに2010年9月、東証マザーズ上場のアクロディア社は、基準日後に第三者割当を行い、その割当先の株主に定時株主総会における議決権を付与しております(具体的には、取締役会決議により割当相手先に議決権を付与したと公表。実際に議決権は行使されたようです)。したがって定時株主総会までに第三者割当を行い、その相手方株主に対して議決権を付与することは会社法124条4項の趣旨を援用して法律上も可能なのかもしれません。

会社法124条(基準日)

4 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。

しかし株主総会の目前、会社支配権の争奪が生じることが予想される場面において、取締役会の多数派が自派に第三者割当ての方法による株式発行を行ったうえで、議決権の行使を認めることについては「違法になる可能性がある」(江頭「株式会社法 第4版」208頁)とされています。そもそも、そのような株式発行自体が「著しく不公正な方法による」ものとして差止めの対象となるのか、それとも議決権を付与する取締役決議自体が株主平等違反によって無効となるのかは迷うところでありますが、いずれにせよこの時期における第三者割当増資は買収防衛目的で行うにはリスクが高い、ということだろうと思われます。

本件は委任状争奪戦が予想されますので、どちらの側も好感度をアピールしなければなりません。一個人株主さんがコメントで述べておられるように、「これまで現経営陣側の社外取締役は何をしてたんだ?3人もいて結局コンプライアンス問題を指摘できなかったではないか。これなら、今後も同じじゃないのか?」という意見ももっともかと。おそらくそのあたりを大株主側は一般株主に対して強く主張されることになるでしょうね。また、昨日のPGM社長さんのインタビューにあるように、「我々は会社を乗っ取って、アコーディアを意のままにしようとしているわけではない。あくまでも株主共同利益を向上させることをきちんと監視できる人を推薦しました。今回の社外取締役推薦者の顔ぶれを見てください。私たちの意のままになるような人なんか誰一人いないでしょう?」(・・・・ん、そのあたりはなんとも・・・笑)とおっしゃっているのも一般株主へのアピールかと思われます。

株主委員会側としても業務執行取締役の候補者がいない・・・・・という問題は結構大きいように思います。特に一般株主へのアピールとしては苦しいはずです。大株主側から落下傘部隊で・・・ということになると、結局は「乗っ取り」というイメージが強くなるわけで。このあたり、大株主側の次の一手もたいへん興味の湧くところであります。

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2012年5月21日 (月)

あなたはどちらの第三者委員会を信用しますか?(続報・ベリテ社の件)

いつかはこういった事例が出てくるだろうと思い、私は昨年あたりから有識者の方々にお尋ねしておりました。そもそも疑問が湧いたのは、九電やらせメール事件の際に、当時の第三者委員会の委員長の方が「第三者委員会の認定した事実がおかしいというのであれば、佐賀県(知事)側も第三者委員会を設置して調べれば良いではないか?」と述べておられた際、本当に佐賀県側が第三者委員会を別途設置したらどうなるんだろう・・・と不安がふとよぎったからであります。

「たとえば社内不祥事が発覚したケースにおいて、敵対する大株主と現経営者がいずれも第三者委員会を設置して報告書を提出した場合、もしくは現経営者と監査役会が別々に第三者委員会を設置して報告書を提出した場合、その取り扱いはどうすればよいのでしょうか?」

過去にはフタバ産業さんやカブドットコム証券さんの不適切会計処理、インサイダー事件等において現経営陣と親会社推薦委員による二つの調査委員会の意見が分かれたケースはありましたが、私が懸念していたような事例が出たのは初めてではないかと思います。すでに当ブログでも過去に二度ご紹介している宝飾品製造販売大手のベリテ社(東証二部)において、監査役会が設置した第三者委員会(調査報告書を提出済み)と、取締役会が設置した第三者委員会(こちらは検証報告書を提出済み)との意見が食い違い、取締役会としては監査役会設置にかかる第三者委員会の事実認定は採用しない・・・という判断に至ったようであります(同社5月17日付けリリースはこちらです)。とくに本リリースにおける取締役会の監査役会に対する非難がなかなかスゴイ。。。

「今回、当社監査役会は、まったく独自の判断に基づき、調査委員会の設置と調査委員会による調査実施を決定したものでありますが、当社取締役会といたしましては、その慎重さを欠く拙速な判断により、必要性を欠く調査の実施が決定され、また、その公表により、当社の名誉及び信用が根拠なく著しく傷つけられ、さらには、回復基調にあった当社株価の急落により投資家に甚大な損害を与える結果となったことは、遺憾の極みであります。」

「また、調査委員会から、常勤監査役の増員が提案されているところ、当社取締役会としても監査役会の機能強化を図ることには何らの異論もなく、むしろ、本件に関する手続上の不備等について監査役からの指摘がなかったことや、これまでの監査役の当社のガバナンス及びコンプライアンスへの貢献度の低さに鑑みれば、現在の監査役会の体制で十分であるとは到底評価できないと考えるものであり、第68 期定時株主総会において、常勤監査役を増員いたします。」

とくに後半の記述は取締役会の真摯な対応、というよりも「余計なことをしてくれたもんだ」といった監査役会に対する恨み節に聞こえるのは私だけでしょうか(^^;;。なお、これに対しては近々、同社の監査役会から意見を開示する、ということだそうであります。

私はベリテ社の取締役会にも、監査役会にも与するものではございません。なので単なる野次馬的な立場での考察にすぎませんが、少し取締役会のリリースには素朴な疑問が湧いてきます。これまでの同社リリースを総合しますと、まず同社監査役会は今年2月に外部からの情報提供を受けて「取締役」の不正を調査し、相当の嫌疑ありとして外部の調査委員会の設置を決めました。そして、取締役会が、この調査委員会の報告書を受領した後、監査役会からの要望にもかかわらず、その調査報告書を開示しませんでした(簡単な結論部分のみリリースにて紹介)。この取締役会の決議に監査役会は同意しませんでした。その後、取締役会で検証の必要ありとして別途第三者委員会を設置して、その検証結果に基づいて、元の調査委員会報告書を開示しないと決めたようです(ちなみに元の調査報告書の調査実務は、大手法律事務所の方々が担当されていらっしゃいます)。

しかしそうであるならば、そもそも「不正あり」と嫌疑をかけられている取締役は一体どのような立場なのか、代表取締役なのか、それ以外の取締役なのか、また問題とされている取締役は、上記の一連の取締役会決議に参加しているのかいないのか、そのあたりはリリースにおいて開示しなければならないところかと思われます。これまでの3通のリリースを読み返しましたが、どこにも嫌疑の対象となっている取締役は代表者か否か、また当該取締役は「利害関係者」として取締役会の議事に参加しているのかどうか、ということには触れられておりません。不正に関与したとされる取締役の方が、監査役会と対峙する有事において、当該取締役会に参加しているとすれば、そもそも一連の取締役会の監督機能など全く無視されているものでありまして、リリースが信用されるはずもなく、どうみても監査役会の行動のほうが株主共同利益を図る意味で適切ではないか、と思えます。

このような取締役と監査役との対立が、一体どのような力学の上で演じられているのか、その真相は未だよく把握できないところです。ただ、一連の騒動によって株価が急落し、さらにこのたびの件に関する調査費用は業績下方修正の原因にもなっているそうなので、ベリテ社の役員にとっては本当に有事対応が求められる場面となっております。海外の親会社との関係でも説明責任を果たさねばならないところかと思います。取締役会の行動もさることながら、投資家や一般株主は、こういった場合にどちらの第三者委員会を信用することになるのか、今後の監査役会の対応も含めて注目しておきたい事例です。

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2012年5月18日 (金)

アコーディアゴルフの乱(その2-真価問われる社外取締役の独立公正性)

一昨日に引き続き、アコーディアゴルフ社の事例を取り上げたいと思います。前回は同社の株主優待制度と会社法120条をテーマとしましたが、今回は社外取締役の活動についてであります。現経営陣に対立する大株主サイドの質問状において、なぜ社長のコンプライアンス違反を(当時の)コンプライアンス委員会委員長に告発した際、アコーディアゴルフ社は「第三者委員会」を設置しなかったのか?という疑問を投げかけておられます。また、社長のコンプライアンス問題を告発した専務の方も、社長に対して強く第三者委員会の設置を求めたにもかかわらず、これを一蹴された、とのこと。会社としては、社内の不正調査のために、同社の社外取締役らで構成される「特別コンプライアンス委員会」を設置し、同委員会が社長だけでなく専務の不正も認定した調査報告書を提出しました。

さらに、特別コンプライアンス委員会の調査報告書を受けて、来る6月の定時株主総会において会社側上程にかかる取締役・監査役の人選にあたっては指名委員会(社外取締役および社外監査役のおひとりで構成されています)を設置し、この委員会の指名を尊重した選任議案を総会に上程するそうであります。なお、大株主サイドとしては、ご承知のとおり、すでに「大物ぞろい」の取締役、監査役選任に関する株主提案書を提出済みです。近々大株主側において、株主説明会も開催される予定だとか。アコーディアゴルフ社はいま正に有事の真っただ中にあるわけですが、そこで社外取締役の方々が上記のとおり重要な役割を担っておられます。こういった事態において、社外取締役の方々は独立公正な立場で「株主共同利益」のために行動することは果たして期待できるのでしょうか。

なお、一昨日と同様に、株主委員会サイドに立ってのお話だとおもしろくないかもしれませんので、ここはあえて現経営陣側に味方をするような内容で検討してみたいと思います。

社長ご自身のコンプライアンス違反が問題視されているわけですから、社長にモノ言える立場の方といえば社外役員以外には存在いたしません。しかし(大株主サイドが指摘しておられるとおり)社外取締役が不正発見や追及の場面で実効性が認められなかったオリンパスの事例などからみても、その実効性に疑問を抱くケースも出てきます。そこで第三者委員会の設置を求めて、公正な立場で調査を遂行することを大株主側が会社に要望することも十分に考えられるところです。

しかし、会社との利害関係が存在しない、といったことからすれば、たしかに第三者委員会のほうが独立公正な調査が期待できそうにも思えるわけですが、この「第三者委員会」というものも、一概に公正とは言い切れないところがあるのはご承知のところかと思います。しょせんは現経営陣が委員の人選をして、その委員の報酬もすべて会社側がねん出します。そのような状況で第三者委員会を構成しても、本当に独立した立場で不正調査が行われるのかどうか、ということについては疑問符がつくところかと(そもそも、こういった場面を想定してACFEの公認不正検査士が存在します。また関西には大阪弁護士会と公認会計士協会近畿会が共同で立ち上げた第三者委員会名簿登録人推薦制度も存在します)。いずれにしても、果たして大株主サイドが期待されるような調査に疑問が残る以上は、社外取締役の調査に期待しても特に問題ないのではないか、と考えるのでありますが、いかがなものでしょうか(ただし社外取締役のなかに事実認定や財務会計に精通した方がいらっしゃれば望ましいのは当然ですが)。とりわけ第三者委員会はその調査結果については責任を負いませんが、社外取締役は善管注意義務をもって不正調査にあたることが必要です。会社や株主に対して訴訟リスクを負担する分、社外取締役らで構成される調査委員会についても、独立公正な立場で調査が遂行されるものと期待してもよろしいのではないでしょうか。

つぎに社外取締役らが調査委員会を構成し、その結果報告がなされた後、引き続き指名委員会の委員に就任されていますが、これはどのように考えればよいのでしょうか。この点、大株主側からは5月10日付けにて、「結論先にありき」の「茶番劇」と揶揄されており、大いに疑問だと指摘されています。また、大株主から株主提案権が行使され、ガバナンスに大いなる疑問があると主張しているのだから、大株主側が推薦する取締役・監査役候補者についても、ヒアリング等によって会社側選任候補者のひとりとして審査することを強く求めています。

正直、この点は現経営陣側の行動については強く疑問が残るところかと思います。不正調査を行った社外取締役の方々が、そのまま調査結果も考慮したうえで新たな役員の選任を行う、しかもその選任判断には委員会設置会社とは異なり取締役会への拘束力がない、というのは外観的にみて恣意的な運用の疑いがもたれるのではないでしょうか。そもそも指名したい者が存在する場合、その者を不正調査のうえで、いかようにも判断できる立場にあり、大株主サイドが懸念するような事態も生じます。社外取締役の方々が、本当にこれからの企業価値を向上させるに足りる人を選任したいと考えたのであれば、その方に対して手心を加えない不正調査はできるでしょうか。

ただ、社外取締役が総会で選任された以上は、企業が有事に至ったとき、新たな役員候補を指名するなど喫緊の課題に対応しなければなりませんし、これは株主からも期待されるところです。適切な役員を指名するにあたり、その役員候補者の過去の行動を記録から認識することも重要かと思います。だとすれば、不正調査への期待と役員指名への役割が併存することについては、現在のアコーディア社が有事対応を必要とする段階にあることを考えれば、あながち「誤り」とまでは言えないものと考えます。要はこういった疑惑を跳ね返すだけの倫理観が社外取締役には求められる、ということかと思いますし、現経営陣からの独立性をどのように株主にアピールできるのか、今後の対応に期待してみたいと思います。

ところで、社外取締役と大株主との対立・・・というわけではありませんが、監査役会が設置した第三者委員会と、取締役会が依頼した第三者委員会が対立する、といったことが実際に上場会社で発生していますね。第三者委員会制度が広く活用されるにしたがって、いつかはこういった事態が出てくるのではないかと予想しておりました。また来週ご紹介したいと思います。

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2012年5月16日 (水)

アコーディアゴルフの乱(その1-株主優待と利益供与)

企業コンプライアンス・内部統制・ガバナンスに関連する事件として、最近注目されているのがアコーディアゴルフの乱であります。当初、東証一部のアコーディア社の内紛かと思われていた事件が、実は(この内紛は)別のゴルフ場運営会社による買収(事業統合)に絡むストーリーの一環である、との話が浮上してきました(週刊東洋経済における金融ジャーナリスト伊藤歩氏の記事が参考になります)。しかも、その渦中に法曹界の大物の皆様方が役員候補、リーガルアドバイザーとして多数登場されることも重なり、内容が興味深くなるにしたがって、到底私のような一介の法律家がコメントできるような「かわいい事件」とは言えなくなってまいりました。

アコーディアの現経営者に対立する大株主オリンピア社は、アコーディアゴルフを変えよう、をモットーに「アコーディア・ゴルフ株主委員会」を設立し、HPを立ち上げ、会社側からのリリースに対抗するリリースを毎日のように発信しておられます。私の周辺では、どうもオリンピア側に賛同される方が多く、アコーディアの現経営陣に好意的な見方をされる方が少ないのが現状です。もうアコーディア現経営陣側としては、出すものは全部出しちゃったのでは?といった感想を漏らす方もいらっしゃいます。

オリンピア側に有利な見方をされる方々には申し訳ないのですが、そのような見方に同調してしまっては、このブログのおもしろさは全くありません。ここはむしろアコーディアの現経営者側にとって有利な事情を探ってみたいと思います。

ところで、オリンピア側(株主委員会)が5月15日付けにてアコーディア社取締役指名委員会宛てに送付した書簡によりますと、オリンピア側としては、アコーディア経営陣側が4月下旬に突如、株主優待制度を公表したことを問題視しておられます。この時期の株主優待券の配布行為は、会社法120条1項によって禁止されている「株主への利益供与」に該当するものであり、刑事罰にも匹敵するコンプライアンス違反である、とのこと。6月の定時株主総会に向けて、大株主から株主提案権が行使された直後に、会社側が株主優待制度(3000円相当のゴルフ施設利用券)を公表したのは、現経営陣にとって株主総会を有利に進めることを目的としたものであり、平成19年のモリテックス事件判決の趣旨からみても会社法が禁じている株主への利益供与に該当する、といった内容です。

本件につきましては、最終的にはプロキシーファイト(委任状争奪戦)による力関係で決着がつくものだとは思いますが、なるほど、会社側の株主優待制度に関するリリースを読みますと、保有株式に応じて株主優待券を交付しますとあり、この時期に優待内容を決定したとなりますと、アコーディア・ゴルフ株主委員会のおっしゃるとおり、かなり問題があるようにも思えます。

ただ会社法120条1項は「株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」と定めるものであり、たとえば議決権行使にあたり財産上の利益を供与した場合にはこれに該当することはモリテックス事件で東京地裁が述べたとおりです。しかし今回は、すべての株主に対して、しかも保有株式数に応じて優待券を配布する、というものですから、「議決権を行使する株主」といった特定株主を対象としたものではありません。したがって、これを120条1項の「株主の権利の行使に関し」と言えるかどうかは微妙です。モリテックス事件判決では、とくに会社側、株主側どちらの提案に賛成するかは関係なく、会社の現経営陣側が議決権を行使することを条件に500円相当のクオカードを贈呈することが「利益供与」と認定されました。そこでは「株主の権利の行使に関し」という文言の解釈は特に問題にはならず、原則として「利益供与」に該当するものの、例外的に「利益供与」に該当しない「正当理由」があるかどうかが詳細に検討されています。アコーディアの事案では、そもそも「株主の権利の行使に関し」といえるかどうかが問題となるものですから、モリテックス事件が参考となる事案といえるのかどうかは微妙です。

次に、この会社法120条は会社に対する禁止行為とともに、利益供与が行われた際の関係者間の民事上の権利義務関係を規整したものですが、同法970条では、株主への利益供与に関与した者に対する刑事罰が設けられている、ということをどう考えるのか、という問題です。120条の文言を緩やかに解釈してよいか、という点です。会社法970条では利益を供与した者だけではなく、(情を知っていながら)利益を享受した者に対しても刑事罰が課されています。刑事罰が課されるわけですから、「株主の権利行使に関し」なる条文の解釈にも罪刑法定主義による明確性が求められます。さらに970条では、特定の利益享受者が処罰対象者として予定されていることも重要です。もちろん民事と刑事では条文の解釈を異にしても理屈の上では問題ないかもしれません。しかし、120条と970条の文言を別々に解釈する、というのはいかにも美しくありません。モリテックス事件判決が、「原則として利益供与に該当する」としながら、「例外的な場合」として利益供与に該当しない特別な事情を慎重に検討したのも、こういった970条と120条1項との関係があるため、と解されます。970条が存在する以上は、120条1項の「株主の権利の行使に関し」なる条文も、文言に忠実に厳格に解釈するほうが妥当なのではないかと思います。

最後に、アコーディアの一般株主に対して、現経営陣の上程議案に賛成してもらうことを目的とした「人気取り」のための施策ではないかとの疑問が生じます。そもそも会社法120条1項が「株主への利益供与」を禁じている趣旨は、(昔は総会屋対策と言われていましたが)会社運営の公正性、廉潔性を維持するためと言われています。大株主と現経営陣が対立する構図にある状況で、来るべき総会で(一般株主の方々に)現経営陣の味方になってもらおうといった目的で会社資産をばらまいたのであれば、会社運営の公正性・廉潔性といった視点からは問題かと思われます。しかし、アコーディア現経営陣側からのリリースによりますと、従来からも株主優待制度は採用していたのであり、昨年は震災直後ということもあり差し控えていたとのことです。また(これはそれほど説得的ではありませんが)次年度以降も同様の優待制度を続ける、と公表しています。つまり、こういった株主優待制度が特別に実施されたものではなく、長期保有のために株主へのサービスの一環として行われていたのであれば、単なる人気取りのために行ったとは言えないのではないでしょうか。

ほかにも監査役選任に関する問題点や従業員からの賛同の意思表明に関する問題など、この事件には興味深い論点が「てんこもり」ですが、明日は(明後日かもしれませんが)「その2」としまして、社外取締役さん方に焦点を当ててみたいと思います。アコーディアゴルフ社の社外取締役の方々が、この騒動の中で前半戦の主役を演じているわけですが、社外取締役は果たして自社の不正調査を公正に行えるのか、第三者委員会に任せるべきではないのか、といった論点に踏み込んでいきたいと思っております。

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2012年5月14日 (月)

闘うコンプライアンス-敵は行政だけではない(景表法問題)

ここ2週間ほど、コンプガチャ規制に関する騒動がマスコミやSNSを駆け巡りました。私はゲーム業界やソーシャルゲームによる事業経営に精通しているものではありません。それでも先週二度ほど本問題をエントリーいたしましたところ、たいへん多くの方に閲覧いただき、メールやコメントにて、多くのご意見を頂戴し、また私自身の基本的な認識の誤り等もご指摘いただきました。

本件は、ゲーム産業の騒動に留まらない、重要な企業コンプライアンスの問題を含むものと認識しておりますので、改めてここまでの意見を書き留めておきたいと思います。

前のエントリーでも書きましたが、これほど行政の事前規制の代替手法がうまく功を奏したケースはなかったのではないか、と思います。行政当局としては100点満点の効果ではないかと。コンプガチャは景表法違反の可能性が高いとの見解が示されると報じられると、グリー社、DeNA社を中心に、コンプガチャ廃止決定が次々とリリースされました。まるで各企業とも、消費者庁から一斉に排除措置命令が出されたかのような風情です。一社も「我々は違法だとは思っていない。もし消費者庁から何らかの処分が下れば断固闘う」といった姿勢を見せる企業は存在しません。とくにこういった企業対応を責めるわけではなく、高度にコンプライアンス重視の経営が進むと、こうなるのだなぁと実感する次第です。こういった状況のなかで、おそらく行政当局としては、大手を振って自身の見解が絶対に正しいものとして示され、そこに大きな権威付がなされることになろうかと思われます。

このたびの現象に味をしめて、おそらく消費者庁だけでなく、どこの行政機関も、今後同様の「正式な事前規制なき代替規制」によって各企業の営業活動への束縛を強めることになろうかと。なんといってもコンプライアンス経営重視の時代、業界団体や取引先企業の行動(コンプライアンス違反企業とは取引はできない、違反企業は業界団体として協力できない)によって、争いたくても争えない状況に立ち至ってしまうわけです。あたかも行政だけが相手方であるかのように思えるわけですが、実は「コンプライアンス」を錦の御旗として、利害関係者の行動によって事業の継続性に支障を来す事態に追い込まれてしまいます。これは本当におそろしい状況です。

しかしJFKさんも指摘されるとおり、コンプガチャの違法性については、あくまでも行政による見解であり、常に正しいとは限らないはずです。行政は国民の生命・身体・財産に対する安全を保護する立場にあります。したがって「国民の生命、身体、財産の安全にとって、何か被害があっては遅い」という視点で物事を判断します。そうなりますと規制(行政の見解)は拡大傾向(権利侵害的)になるのが当然です。とくに今回のように営業の自由の侵害に向けられた場合、その萎縮的効果が非常に気になるところです。こういったケースでは、司法判断を得る機会が付与されることで権利救済が図られるわけで、憲法上の裁判を受ける権利も保障されます。しかし、司法で救済されるべき行政による事前規制が縮小され、これに代わるソフロトー規制全盛の時代になりますと、裁判で権利が救済される意味も失われ、結局行政による恣意的な営業規制に歯止めがかからなくなります。

事後救済的見地からの思いつきでしかありませんが、やはりこういった行政当局からの圧力に対しては、企業側としても(当面は従うことはやむをえないものと思いますが、今後の事業継続のためにも)十分な法的判断を要するものと考えます。当然、消費者庁との継続的な審議の場が必要ですし、毎度同じことを申し上げて恐縮ですが、比例原則、平等原則、多事考慮の視点から行政当局の対応について吟味する必要があろうかと思います。

比例原則

まず弊害を除去する目的としてコンプガチャ規制廃止は過剰な規制にならないか?もっと他に、緩やかな規制はできないのか?という問題です。消費者庁が詳細なガイダンス等において、景表法違反とそうでない事業活動との境界線が明確になれば良いのですが、もしそうでないとすると、今後も業界団体等においてこの境界線を検討していく必要があると思います。ただし、コンプガチャ規制は行政当局にとっては必要最小限度の規制と考えており、もし公式な処分が出されると、その周辺領域にまで規制が及ぶ可能性があることも考えておかねばならないところです。たとえば本日の日経ヴェリタスの記事にもありますように、ビンゴ形式など同様に課金を促すシステムは無数にあり、規制対象がコンプガチャ以外に広がる可能性があります。そうなると、各企業とも業績への影響がどの程度なのか計り知れません。

平等原則

次に同様の規制対象行為は他の業界にも存在するのに、なぜゲーム市場だけなのか?という問題であります。ゲーム業界だけが景表法の対象となることについて明確な理由があるのかどうか、ここがはっきりとしなければ他の業界も、萎縮効果が発揮され、自由な営業活動が過度に自粛されてしまうのではないでしょうか。たとえばコメントでDMORIさんが指摘しておられるように、なぜダイヤルQ2の規制の件と今回は異なるのか?課金制度そのものにこそ問題があるのではないか?携帯電話会社にも国民の被害拡大に関する共犯的な責任があるのではないか?という問題にも明確な回答が必要になろうかと思います。

他事考慮

これは「警察と消費者庁との縄張り争い?」といった記事を紹介されている迷える会計士さんのご指摘が象徴的です。本当は課金制度にまつわる射幸性の高さや未成年者保護が問題であり、パチンコ規制と同様に規制すべきとの行政当局の真意があるのでは?といった問題であります。警察行政の手法として、一定の網(形式的、軽微な違法状態の存在)をかけておいて、政治的思惑をもって、ピンポイントでターゲットを絞り、別件を追いかけていく、という手法。たとえば賭博性の強さを規制するために、もしくは未成年者保護を主たる目的とするために(コンプガチャについては30代~40代が利用者の主流なのに)景表法を問題とするといった問題です。

本問は、各企業がコンプライアンス経営を重視する傾向にあるなかで、その企業の姿勢をうまく活用して行政目的を実現するという新たな事前規制代替手段の広がりを検証するために、きわめて興味深い事件です。被害者の会等によって、被害者の方々がゲーム各社に対して訴訟を準備していると報じられています。事後規制(権利救済)の世界において、コンプガチャの違法性が明確になるのかもしれないが、被害者が民事的に救済されることと、行政法的に問題が指摘されることとは論点が異なります(コンプガチャが違法だと認定されたからといって、民事上の契約が無効になり返還請求が認められるとは限りません)。          

むしろ企業がコンプライアンスの美名のもとに、過度に事業活動を自粛したり、他者を批判することに伴う経済活動への影響こそ、これからの大きな課題だと認識しております。この課題を企業自身が克服していかなければ、被害者救済だけでなく、事前規制の分野でもますます「弁護士の飯のタネ」を増やす結果になってしまい、企業のコストは増える一方であります。そういえば、最近「コンプライアンス上の問題行為あり」として、企業と対立する役員の告発事件が続発しております。そういった事件の代表的なものを、そろそろ取り上げてみたいと思います。

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2012年5月10日 (木)

闘うコンプライアンスー景表法違反で御社は闘いますか?その2

本日はBLOGOSさんやアゴラさんに転載いただくほど、たいしたことは書いておりませんので、先に申し上げておきます(笑)

皆様すでにご承知のとおり、コンプガチャ問題についてグリー社もDeNA社さんも5月末をめどにコンプガチャを廃止します、と発表されました。裁判問題もありますので「違法とは思っていないが」」と言わざるを得ないところですが、実質的には消費者庁の意向を汲んで、同システムから撤退、というところかと。いろいろと書きたいことはございますが、さすが常連のKazuさん、JFKさんが、私の書きたいことをすべてコメント欄でおっしゃっていただいているので特に付け加えることはございません(笑)

事前規制的なコンプライアンス問題には、今回のように素早い対応が(企業防衛的には)必要かと思います(食べログ問題のときのカカクコムの対応なども同様かと)。全面撤退が必要だったかどうか、たとえば自主規制機関によって未成年利用防止措置を促進する、という方法もあったのではないか等、いろいろと考えられるところですが、各社とも潔かったですね。このあたりの撤退の速さも、やはり新興企業の身のこなしですね。

しかしサイバーエージェント社の社長さんがインタビューで「絵合わせなど、法律違反とは全く知らなかった」と述べておられますが、Kazuさんもご指摘のとおり、そもそもコンプガチャのリーガルリスクについては各社とも全く想定していなかったのでしょうか、それとも意見書はとりつけていたものの、リスクを承知で見切り発車ということだったのでしょうか、そのあたりは私も知りたいところです。

また、今回ほど、事後規制社会への移行(小さな政府論)に伴う事前規制の代替手法がツボにはまった事例はないのでは?なにもしなくても企業が(政府の思うとおりに)動いてくれるという、まさに政府の思うツボ?効率的かつ効果的な行政手法とは、まさにこのたびのような事例です。良いか悪いかは別として、でありますが。

※すいません、本当は事件の進展が著しいアコーディアゴルフ社の件をブログで書きたかったのですが、本業が忙しく十分なフォローができませんでした。。。アコーディアの件、ホントに興味深いですね。

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2012年5月 8日 (火)

闘うコンプライアンス(景表法違反で御社は闘いますか?)

(9日午前 訂正あり)

ひさしぶりの「闘うコンプライアンス」シリーズですが、ソーシャルゲーム(アイテム課金制の無料ゲーム)で急成長のグリー社、DeNA社のコンプガチャ(ソーシャルゲームにおいてレアモノのカードを入手するための絵合わせ電子くじ)が景表法違反になるのではないか、との報道がなされ、両社とも株価が急落したとのこと。消費者庁としては、まだ違法性の疑いがあるかどうか、リリースはしていないようです。

カード合わせ、絵合わせによる懸賞くじは、たしか1960年代から景表法によって全面禁止だったように記憶しております。その昔、某キャラメルのおまけで巨人軍の選手と監督のカードを全部集めると豪華景品がもらえるとのことで、必死になって集める子供たちがいて、そのうちキャラメルだけ捨ててカードだけ集める、ということが社会問題となったのが規制の発端ではなかったかと。銀のくちばしを5個集めて「おもちゃの缶詰」がもらえる森永チョコボールとどこが違うのだろうか・・・と素直に疑問を感じておりました。

消費者法はあまり詳しくございませんので、このコンプガチャが景表法違反に該当するのかどうかはコメントいたしませんが、消費者庁が「景表法違反の疑いがある」と各方面に広報する、ということになりますと、グリー社等は(コンプガチャによる売上が、ゲーム事業の収益の9割を占める3割程度を占める課金制度なので)今後の収益に大きな影響が出てくるのかもしれません。いずれにしても、ゲーム会社にとって一大事となりましたので、もし今後景表法違反の疑いがあり、消費者庁から排除措置命令の可否に関する呼び出しなどがあった場合、どう対応すべきか、という点が企業の課題となるところであります。

消費者庁が、不正行為と判断したとしても、あくまでも行政当局の判断です。もし反論があるのであれば、事前手続きで弁明すればよいでしょうし、排除措置命令が下りたときには不服申し立てをすればよい、ということになります。当局の解釈が絶対ということはありませんから、司法の場で争えばよい、まさに新潟県加茂市と正々堂々と闘ったファストファッションのしまむら社のように、闘うコンプライアンスの姿を貫けばよいと思います。

ただ、このコンプライアンス経営のご時世、景表法違反の疑いをかけられた企業が、本気で消費者庁と闘うには相当の勇気が必要です。排除措置命令や警告、というものが下りた場合、もちろん不服申立、取消訴訟、国賠等の司法救済は可能ですが、行政処分は止まってくれません(行政行為の公定力)。つまり不正行為を継続する企業としてのレッテルを貼られたままです。レッテルを貼られるとどうなるか?金融機関は「コンプライアンス違反企業」に融資を継続してくれるでしょうか?大手小売業者は商品の棚を提供してくれるでしょうか?ソーシャルゲームのひとつとして、遊ぶ場所を携帯各社は提供してくれるのでしょうか?それぞれの企業にとって、不正行為の助長による収益拡大はコンプライアンス違反です。各社とも、消費者庁の是正命令に従うことを条件に取引を継続する、ということになるのではないかと。

被害者団体から訴訟を提起されたり、将来収益への疑問から株価が急落することはまだマシです。時間をかけてゆっくり対応しても大丈夫です。しかし、消費者庁と正々堂々闘うことは「自分が正しい」と考えている上場会社にとっては賞賛されるべきですが、その闘っている期間、商品の販売ができなくなってしまう可能性が生じる、ということです。これが景表法違反を争う場合の最大の問題です。かつてはこんな状況にはならなかったと思います。しかし他社がコンプライアンス違反に敏感に反応してしまうようになった分、景表法違反は企業の息の根を止めてしまうほどの威力をもつようになり、結局争いたくても争えない状況に置かれてしまいます。

世間では(意外と)景表法違反問題は軽くみられているところがありますが、BtoCの上場会社におきまして、商品を販売するルートは極端に狭められてしまいます。したがって、多少不服があっても行政当局には逆らわない(逆らえない?)という道を選択してしまいます。今回のグリー社らも、今後どのように景表法問題に対応していくべきか、正念場を迎えることになりそうです。

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2012年5月 7日 (月)

ひさしぶりの「物言う監査役シリーズ」-ベリテ社事例の続編

一週間のご無沙汰でございました。私はといいますと、連休初めに家族旅行に出かけたものの、4月30日から昨日(5月6日)まで、新刊書の原稿執筆に明け暮れておりました。本当に、こんなに執筆に没頭したことは生まれて初めてです。なんとか一冊分の原稿(粗原稿ですが)を書き上げまして、本日より本業に復帰でございます。新刊書は、一番書きたかった「法と会計の狭間の問題」をいくつか取り上げまして、弁護士、会計士だけでなく一般企業の方々にもお読みいただける内容にしております。その節は、またご紹介したいと思います。

さて、3月20日のエントリー「取締役の不正行為に関する内部通報を受領した監査役対応(ベリテ社事例」でご紹介しました宝飾品販売大手のベリテ社の件ですが、調査委員会の報告書を取締役会が受領した旨、4月27日にリリースが出ております(調査委員会による報告書受領のお知らせ)。ちなみにベリテ社は、非上場の親会社が57%の株式を保有しており、親会社が外国人の社外取締役を派遣、その他の取締役も代表者以外はすべて外国人取締役です。監査役会が会計不正疑惑を(内部通報によって)知り、自ら第三者委員会を設置し、その委員会がこのたび報告書を提出した、とのことです。

概要はリリースにあるとおりで、明確に架空取引があったとまでは言えない、との結論だった模様です。ただ興味深いのは、監査役会が取締役会に対して、この調査報告書の全文(全内容)を開示するよう求めたところ、取締役会は全文開示は不相当と判断したこと、その取締役会の判断に監査役会が不同意としたことが掲載されております。特定取引先との架空取引の疑いや、関連会社との融資目的による経済的合理性のない取引の疑いが調査委員会によって判明しているようですが、おそらくこういった事実関係についてはステークホルダーへの説明義務があることを監査役会が主張しているもののようです(ちなみに、社外監査役2名は、金融機関出身、なかでもおひとりはM&A投資コンサルタント会社の役員の方。投資家向けの情報開示については厳しいご意見をお持ちなのかもしれません)。

こういった第三者委員会の報告書を全文開示することの是非も問われるところかと思いますが、なんといっても、このリリースのおもしろいところは、取締役会と監査役会の間に意見の相違がある(現に問題を残している)ということを開示させたことであります。おそらく監査役の方々が、社長に調査委員会報告の全文を掲載しないと判断した経過とその理由を開示せよ、と迫ったことによるものかと思料されます。

物言う監査役については賛否両論あるかとは思いますが、私は監査役(監査役会)の活動が目に見える形で外部に伝わることには賛成です。もちろん、このような意見の相違が顕在化するまでには(社内で解決を図るべく)何度も協議がなされたかとは思うのですが、それでも意見の対立が残るようなケースにおいては、大株主以外の少数株主の利益保護のためにも、好例ではないでしょうか。

なお、今後もまだ調査委員会による追加報告がなされるようですので、ひさしぶりの物言う監査役さんの活躍事例として、ベリテ社の不祥事疑惑の進展について注目してみたいところです。

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2012年5月 1日 (火)

セミナー・イベントのお知らせ(ふたつほど・・・)

GWの真っただ中、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はといいますと、ずいぶんとプレッシャーをかけられております新刊書の原稿執筆に没頭しておりまして、ブログの更新もお休みさせていただいております。

こういった時期にこそ、セミナーやイベントのお知らせをさせていただきます。残念ながら同じ日に重なってしまい、私もどちらへ行けばよいのか迷っております。

ひとつめは、いつもお世話になっております第一法規さんの会社法関連のセミナーでございます。

法制審議会から、「会社法制の見直しに関する中間試案」が発表されました。法制審議会では企業統治などを中心に審議が行われましたが、繰り返される大企業の不祥事も絡んで、大いに話題になっています。本セミナーは、弊社の『論点体系会社法』の発刊を記念して、この改正がなされた場合に取締役会はどうかわるのか企業再編はどうかわるのか、という観点から「未来予想」をしてみるという意欲的な企画です。

◇テーマ  :会社法の実務上の論点を理解する

◇日  時: 2012年5月18日(金) 13:30~17:00(受付開始13:00)
◇会  場: ヒルトンプラザ ウエスト 第二吉本ビルディング8階 AB会議室

◇受講料:①一般のお客様 お一人様 10,000円(税込)      

②『論点会社法全6巻セット』をご購入済みのお客様または本紙にてご購入をお申し込みの方 お一人様  3,000円(税込)

◇定 員: 先着順 70名  *定員となり次第、締め切らせていただきます。

◇講 師: 阿多博文氏(同志社大学法科大学院客員教授、元法務省法制審議会会社法部会委員、弁護士)

大阪弁護士会において、おそらく会社法にもっとも精通しておられる阿多弁護士によるセミナーです(商事法務のセミナーでも有名)。

詳しいご案内、お申し込みはこちらからお願いいたします。

そしてもうひとつは、昨年もご紹介いたしました「StartUpEngine2012」でございます

2006年ころから比較するとまだまだではございますが、やっとIPOにも薄日が差してきたのではないかと。そこで、関西でIPOを目指すようなベンチャー企業が増えていくことを願い営業創造さんはじめ、著名企業さんが運営支援するイベントが今年も開催されます。

日時 2012年5月18日(金) 13:30~17:30 (13:00受付開始)
会場 大阪国際会議場 10F 大阪市北区中之島5丁目3-51 会場地図はこちら
参加費 3,000円(税込)  ※ネットワーキングディナー:5,000円(税込)

『成⻑志向企業の経営者、起業・事業創造を志望するビジネスパーソン及び学生』を主たる対象に、「次代起業家、新事業を生み出す知識・人・気持ちが集まる場の創造」を目的とした企画です。企業・起業支援に経験を積んだメンバーが核となり、知識・人・気持ちの新たな繋がりの基点となることを目指します。

2年目となる今回は、ベンチャー創業から上場を経て、今もなお成長を続ける企業の経営者として最前線で活躍されているスピーカー陣を迎えます。
また、法務・会計・資金調達など多くの企業を支援する主催者による講演も予定しております。
是非ご参加ください。
Startup Engine 主催者一同

詳しくは、こちらまで

私の本業はどちらかといいますと、ベンチャー企業がドツボにはまってしまって、さあたいへん!というなかでの支援なので、ちょっと後ろ向きなのですが、このように創業者への前向きな支援はいいですね!先週、ファーストリテイリングで2年間、ゼネラルカウンシルをされた方(このたびオリンパスの監査役に就任された方ですが)のお話をお聴きしましたが、なぜ柳井CEOはコンプライアンスに特別な配慮をしないのか、という話がとても印象的でした。経営判断のなかにコンプライアンスリスクがすでに組み込まれているのだそうです。利益の量より質、損失の量より質が優先。つまりコンプライアンスはブレーキではなく、アクセルを安心して目いっぱい踏み込むための大前提ということだそうです。

どちらも5月18日ですが、ご興味のあるほうへ参加してみてはいかがでしょうか。

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