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2013年4月16日 (火)

ランド社は想定外だったのか?-第三者委員会の乱

4月3日、日本公認会計士協会主催の「企業統治と独立社外役員の役割」と題するシンポに登壇させていただきましたが、その際、昨今の第三者委員会の活動については多くの会計士の方々より疑問が呈されておりました。最近では会計士協会さんご自身でも、会計不正事件に関わる第三者委員会の在り方等を研究されている、と聞き及んでおります(拙著でも「なぜ第三者委員会は会計士に嫌われるのか」ということを詳論しております)。

実際、昨年の会計不正事件に関する第三者委員会の活動をみましても、監査役会と取締役会が別々に設置して別途報告書が出されたもの、第三者委員会が設置されたものの、途中で活動が中止されたもの、開示すると言いながら結局は開示されずに「うやむや」になってしまったもの等が目立ちました。今年も、会計不正事件ではありませんが、合理的な理由もなく委員の構成すら開示されない第三者委員会が設置されています。こういった事例が増えますと、本当に第三者委員会というのはステークホルダーの利益保護のために活動しているのだろうか、単純に現経営者の急場しのぎの道具にしかすぎないのではないか・・・と疑心暗鬼になってしまう方も多いかもしれません。

しかし本日(4月15日)、ランド社から公表されております社外調査委員会要旨はなかなかスゴイものがあります。ランド社が第三者委員会に対して、重要事項の記載のあるページが削除された参考資料(不動産鑑定評価書)を提出していたと指摘し、実際にも財務諸表作成のための根拠資料としてもこのページ数が欠落した評価書が参考にされていたようです。この事実をきちんと調査しない限りは、投資家のためにもこのまま決算短信を開示すべきではない、との勧告を行ったとのことであります。そして、この勧告を受けて、同社もなぜこのようなことになったのか、勧告に従って調査を行う旨リリースで表明されています。なお同社は昨年12月初めに、粉飾決算の被疑事実によって強制捜査を受けております。

自社使用の目的で第三者が作成した不動産価格評価書を財務諸表作成に使用したり、第三者委員会に虚偽の資料をそのまま提出すること自体言語道断でありますが、このような第三者委員会の厳しい指摘はそもそも同社では想定されていなかったのでしょうか?単純に会社側から提出された資料をそのまま鵜呑みにして報告書を作成するものであり、資料の作成者たる外部第三者から確認をとるようなことまではしないだろうと予想していたのでしょうか?ちなみに年末の第三者委員会による中間報告書では、外部関係者からのヒアリングが未了であるとの報告がなされていましたが、この不動産鑑定士の方へのヒアリングを想定していたのでしょうか?

会社サイドと第三者委員会との間では表に出ていない諸事情あるかとは思いますが、まず、なんといっても、こういった場面において第三者委員会は解散するのではなく、同社の不都合な事実を断固として開示する方向で頑張った点は評価できるものと思います(ここで第三者委員会が、不都合な真実を目の当たりにして単純に辞任したり解散したり、といった対応に出なかったことは、あたりまえに見えるかもしれませんが、委員会がまさにステークホルダーのために活動していることを示していると思います)。会社側と第三者委員会とにおいて、この勧告の開示に至るまでどのような葛藤があったのか、たいへん興味のあるところです。

昨年も、どことは申しませんが、企業側にとって有利な第三者委員会報告書が提出されると思いきや、社長の意に反して厳しい指摘がなされ、結局開示されることなく、また第三者委員に報酬も支払われることなく委員会の活動が終わってしまった例があったようです。これはまさに投資家や会社債権者のために委員が活動していることの証左であり、第三者委員会につきまとうリスクであります。ただ、それでも投資家のほうを向いて委員会としての活動を行わねばならないのであり、本件を含めて、たとえ社長の意に反してでも厳しい報告書を開示する(開示させる)ことが第三者委員会の信頼性を高めることに資するものと思います。

4月 16, 2013 ディスクロージャー |

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