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2012年8月 2日 (木)

会社法改正-監査役監査の実効性確保のための整備事項復活!

(8月2日 追記あり)

本日、法制審議会会社法制部会において、会社法改正要綱案(最終案)が確定したようです。法務省HPに公表されていますが、前のエントリー「監査役の監査環境の整備に関する議論はいずこへ?」で懸念していたことが杞憂に終わったようであり、安心いたしました(注記事項として、監査環境の整備に関する条項、内部統制システムの運用の概要を事業報告に盛り込むことに関する条項が施行規則で整備されるようです)。タイトルでは「復活」と書きましたが、要綱案(第一次案)作成段階では、注記として挿入することが所与の前提だったのかもしれません。。。

社外取締役制度の義務付けについては見送られていますが、以下のような付帯決議がついたのですね。

 1 社外取締役に関する規律については,これまでの議論及び社外取締役の選任に係る現状等に照らし,現時点における対応として,本要綱案に定めるもののほか,金融商品取引所の規則において,上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要がある。
 2 1の規律の円滑かつ迅速な制定のための金融商品取引所での手続において,関係各界の真摯な協力がされることを要望する。

最近の会社法改正手続きにおいては、取引所ルールの活用問題とも連動していますので、付帯事項2でも述べられているところですが、取引所ルールの改訂が実現する可能性は高いものと思われます。努力義務ではあるものの、取引所の企業行動規範において独立社外取締役の選任に向けた各企業の取組みが「開示規制」ではなく「行為規制」として求められることになります。この取引所ルールの改正が実現した場合、有価証券報告書提出会社においては、会社法改正における開示規制(罰則付き)-当社では社外取締役を選任することが相当でないと判断する理由の開示-とを並べますと、コメント欄でChuckさんがおっしゃるとおり、実質的には義務付けに等しい状況になってくるのではないでしょうかね?そもそも「ウチの会社は社外取締役がいないほうが企業価値が上がる(だから社外取締役は不要なのだ)」と開示することと、独立社外取締役を一人以上確保するよう努力します、といった企業の行動は、果たして矛盾せず両立するものなのでしょうか?

さて、こうなりますと、俄然「監査・監督委員会会社」に移行する会社が出てくることも現実味を帯びてくると思いますので、要綱案の中身をしばらく検討していきたいと思います。

(8月2日 午後追記)今朝の朝日新聞経済面の記事「社外取締役導入促す」は、関係者からの率直な意見が反映さえていて、内容もとてもわかりやすかったと思います。「19年ぶりの規制強化を主体とした会社法改正」「原則、社外取締役を置くべきだとの趣旨。社外取締役がいない会社はつらい制度」という法制審委員の方々のお話や、「(義務付けを)要綱に入れても国会審議で紛糾しかねない」との法務省のホンネなど、興味深いところです。

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