« 闘うコンプライアンス(景表法違反で御社は闘いますか?) | トップページ | 闘うコンプライアンス-敵は行政だけではない(景表法問題) »

2012年5月10日 (木)

闘うコンプライアンスー景表法違反で御社は闘いますか?その2

本日はBLOGOSさんやアゴラさんに転載いただくほど、たいしたことは書いておりませんので、先に申し上げておきます(笑)

皆様すでにご承知のとおり、コンプガチャ問題についてグリー社もDeNA社さんも5月末をめどにコンプガチャを廃止します、と発表されました。裁判問題もありますので「違法とは思っていないが」」と言わざるを得ないところですが、実質的には消費者庁の意向を汲んで、同システムから撤退、というところかと。いろいろと書きたいことはございますが、さすが常連のKazuさん、JFKさんが、私の書きたいことをすべてコメント欄でおっしゃっていただいているので特に付け加えることはございません(笑)

事前規制的なコンプライアンス問題には、今回のように素早い対応が(企業防衛的には)必要かと思います(食べログ問題のときのカカクコムの対応なども同様かと)。全面撤退が必要だったかどうか、たとえば自主規制機関によって未成年利用防止措置を促進する、という方法もあったのではないか等、いろいろと考えられるところですが、各社とも潔かったですね。このあたりの撤退の速さも、やはり新興企業の身のこなしですね。

しかしサイバーエージェント社の社長さんがインタビューで「絵合わせなど、法律違反とは全く知らなかった」と述べておられますが、Kazuさんもご指摘のとおり、そもそもコンプガチャのリーガルリスクについては各社とも全く想定していなかったのでしょうか、それとも意見書はとりつけていたものの、リスクを承知で見切り発車ということだったのでしょうか、そのあたりは私も知りたいところです。

また、今回ほど、事後規制社会への移行(小さな政府論)に伴う事前規制の代替手法がツボにはまった事例はないのでは?なにもしなくても企業が(政府の思うとおりに)動いてくれるという、まさに政府の思うツボ?効率的かつ効果的な行政手法とは、まさにこのたびのような事例です。良いか悪いかは別として、でありますが。

※すいません、本当は事件の進展が著しいアコーディアゴルフ社の件をブログで書きたかったのですが、本業が忙しく十分なフォローができませんでした。。。アコーディアの件、ホントに興味深いですね。

|

« 闘うコンプライアンス(景表法違反で御社は闘いますか?) | トップページ | 闘うコンプライアンス-敵は行政だけではない(景表法問題) »

コメント

<IT時代と法規制の観点から>
私はキャラメルやチョコレートに「おまけ」が付いていた時代を知っている世代ですが、今の若者を中心としたIT技術の世界はは中年の理解を超えたすさまじい技術力、ノウハウを有した状況です。ただ、いわゆる「技術屋バカ」が作っていくモノの中には、かつて似たような収益モデルが否定されたビジネスモデルが今後も出てくる可能性はあるとみています。過去の事例や法令違反、あるいは今回の発端である「子供による巨額の出資が起こりうる」といったモラルに反する等、「そういう内容ではないビジネスを行う、という点に対する甘さ=会社の法令遵守の(精神というよりは)知識、経験則のなさ、事例研究の弱さ」といったことを今回強く感じます。
ここのバランス、すなわち、IT時代のノウハウによる新ビジネスも結構だが、法令的にはどうよ?モラル的にはどうよ?という広い意味でのコンプライアンス、あるいは社会的責任を前提とした見地からの事前確認がなされたうえでのビジネス開拓が大切なのだ、ということを、私自身も痛感したしだいです。

投稿: 伊藤 晋 | 2012年5月10日 (木) 10時17分

良いか悪いかは、たしかに別でありまして、規制が及ぶ「かもしれない」の状態で退却せざるを得ない状況は、日本企業の競争力が削がれている証左かと思います。規制の実情を前提に動いている法務やコンプライアンス部門も同様で、徐々にグローバル化している事業部門からすると無用なブレーキを踏んでいると映っていることでしょう。こういう思想はまだあまり流行らないのでこれ以上書きませんが、「子供を相手にした搾取」という議論には素朴な疑問がございます。
未成年者が無断で高額の支出をしても無効なので、そもそも民法レベルで守られているのではないかという点がひとつ。ここは、未成年者をパターナリスティックに守るべきポルノ規制等とちがうところです。保護法益の質も違いますしね。また、あおられて10万もの出費を強いられたといえる事例が果たしてどれだけあるのかという点です。客のほとんど(多くは若者)は無料で遊んでいるとも言われていますので。おそらく、比較的購買力の高い若者層が、むきになってお金をつぎ込んでいるというのが実態ではないでしょうか。それならば、世の中には普通にあっていい光景です。

投稿: JFK | 2012年5月10日 (木) 20時40分

消費者庁が4月に入り規制の方向の舵を切ったのは、消費者保護という本来の目的以外に、別の理由があったようです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32508
行政による規制は、このように別の目的が隠されている場合もあり、一般的にはあまり望ましくないと考えますが、今回のケースでは、射幸性の点でソーシャルゲームとパチンコを別異に取り扱う合理性がないと考えられることから、一定の規制は必要と思われます。

景品表示法に関連して、単なるファンとしての興味からですが、アイドルグループの握手券付CD販売は、同法に抵触する可能性はないでしょうか?
握手券は総付景品に当たるため、本体価格の20%以内でなければなりませんが、景品としての価値を①市場価格又は②握手会の運営コストから算出する方法が考えられます。①ネットオークションで1000円から2000円で取引されており、20%の制限を超えることになります。②については、具体的な数字はわかりませんが、有力メンバーを1日拘束するための人件費、会場の賃料、運営スタッフの人件費等からなるため、相当の額となる可能性があります。

投稿: 迷える会計士 | 2012年5月11日 (金) 22時39分

 こうした行政の動き(法的根拠がない行動)に対する予防手段は考えてこなかったのでしょうか。たとえば、未成年保護スキーム、また、不公正さが疑われるプログラム(一定の料金支払いがないと、レアカードが出ないとか、確率を主催者が任意に変更できるとか)がないことを検証等に関するシステムを作るとか、そういった万全さを形成し、法律家の意見書は当然とりつける、といったことです。

 自主規制をすると、かえって市場原理の足かせになるので難しいのですが、もうちょっと先手を打っておく手段はないものでしょうか。

投稿: Kazu | 2012年5月14日 (月) 12時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 闘うコンプライアンスー景表法違反で御社は闘いますか?その2:

« 闘うコンプライアンス(景表法違反で御社は闘いますか?) | トップページ | 闘うコンプライアンス-敵は行政だけではない(景表法問題) »