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2012年6月20日 (水)

今度はどうなる?ヤクルト本社VSグループ・ダノンの攻防

この時期はどうしても株主総会ネタが増えることになりますが、アコーディアゴルフ社や関西電力社など、とても興味深い総会よりもやや早く、6月20日はヤクルト本社(「本社」までが会社名)の定時株主総会が開催されます。新聞報道等では、20%の株を保有するグループ・ダノンとの提携の行方を占ううえでも重要な総会になる、とのこと。そもそも2000年ころの損失飛ばし事件の際、ダノン社が3%の出資をして、2003年には20%に出資比率を引き上げたようですが、この20%引き上げの攻防は、日経新聞編集委員の三宅伸吾さんの「乗っ取り屋と用心棒」271ページ以下で紹介されています。

同書では、いきなり20%まで買い増したダノン社に対抗しようと、ヤクルト本社が東京の大手法律事務所に相談にいったところ、「このまま頑なに拒んでいたら、どんどん買い増してきますよ。どこかで妥協しなさい」と言われ、2008年(その後2012年まで伸長)までの現状維持協定を結んだことが記されています。その期限が到来した、ということで今後のダノン社の対応が注目されているところかと。すでに妥協案として28%案がダノン社側より出されましたが、これをヤクルト側は頑なに拒否しているそうです。

TOBの可能性も十分にある、と企業法務で著名な先生が(ダイヤモンドニュースにて)おっしゃっておられますし、先の大手法律事務所の先生の助言内容などからも、もはや35%まで買い増しが強行されても文句は言えないように思えます。しかしどうなんでしょうか、グループ・ダノンとしては、今回もそんなに簡単に強硬策に出るようには思えないのです。なんといってもヤクルト本社がノウハウを持つ「BOPビジネス」(開発途上国の比較的貧困な方々に購入してもらい、しかもCSRではなく、しっかりと本業で儲けを出す仕組み)は真似ようとしても真似できなかったのではないか、と。日本では「ヤクルトレディ」さんの販売形態が有名ですが、開発途上国における販路拡大でもヤクルトは一定の成果を上げているようです。このBOPビジネスはダノン側としても、アジアの販路拡大にとってはどうしても手に入れたいわけで、ここでホワイトナイトでも出てくると、これまでの努力が水の泡になってしまうような気がします。

また、日本ではなかなか敵対的なM&Aは成功しない、ということも認識されているのではないでしょうか。もちろん、ヤクルト「販社」と手を結び、買い増しの脅威が噂されるところかとは思いますが、経営者交代、というところでの利害は一致するかもしれませんが、企業統治の異なる経営陣の姿勢と長年のヤクルトビジネスが、そのまま一致するのかどうかはよくわからないところです。

結局のところ、(これまで以上にダノン社が経営に関与する形で)今回もどこかで妥協することで決着がつきそうな気がするのですが、甘いでしょうかね。これはあくまでも私個人の意見なので、投資判断は皆様方の自己責任にてお願いいたします<m(__)m>。M&Aネタでは毎度申し上げるところですが、私は特にこの分野の専門ではございませんので、あくまでもガバナンスに関心を寄せる野次馬的意見、ということでご理解くださいませ。

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コメント

私も野次馬的な意見なのですが、一社ぐらい敵対的にM&Aされてしまったほうが、かえって日本のため、とも思えるのですけど、経団連-日経新聞ラインには許せないのでしょうねえ。

いくら優れた技術でも、いまいちな経営者のもとで、「埋もれたまま」になっているより、もっと普及拡大できる能力を持った経営者に広めてもらったほうが日本のためじゃないでしょうか? 

本当に「ものづくり」を愛おしく思う気持ちがあるのなら、経営ではなく、技術や製品のさらなるグローバル化を望む(Jリーグでプレーするより欧州でのプレーに反対するサッカーファンは少ないのと同じような理由ですね)のは素朴な気持ちのはずです。
それを歪曲した形で、報道する仕方が好きになれませんねえ。

外資が会社を買っても、従業員(ざっくり大半の部長以下)の大半は日本人のままですし。

ヤクルトはすでにかなり株価が高いように思いますので、平均購買株価が低そうなダノン以外に、おいそれと買いに向かうホワイトナイトの可能性は低そうな気が個人的にはします。

スズキとVWの話も同じような感じかもしれませんね。

投稿: katsu | 2012年6月20日 (水) 09時30分

なるほど、たしかに販社側が主張しているように、株価はかなり高めのようですね。ビジネスモデルの難しさと合わせ考えてみると、ダノンとしては、うち以外に買い進む会社はないと自信があればTOBまで、いきますかね。

投稿: toshi | 2012年6月20日 (水) 13時40分

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