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2013年6月28日 (金)

川崎重工内紛劇に対するマスコミの姿勢について

日経新聞の記事によると、1月にクーデターが発生した広島電鉄社の株主総会でも、やはり解任劇に対する株主さん方からの質問が集中したようです。内紛劇は株主を不安にさせてしまうことがよくわかります。記事によりますと、監査役さんが説明されたようですが、かなり苦しそうですね。。。

さて、6月26日に神戸で開催されました川崎重工業社の株主総会に出席された方より、コメント欄のとおり総会の状況をご報告いただきました(どうもありがとうございます<m(__)m>)。当ブログでも、法律的な観点からではありますが、クーデターの総決算と言う意味で注目しておりましたので、マスコミから報じられているところと、コメント欄のレポートを読むかぎりでは、クーデターを起こした側のペースで進んだように思います。

それにしても、26日に「某さん」がコメント欄で述べておられるように、あの内紛劇から株主総会まで、日経新聞さんは川崎重工の新体制については徹底的に批判的でしたね。どうしてそこまでキビシイのだろうか・・・と思えるほどに、統合白紙に向けた川崎重工社の動きについては消極的なご意見が多かったようです。ちなみに私は今でも意見は変えておらず、M&A撤回はクーデターのきっかけであり、それ以前の社長派の方々の経営の進め方に対する不満こそ本当の原因だったのでは・・・と考えています(もちろん、そのようなことは株主総会で語られることはありませんが)。

当ブログで過去に何度も繰り返し書いておりますとおり、M&Aに関する情報はごくごく一部の役員だけで管理すべきトップシークレット情報なのです。ではなぜ情報が洩れてM&A時にはインサイダー取引事案が増えるのかといえば、それは私利私欲に目がくらんだ人がいたからではなく、いわゆる派閥争いの力学が極限まで高まるからです(これは間違いないと確信しています)。情報が拡散するのは、なにも儲け話を人に伝えるためではなく、自分の派閥の力を確認し、統率する必要があるからです。したがって支配権争いが存在しないような組織では情報統制が効くわけですが、そもそも本件において多くの取締役がM&Aの情報を知っていた、ということは、まさに以前から組織に緊張感があったことを裏付ける事実だと考えています。

日経新聞の姿勢とは少し違って、朝日新聞は比較的中立冷静な立場で報じられていたように思います。とくに今朝(6月27日)の記事では京都大学の前田教授の意見(取締役会が機能した事例として積極的に評価)も出されており、中立的な報道の象徴のように思えました。結局M&Aが成功するかどうかは「人」である、というのは経営学の先生方から何度も教えていただきましたが、統合後に陣頭指揮をとれるだけの「人」が存在しないと判断すれば、デューデリでどのような結果が出ていようとも、統合に後ろ向きになるのはミクロ的には十分にありうる結論なのでしょうね。日本が世界と戦うためには、という視点からは「残念」という結論になるのかもしれませんが。。。

ひとつだけ朝日新聞の記事で気になりましたのは、数日前に(選任されなかった3名のうちのおひとりの)取締役の方が朝日のインタビューには「総会に出席する」と回答されていたことです。しかしながら結果的には欠席されたのですね。そこにいったいどんなドラマがあったのか、総会の裏でどのような力が働いたのか、野次馬的には興味をそそられるところです。

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2013年6月27日 (木)

管理人の社外取締役就任に関するお知らせ

さて、本日はお知らせでございます。6月26日、大東建託株式会社の定時株主総会におきまして、社外取締役に選任され、同日就任いたしました。京都のニッセンホールディングス社と東京の大東建託社ということで、ますます大阪の事務所を不在にする機会が増えてきますが、実務を通じて両社のステークホルダーの利益向上のために尽力する所存ですので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします<m(__)m>。ちなみに大東建託社の取締役、執行役員の方々は、私のブログのことを全くご存じない方ばかりなので(ごく一部の方を除き)、ある意味とても新鮮です(笑)。

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2013年6月25日 (火)

ますます重要性を帯びる証券取引所ルールとその実効性

最新号(1972号)の金融法務事情「時評」欄に「ソフトローとレピュテーション」と題する小稿を掲載いただきましたが、ここのところ、ソフトローの代表格ともいうべき証券取引所の自主ルールが俄然注目されているのではないかという気がしています。

1つは本日(6月24日)金融庁HPで企業会計審議会監査部会の資料が公開されていますが、東証から提示された資料において、特別注意市場銘柄指定の弾力的運用について解説がなされています(特設注意市場銘柄の積極的な活用等のための上場制度の見直しの概要)。オリンパス事件について上場廃止にすべきかどうか、いろいろと議論もありましたし、また最近の不正リスク対応監査基準新設の議論の中でも、制度活用の提言がありました。そういった中で、この特設注意市場銘柄指定制度の拡大適用の流れは極めて興味深いところです。詳細は別途具体的な事例をもとに検討したいと思います。

2つめは、自民党のIFRSに関する提言です(国際会計基準への対応についての提言-自民党)。IFRSを適用するにあたり重要なことは、そのルールの改訂や解釈において日本がイニシアティブをとれるかどうかである、というのは私も強く賛成するところです。IFRSも最近の海外不正問題(たとえばアンチトラスト法違反やFCPA問題)と同様、相手の対応を受け身で待っていて、これを研究するという姿勢よりも、積極的にこっちから運用に関与できる体制を整えて、自国企業の利益を守る姿勢のほうが現実的ではないでしょうか。そういった日本の体制を整えるためには、たとえば任意適用を300社に増やすことが喫緊の課題だそうですが、どうやって300社に増やすのか、というところで自主ルールに期待がかかるのだそうです。でもこれはかなり困難が伴うので、東証としては任意適用につき推奨はするがルール改訂までは消極的のようです。

そして3つめが不正リスク対応基準の環境整備問題。企業内容開示ガイドラインの改訂に関する論点です。たとえば有価証券報告書の提出時期直前に重要な虚偽記載を示唆する状況が監査法人に判明した場合、監査人が意見を表明できないので、企業からは報告書提出期限の延期申請がなされるわけですが、これについて当局はどのような場合に、またどの程度の期間、延期を認めるか、という問題です。これは企業にとって上場廃止となるかどうかの死活問題ですが、この申請に対する承認判断において、当局は企業の自律的行動を審査の対象とします。その中で、たとえば証券取引所の行動規範をきちんと遵守しているかどうか、といったことも審査の対象となります。

つまりソフトローは国家権力によって実効性が担保されているわけではないのですが、これが実に巧妙にハードロー化しつつあるのではないか・・・という気がします。また、そこまで言えなくても、先の金融法務事情における拙稿のように、ソフトローに反する企業行動違反は社会的な信用を失う(レピュテーションリスクが顕在化する)という事態となり、法令違反に匹敵するような制裁を受ける時代が到来しつつあるのではないでしょうか。本日は証券取引所の自主ルールを例にあげて、抽象的なお話だけとういことで、ほんの「頭出し」にすぎないのですが、このテーマは今後も様々なソフトローの具体例を通じて、検証していきたいと思います。とくに企業の「トライ&エラー」によるコンプライアンス経営(不正リスク対応)にとってはとても重要な課題ではないかと思っています。

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2013年6月24日 (月)

密室のクーデターと株主総会における信認手続き(その3)

いよいよ今週は株主総会のピークですね。私は総会指導というよりも、当事者(候補者)として参加するだけですので、「忙しさ」と言う意味では、いつもとあまり変わりません。ただ、ここ2週間ほどのエントリーが株主総会関連の話題ばかりなので、今週のいくつかの株主総会には「単なる野次馬」として注目しています。

なかでも、やはり川崎重工社の定時株主総会(6月26日 神戸国際会館)については、社長解職劇という極めて重い出来事が株主に信認されるのかどうかということに注目しています。おそらく例年にもまして、個人株主の方々が当日出席をされるのではないでしょうか。

6月22日(土)の日経新聞朝刊では、役員13名選任議案→役員10名選任議案に修正をした定時株主総会の招集通知を各株主に再送付したことが報じられています。また実際、川崎重工社のWEB上にも再送付された内容がリリースされています(第190期定時株主総会招集ご通知の一部修正について 6月13日付)。

先日(その2)でも述べたとおり、私の個人的意見としては、議案修正までに送られてきた議決権行使書面(およびネットでの議決権行使)について、当初の13名の中に、新たな10名は包摂されていますので、10名分については有効、選任議案が撤回された3名については集計せず、という取扱いで会社法的には問題ないものと考えています。しかし、議案が撤回された以上、そのような取扱いが適法とされるためには、修正された招集通知の内容を全ての株主に知らせることは必要かと思います。したがって新聞報道のとおり、会社側の議案の一部修正に関する招集通知を発送することは適切な対応です。

さて、ちょっと疑問が生じるのは、いったん13名の役員選任議案に賛否を表明した株主に、「議案を一部修正したので、すでに議決権を行使された株主の方々も、賛否の意見を変更することができますよ」と伝える必要があるかどうか、ということになります。上記の日経の記事によると、株主側から「賛否の変更は可能なのか」と問い合わせがあれば、「できますよ」と会社側が回答していることが明記されています。しかし13日に会社側から株主に発送された招集通知の一部修正のお知らせには、上記のような記載がないようです。ということは、すでに賛否の意見を表明している株主の中には、役員選任議案の一部が修正されたことは知っているが、すでに議決権を行使してしまったのだから「もはや変更はできない」と考えている方もいらっしゃるのではないかと。

最近は「買収防衛策を導入、継続する企業の代表取締役には選任に反対票を投じる」とか「独立性のある社外取締役をひとりも選任しない企業の代表取締役の選任には反対する」といった機関投資家や議決権行使助言会社のポリシーが目立ちます。会社側の経営方針に対する意思表示を役員の選任議案への賛否という形で表現する傾向にあるとすれば、たとえば代表取締役の交代、(経営統合方針の白紙撤回といった)経営方針の転換についても同じく役員選任について株主が賛否を変更する、という意思表示も十分にありうるように思います。そうだとしますと、(法的な問題は別として)一般株主に対して「いったん行使した議決権について、締切までは内容を変更することができますよ」という会社側からの告知は、やはりあったほうが望ましいのでしょうね。

いっぽうで、6月13日に議案の修正を通知して、6月25日までに変更した議決権行使書を会社に到着させる、というのは、実質株主から信託口へ議決権行使の指図が戻ってくることを考えると時間的にほとんど困難ではないかと。手続きをきちんと踏もうとすると、今度はまた新たな手続上の問題が露呈されてしまうということになってしまうのでしょうかね。結局のところ、そういった問題が生じる可能性もあるために、変更の要望が個別になされた株主については対応するが、広く「議決権の再行使ができますよ」といった広報はされなかったのかもしれません(このあたりは、あくまでも野次馬的な推測にしかすぎません。念のため)。

株主にしてみれば、もっと実質的な経営に関する話のほうに関心が向くわけですが、実は会社側にとっては、こういった手続上の問題をクリアしなければ「信認を得た」とは言いにくいところなので、このあたりも個人的には注目しておきたいところです。

※ ※ ※ ※

なお最後にお知らせですが、本日(6月24日)のテレビ朝日報道ステーションに、私が(収録形式ですが)登場いたします。株主総会特集ということで、西武鉄道・サーベラスの事例を取り上げて解説をするというものですが、正直1分や2分程度で一般の方々に解説をするというのは至難の業です。ほとんど一般的な解説しかできておりませんが、ご興味のある方は、どうかご覧いただければ、と。。。

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2013年6月21日 (金)

監査役解任議案が上程された場合の一般株主の判断基準とは?

この時期はどうしても定時株主総会の話題を取り上げたくなりますが、昨年来、「モノ言う監査役」「監査役の乱」として本ブログでも取り上げておりましたベリテ社(東証2部)の6月28日の定時株主総会の行方について、今年も関心を抱くところです。すでに株主向けの定時株主総会招集通知が東証にて公表されていますが、注目はなんといっても第4号議案(常勤監査役解任に関する議案)です。注意すべきは、この議案は会社提案ではなく、株主提案として上程されているもので解任に関する理由はすでに公表されておりました今回、招集通知には、この株主提案に対する常勤監査役さんの反対意見および監査報告についての個別意見が(全文のまま)別紙として掲載されています。さらに、この監査役意見に関する提案者たる株主さんからの反論の意見も添付されています。なお、あらかじめ申し上げますが、本エントリーは関係当事者の対応について論難するものではなく、あくまでも監査役の監査環境に関心をもつ者としての個人的な意見にすぎないものです。念のため。

昨年3月ころ、ベリテ社の常勤監査役さんは、情報提供に基づいて(おそらく内部通報かと思われます)、取締役関与による不正取引の疑惑を指摘し、監査役会が独自に第三者委員会を設置、その後この第三者委員会の報告結果に不満を抱いた取締役会が、別途第三者委員会を設置して検証し、結果として取締役会は、不正取引の疑義は解消された、むしろモニタリングに問題あり、と報告しました。その後、昨年9月には今回株主提案を出しておられる株主さんが当該常勤監査役の解任を求める臨時株主総会の開催を会社側に求めたのですが、結局12月には、会社側と株主側とで、今後のベリテ社における監査制度の在り方を協議することで、臨時株主総会の開催まではしないことで落ち着きました。

このような経緯を通じて、この6月の定時株主総会では改めて同じ株主さんから、常勤監査役の解任に関する提案が出された、というものです。監査役解任議案は特別決議が必要なので、出席株主の3分の2の解任賛成の決議が必要となりますが、当該株主さんは親会社株主であるため(議決権ベースで52%保有)、可決される可能性は高いものと思われます。ただ、かりに私がベリテ社の一般株主であり、第4号議案について賛否を判断するとすれば、もう少し判断に必要な資料がなければ企業価値向上のために監査役さんを解任するが妥当なのかどうか、それともこのような監査役さんがいるからこそ安心して経営を任せられると考えるべきなのか、判断ができないように思われます。

なんといっても、会社提案ではなく、株主提案として監査役解任が提案されたのですから、提案者は普段の常勤監査役の仕事を見ている方々ではありません。不正の疑惑(結果的にはなかったとされていますが)を自力で見つけることができなかったこと自体が監査役の任務懈怠にあたることは当然ありませんので(監査役は善管注意義務に違反したこと、つまり最善の努力を怠ったことが任務懈怠であり、結果責任は問われません)、この株主さんからも、また株主提案に賛成する取締役会からも、監査役が解任されるべき任務懈怠についての根拠事実に関する説明は一切記載されておりません。なので、私が一般株主であれば、まず監査役さんに解任する正当理由はどこにあるのか、どのような注意義務に反したがゆえに、不正の疑惑を自力で見つけることができなかったのか、というところの説明を求めることになろうかと思います。

つぎに、これは素朴な疑問ですが、株主総会の当日出席が困難な株主にとりまして、議決権行使書を発送する前提として、昨年4月に取締役会が公表しないと決めた監査役会の依頼による第三者委員会報告書の全文もしくは要旨の公表がなければ、常勤監査役さんの「とんでもない行動」は判明しないのではないでしょうか。そもそも3月の時点では取締役会はリリースにおいて、この監査役会が設置した第三者委員会に全面的に協力するとありました。にもかかわらず、この第三者委員会報告書の全文公表を監査役会が求めたにもかかわらず、これを取締役会が拒否して、別の第三者委員会を設置したわけですから、常勤監査役さんが解任されるに値するような資質が欠けていたのかどうかは、このあたりの報告書を読んでみなければ判明しないものと思います。しかしなぜ、これほどの大問題になっているのに、取締役会は最初の第三者委員会報告書を公表しないのか、素朴な疑問が残ります。それとも一般株主は会社側に要求すれば、この監査役会設置の第三者委員会報告書を読ませていただけるのでしょうか?このあたりはよくわからないところです。提案されている株主の方も、こんな委員会に2000万円も費用を出させたことはけしからん!と意見を述べておられますが、取締役会も全面的に協力するとして設置された以上は、取締役会もナットクのうえで出されたものだと思いますので、ちょっと的外れの意見ではないでしょうか。そもそも私が大株主さんの立場だったら2000万円の費用を負担させたこと以上に、「おまえのおかげで金融庁から調査が入ったではないか。この信用毀損をどうしてくれるのか!」と言うはずですが、そのようなことは一切出ておりません。ということはやはり合理的な疑いが客観的に存在したのではないか、と推測してしまうわけです。

さらに、昨年12月の会社リリースでは、当該株主さんと会社との間で今後の監査制度の在り方について協議をするとありましたが、具体的にはどのような協議があったのか、またその協議がどのような内容だったからこそ、今回の解任提案に至ったのか、そのあたりについても知りたいところです。いや、そこがもっとも大事なところではないかと思います。思いつきの提案ではなく、約半年間かけで大株主と会社側でどのようなモニタリングシステムが当社にとって有効と考えたのか、その時間軸に基づく真摯な姿勢が認められれば、会社が賛同する株主意見と、これに反対する監査役意見のどちらが企業価値向上にとって傾聴に値するものであるかを一般株主が推測しうる資料になるものと思います。

そして最後になりますが、取締役不正の疑義を知った監査役さんが、取締役に相談することなく第三者に相談したことの是非が論じられています。しかし本件で常勤監査役さんが問題視していたのは(昨年3月19日付会社リリースによると)、社内から情報提供を受けて、取締役の不正取引に関する疑義を抱いた、ということですから、軽々に取締役に相談できる内容ではなかったはずです。もし監査役さんが取締役さん方に対して不用意に相談や報告をしていれば、当該取締役さんによって証拠を隠ぺいされてしまいかねず、そのほうがよっぽど監査役として善管注意義務違反(任務懈怠)であり、資質に欠けることになってしまうのではないでしょうか。これは一昨年のゲオ社の取締役の不正取引の情報を得た監査役会が独自に調査委員会を設置した事例などからも明らかだと思われます。この点、株主側の意見については、あまり説得力のないもののように思われます。

もちろん、監査役の解任については、それほどの理由がなくても多数決(特別決議)の要件さえ満たせば可能ではあります(損害賠償については「正当な理由」の有無が問題となりますが)。しかし企業価値向上という視点からすれば、やはり一般株主は株主と監査役のどちらの意見が正しいのか、少数株主としては冷静に判断すべきだと思いますので、あえて個人的な意見を述べた次第です。なんといっても、あのトライアイズ事件では、監査役の資質に欠けると解任理由を述べた会社側が、最終的には(監査役さんに対して)名誉毀損に関する謝罪公告を出したほどの問題なのです。今回は株主提案なので、そのような事態には至らないと思いますが、株主提案による解任議案ということであれば、大株主さんに聞くこともできず、やはり会社側に一般株主として知りたいことの説明を冷静に求めてみたいところです。

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2013年6月18日 (火)

密室のクーデターと株主総会での信認手続き(その2)

先週金曜日のエントリー(川崎重工社長解職劇)の続きですが、日曜日(6月16日)の朝日新聞記事には、川崎重工の会長さんが、社長解職劇の前日に社長とひそかに面談し、「このままでは君は解任されてしまう、自分から辞任したらどうか」と社長辞任を勧めていた・・・と報じられていました。つまり、今回の川崎重工社の件は、社内で情報管理が徹底的に守られていたものの、社長(正確には前社長)以下3名の取締役にとってはあらかじめ役員会での紛糾が予測しうるものだったと言えそうです。ということは、昔の「三越事件」のような状況とは異なり、むしろ今年1月の広島電鉄さんの社長解職劇や3年前の富士通元社長さんの辞任劇とほぼ同じ状況だったものと思われます。

こういった一連の社長解職劇からみて、以下のようなことが整理できるように思います。ひとつは「誰だって自社がクーデターとか言われて、お家騒動の状況を世にさらしたくない」ということです。上記朝日新聞の記事も、川重の会長さんは「外部にさらけ出されるのを避けるため」に、社長が辞意を表明すれば、あとは穏便にすませる、と迫ったそうです。これは社長解職劇だけでなく、いわゆる「監査役の乱」の場面でも、役員全員が苦慮するところかと思います。コーポレートガバナンスが機能した事例というのが世に少ないように思えるのは、そもそも社内のゴタゴタは世間に公表せずに済ませる事例が多いからだと思われます。なお、こういった内紛劇が表面化する、ということは結果として適時開示の真実性に問題が生じるリスクが高まります(現に、今回の川崎重工社も東証より厳重注意を受けているとか)。

つぎに新社長さんは「これまで取締役会が軽視されていた、今後はコーポレートガバナンスの健全化に努める」とおっしゃっておられますが、やはり「社長人事は闇の中」というのが日本の大会社の本質ではないかと思います。今回も、会長さんの「穏便にすませる」「役員OBに相談したらどうか」という前社長さんへの説得は、まさに人事権は取締役会の背後にある・・・ということを如実に示しています(これが現実かと思います)。日本には、社長退任後に会長だけでなく、顧問や相談役という形で、会社となんらかのつながりを持つ役員OBの方々がいらっしゃいます。たしかに日常の会社業務からは離れるものの、そういった役員OBの方々は、いざ社長人事となれば大きな存在感を持っているのが実際のところではないでしょうか。取締役会の健全化、ガバナンスの向上といっても、結局は社長の人事権は別のところにある・・・というのが多くの会社の現実ではないかと。

そして最後になりますが、こういった解職劇が明るみにでますと、その原因は「三井造船社との経営統合に対する意見の相違」だとされ、新聞でも「グローバル化の時代に内向きな経営姿勢は今後の課題だ」などと叩かれます。しかし、これは本当でしょうか?私はどうも違うような気がします。M&Aに対する意見の相違というのは、たまたま解職劇が勃発するきっかけではあっても、社長解職劇の本当の要因は別にあると考えています。それは普段からの社内力学の結果です。よくあるのは、社長自身に対する反発というよりも、社長の背後で社長を動かしている役員への反発や、次期社長を狙う(社長派の)役員への反発という傾向が強いように思います。ですから、こういった社長解職劇が発生した場合、今後の社内のかじ取りをしていく上で、これまで社長派だった役職員の動きには気を配ることになり、またそういった役職員の方々にしてみれば、今後の自身たちへの処遇に危惧感を抱くことになります。

なお今回の件に関する法的な問題として、サンケイビズのニュースで、株主総会収集手続きの問題が報じられていました。13名の取締役を選任する議案を会社側は上程し、株主に対して招集通知を発送していたのですが、そのうち3名については取締役に選任しない、という「議案の撤回」を会社側が行ったために、すでに13名の選任に賛成の議決権行使書面を送った株主の議決権行使はどうなるのであろうか・・・という問題です。これは現在進行形のお話なので、あまり深入りすることは避けなければなりませんが、私個人の見解としては、13名の選任議案のうち、10名分の議決権行使については有効と考えて、3名分については(議案が撤回されたのですから)効力はないものと取扱い(集計作業はせずとも)それほど問題はないのでは、と考えます。ただし川崎重工社の場合、定款で総会の定足数が緩和されていますので(よくあるように3分の1で足りるものとされています)、会社側が議案を修正する前に、すでに送られてきている議決権行使書面がこの定足数を満たしている場合どうなるのか・・・という問題はあるかもしれません。これはひょっとして、すでに13名全員が株主から信認を受けているものと評価されてもおかしくないようにも思われますが、いかがなものでしょうか(もちろん、修正時点において定足数以下の議決権行使書面しか返送されていなければ、そういった危惧もないわけですが)。

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2013年6月17日 (月)

NPB規格変更問題からみる「不確実性」とはいえない企業不祥事

もはや出遅れ感のある話題ですが、NPBの統一球規格変更問題について一言だけ触れておきたいと思います。NPBが選手や球団、そしてファンの方々に事前公表せずに規格を変更したことについて、今後第三者委員会による調査が行われるとのことですが、今回のことについて、コミッショナーは「不祥事とは思わない」というご主張を繰り返して発言されています。

しかし今回の一連の件は、オリンパス事件や大王製紙事件の際に(当ブログにて)申し上げたことと全く同じであり、組織にとっては「不祥事」に該当するものです。たしかに選手らに無断で規格を変更した、ということの問題だけに絞れば「組織としての隠ぺい」と言えるかどうかの解釈問題なので、コミッショナーの立場からは事実がはっきりしないのであれば不祥事ではないとの言葉が出てくるかもしれません(もちろんコミッショナーが真実を語っている、ということが前提ですが)。しかし、そもそも統一球の規格変更という、まさに重要な事項がトップに報告されず、また重要な意思決定に関与もしていない、ということ自体が組織の不祥事です。ダルビッシュ投手が、今回の件を知り、ブログにて「トップの人がそんなことを知らないってことのほうが問題ではないの?」と発言されていましたが、まさにその感覚のとおりです。

オリンパス社の損失飛ばし・飛ばし解消スキームの実行自体も不祥事ですが、第三者委員会報告書でも大きく取り上げられたとおり、そのような不正を知っていながら放置していた組織、疑惑があるにもかかわらず調査を回避していた組織、不正が発覚しかけたときにばれないように工作する組織といった「個人の責任を追及できないけれども不正を容認する組織としての行動」こそ最大の企業不祥事であり、これこそ被害者の損失を拡大した要因だと思います。外部から組織としての不祥事を追及されることをおそれて、もっともらしい理由を作って個人の責任に仕立て上げ、社内処分をもって(社会からの)責任追及を回避する事例も最近はよく見かけるところです。コンプライアンスが単なる「法令遵守」と訳されるのではなく、まさに企業の社会的評価として組織に向けられる時代だからこそ、組織としての行動が企業不祥事として捉えられるべきだと考えます。

オリンパス事件を経験して、不正リスクには二つの側面があることを知りました。ひとつは言葉どおり不確実性に関するリスクです。損失飛ばしという不正が行われることは、企業にとって「不確実」な事件です。だからこそ、社長は「起きるかどうかわからないけど、起こらないような対策を立てよう」と考えます。そしてもうひとつは複雑性のリスクです。起きることは確実(すでに起きているかもしれない)で対処を要するが、どう対処したらよいかわからない、という問題です。不正を許容してしまう企業風土というのは、まさにこの複雑性リスクです。社長さんがこの風土にどのように対処するかは、担当部署に任せることはできず、まさに経営マターの問題です。

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2013年6月14日 (金)

密室のクーデターと株主総会における信認手続き

(6月14日朝 追記あり)

私が知りうるかぎりですが、今年に入って取締役会や理事会等で代表者が解職されたのは1月の広島電鉄さん、5月の近畿産業信用組合さん、そして本日の川崎重工業さん、くらいでしょうか。きちんと調べればもっとほかにもあるかもしれませんが、ともかく報道されたものはそのくらいかと。また、果たしてそれらが「クーデター」と呼べるものかどうかは、少し検討しなければならないかもしれません。

川重さんは、社長と社長代行、そして企画本部長という、まさに経営の中核におられた3名の解職と異動が動議で決議され、当事者以外の全取締役の賛成で可決された、というのですから、その緊急動議に関する情報の機密がよく維持できたものだと驚くばかりです。定例の取締役会なら緊急動議も出しやすいのですが、今回は臨時取締役会と報じられていますので、どのように招集手続きが進んだのか、(不謹慎ですが、今後の参考として)知りたいところです。クーデターを起こす側がどのようにして社長(招集権者)に臨取の手続きを進めるように促すのか、このあたりが妙味です(会社法366条、367条あたりの問題です)。ちなみに広電さんの場合は前日にすでにクーデターについての予告がなされていたように記憶しています。→産経新ま聞のニュースによると、この臨時取締役会における議題は「三井造船との統合交渉打ち切りに関する審議」ということだったそうなので、ひょっとすると前社長さんらも、クーデターの気配は感じておられたのかもしれません

(追記)毎日新聞の14日朝刊ニュースによりますと、このあたりが少し詳しく報じられており、5月23日の取締役会において、すでに「合併交渉反対」で紛糾し、その際に臨時取締役会の招集が決まったようです。そうしますと、招集手続に関する難問はなかった、ということになりそうですね。また、前社長は臨時株主総会における議決を阻止しようと動いていた、なんとか総会後に持ち込みたいと考えていた、とありますので、反対派としては、まさにこの総会前の時期がピンポイントでねらい目だったということでしょうか。

広島電鉄さんのケースでは、社外取締役さんは欠席されておられたようですが、川重さんの場合には社外取締役さんは一人もいらっしゃらなかったようです。ただ、毎度のことながら、4名の監査役さん方は、この臨時取締役会の趣旨については事前に知らされていたのかどうか、とても気になります。緊急動議を行う側(クーデターを起こす側)としては、事前に全監査役に告げておくべきかどうか、かなり迷ったのではないかと推測いたします。

ところで5月にクーデターが起きた近畿産業信用組合さんですが、新聞(中央日報)が報じるところでは理事会の代表理事解職の決議がわずか1票差で可決されたとのこと。これって、事前に動議が漏れてしまうと、解職動議の否決につながってしまうほどの僅差です。関係者の信頼関係がなければなかなか画策できないことがわかります。いや、信頼関係だけでなく、画策を検討してから実行に移すまでの時間はかなり短くなければ成功しないのではないでしょうか。

この近畿産業信用組合さんも、6月の総代会ではいろいろと意見が出されたようですが、なんとか組合員の承認を受けて新執行部が動き出しました。5月のクーデターでは「解職」どまりだったので、総代会において「常勤理事」→「非常勤理事」の議案を通過させ、前会長の影響力を完全に封じ込めました。つまりクーデターは総代会が終了するまでは終わらないのです。

今回の川重さんのケースではどうなるのでしょうか?クーデターに伴って合併交渉という重要議案についても白紙に戻す、ということなので、とりわけ合併を推進してきたとされる(?)金融機関の承認は平穏無事に得られるのでしょうか。私はいつも、このようなクーデターが起きたときは、上場会社であれ、非上場であれ、総会の信認を得てはじめて完了するものと考えています。解職という結果はまだ通過点にすぎません。新代表者の方が、コーポレートガバナンスとコンプライアンスを理由に経営者の交代を果たしたと記者会見で説明されておられましたので、そのことが定時株主総会でどのように信認されるのか、また総会で前代表者は取締役としても選任しない、という承認を得ることによって、本当にクーデターを終了させることができるのか、これはとても注目すべきところかと思います。

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2013年6月13日 (木)

アイレックス粉飾決算事件と監査役の調査義務のレベル

当ブログをご覧の皆様にとりましては、もうすでにご関心が薄れてしまっているのではないかと思いますが、拙著「法の世界からみた『会計監査』」の4回目の増刷が本日決まりました。本当にたくさんの方にお読みいただきまして、感謝しています。以下本題。

6月10日、システム設計・開発を手掛けるJDQ上場のアイレックス社は、幹部社員による架空の締め後売上の計上による不適切会計処理を調査した第三者委員会報告書を公表しています(リリースはこちら)。本委員会報告書では、内部統制における重要な不備について指摘するとともに、不適切な会計処理を実行したのは幹部職員だが、営業担当取締役、管理担当取締役も加担していたと言わざるを得ないと判断しています。また会社側も、リリースにおいて、この第三者委員会報告書の判断を認めているようです。

ところでこの事案では、親会社(56%支配)から派遣されたものではなく、ほぼプロパーといえる常勤監査役さんが活躍されていたようです。監査法人による(取引の実在性の疑義に関する)指摘を受けて(就任からわずか5か月後)、代表取締役社長に監査法人からの指摘事項の改善状況を質問しています。ところがなかなか改善状況が明確にならないことから、常勤監査役さんは、親会社の社長さんのところへ状況を報告し、相談をしたようです。そこで親会社の社員6名が中心になって調査委員会が立ちあげられ、今回の不適切会計処理が発覚、第三者委員会の設置という流れとなりました。

つまり、アイレックス社の常勤監査役さんの「親会社への状況報告および対応に関する相談」がなければ、この不適切会計処理は監査法人さんの監査結果を待たなければ発覚しなかったのではないかと思われます。親会社に子会社の不正の兆候を報告し、対応を求めるという行動がどうなのか、という点はありますが、監査役実務を考えますと、ずいぶんと評価される行動ではないかと。

しかし、アイレックス社の第三者委員会は、こういった常勤監査役さんの一連の行動にはある程度の評価をする一方で、監査法人から架空売り上げ計上に関する疑問点の報告を受けた段階で、なぜもっと早く自分で調査をしなかったのか、具体的な調査方法も容易に認識しうるところであったにもかかわらず、不正実行者らの虚言を信じ、決算年度末まで担当者らの修正を見守っていたのは、監査役としての職務執行が不十分であったと言わざるを得ないと判断されています。なるほど、なかなか厳しいご意見です。

たしかに「子会社監査役」という立場であれば、第三者委員会が指摘するように、子会社取締役の職務執行の適法性をチェックするための調査権限を十分に行使する必要があったと思います。ただ、親会社が子会社の営業戦略に絶大な力を誇るようなケース(本件も、そのようなケースであると第三者委員会報告書に記述されています)では、子会社監査役がどこまで独立性をもって子会社取締役の監査ができるか、という点はなかなかむずかしいというのが実務的な感覚です。子会社取締役が直接的に不正に関与しているのであればなおさらだと思います。むしろ子会社監査役が親会社監査役や(今回のように)親会社の経営トップに不正を報告できるような体制を整えておいたほうが、未然防止や早期発見ということからすれば効果的ではないかと思います。

もちろん会社法の解釈からすれば、子会社監査役は独立した立場で子会社経営陣の行動を監査すべきであり、そのための調査権限を行使すべき、というのが正当なものです。しかし内部監査部門に専業者もいないような組織において(本件ケース)、監査役監査が孤立した状況になってしまわないか、益々監査役としての職務執行が困難な状況となるのではないかという懸念が残るのも事実です。このあたり、現役の常勤監査役の皆様はどのようにお考えになるのでしょうか。

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2013年6月12日 (水)

DeNA元社長の「不格好経営」と経営判断原則

Nanba001以前、日経新聞に南場智子さんの実話「激やせラリー」が連載されて、とても面白かったので、さっそく南場さんの新刊「不格好経営-チームDeNAの挑戦」南場智子著 日本経済新聞出版社)を拝読いたしました(ちなみに、社内の幹部職によってダイエットを競う「第1回激やせラリー」は本書にも収録されています)。

ネタバレはまずいので、あまり内容には踏み込みませんが、本当におもしろかった(いや、社長退任後の2年間の生活については「おもしろい」という表現は失礼かもしれませんので、「ためになった」と言ったほうがいいかも)。起業後、ホントにかっこ悪いことがDeNA社に次々と起きるのですが、腹を決めて、外に向かってかっこ悪いところを正直に開示されてきたのですね。最終的には、誠実だからこそ周囲も力をなんとか貸してくれますし、また自分たちも這い上がる気力が湧いてくることがよく理解できました。

夫(もしくは妻)の看病の必要性に迫られたとき、社長を退任すべきか、それとも社長として会社を支え続けるべきか決断をするとき、私なら、どうのような選択になろうとも「自分の生き方」という哲学で判断すると思います。しかし南場さんは、逡巡した挙句、自分の哲学や生き方ということよりも、「このDeNAという会社にとって、どちらの判断がよいか」というモノサシで退任を決めたそうです。いや、これはスゴイ。「社会の公器」のトップとして当然といえば当然かもしれませんが、私ならそこまでの気持ちになれないでしょう、たぶん。

法律家や社外取締役という視点では、第7章「人と組織」がたいへん考えさせられます。とくに経営者としての重要事項の意思決定の重さです。平社員と副社長の距離よりも、副社長と社長との距離のほうが断然遠い・・・ということがよく表現されています。取締役の意思決定や業務執行の法的責任(善管注意義務違反の有無)を検討するにあたり、よく「経営判断原則」ということが言われますが、(誤解をおそれずに言えば)法律家が語る経営判断原則に則って判断をしていては、とんでもない経営上の失敗をしてしまい、かえって株主に迷惑をかけるのではないか・・・、そう思えるほど重要な(法律家にも参考になる)内容が書かれています。人材こそ会社の命、ということで「人」を大切にされる南場さんだからこそかもしれませんが、リスクを背負った人間にとって経営判断の過程がどのように映るのか、企業法務に携わる法律家は必読の一冊かと。

なお、南場さんが本当に不格好なことも素直に表現する方であることは、最後の「謝辞」に書かれてあることを読めばわかります。私も南場さんとは比較になりませんが、弁護士になって20数年、同じような経験をし、同じような思いを抱いています。しかし、未だそのことを誰にも表現することはできません。そして、これからもできないような気がします。すごいなぁと思います。

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2013年6月10日 (月)

企業不祥事における「成功体験」のおそろしさ・・・について考える

ホワイトカラーによる不正がなぜ起きるのか?ということについて、よくクレッシーの法則が用いられます。クレッシーの法則とは、不正行為の発生に関する仮説をモデル化したものですが、「企業において不正が発生する背景には、動機(強いプレッシャー)、機会、正当化根拠の要素がすべて存在する」というもので、CFE(公認不正検査士)にとってはおなじみの理論です。

ところで、私は以前から、この「動機」というのは、本当にホワイトカラーの人たちが不正に走る要素としてどこまで重要なのか、よくわからないところがありました。たしかに不正に走りたくなるような強いプレッシャーがあったとしても、人は高い倫理規範があればなんとか踏みとどまることができるのではないだろうか?ひょっとして動機の上に、さらに「何か」があって、初めて反倫理的行動を許容してしまうのではないか、との疑問です。

そういった疑問をさらに深めるような事件記事が6月8日の産経新聞ニュースで掲載されています。企業不祥事に関する記事ではありませんが、弁護士である被告人が成年後見人としての預かり金を着服し、業務上横領罪に問われた刑事公判での被告人証言をまとめた記事です。被告人は私と同年代で、20年以上の業務経験を有する中堅弁護士の方のようですが、そこで被後見人の金銭を横領してしまう心の葛藤が詳細に語られています。中でも以下の供述内容が、とても印象に残りました。

左陪席の裁判官に犯行の最大の要因を問われると、沈黙の後、ゆっくりと言葉を紡いだ。被告「…検察官にも何度も聞かれ、自問自答も繰り返しました。交際相手との生活も、金銭にルーズだったところも原因にはある。でも、それらはバックボーンに過ぎない。事情があった、というのでは答えにならない。反規範に行くのは人間の選択。自分はそれを選択する心の弱い人間だった。それだけのことだと思う」
裁判長が質問の最後に、犯行の過程で事態を好転させる努力ができなかったかを問うと、被告は1件の訴訟で800万円超の報酬を得た過去の実例を挙げ、答えた。被告「何とかなる、という甘い気持ちがありました。弁護士をしていると、偶然に大きい報酬が得られることもあるので」裁判長「切羽詰まって対策を立てなくても、『棚からぼたもち』がある、という気持ち?」被告「それはありました」

これは私がヒアリングを行う不正調査の現場でも、ときどき聞かれる内容です。たとえば、この被告人の行動をクレッシーの法則にあてはめると、横領の動機は離婚した妻子への慰謝料の支払いを継続すること、機会としては預かり金の自己管理と経理を他人に委託していない状態、そして正当化根拠は弁護士報酬から、やろうと思えばいつでも返済できる、という事実です。しかし、高額の慰謝料返済によって経営が困窮していたことがプレッシャーになるとしても、それが規範意識を飛ばしてしまうことに直接結び付くのかどうか。正当化根拠も動機のひとつですが、これはすでに規範意識を飛ばしてしまった自分を苦しい精神状況からのがれさせるための言い訳なので、それ以前の段階の「規範意識を飛ばしてしまう原因」がどこにあるのか、を理解する必要があります。

そこで、上記記事内容を読みますと、心の弱い人間になってしまう要因として1件の訴訟で過去に800万円を超える報酬を得た体験というものが出てきます。これについて裁判長は「たなからボタもち」と表現しています。たしかに弁護士の職務上、1000万円を超える報酬を得ることは実際にありえるのですが、普通は何年も苦労して裁判で依頼者が経済的な収益を得たことの報酬であり、到底「タナボタ」と表現できるものではありません。しかし本当にボタもち的な報酬を得た成功体験があるとすれば、これはたしかに規範意識を飛ばす要因になりえるのではないでしょうか。「依頼者の預かり金に手を出してはいけない」という規範意識が極限まで希薄化している中で、「そういえば前に突然高額の報酬を得られたことがあったっけ」といった体験が頭をよぎるのであれば、その実体験が規範意識を一気に解放してしまう・・・ということでしょうか。

そういえば大王製紙の元会長さんの刑事裁判の証言にも似たようなものが出てきました。動機はギャンブルの負けを回復すること、機会は親会社の会長たる地位にあること、そして正当化根拠は「子会社は元会長の財布代わり」という意識です。前にも述べたように、普通は子会社資金は親会社の経営者にとっては財布ではありませんが、あの事件の特殊なところは、子会社の大株主は親会社ではなく、創業家一族会社です(だからこそ、その後は大王製紙子会社の株主総会にて、大王製紙側ではなく、創業家側の提案した取締役が就任する、という内紛に発展しました)。しかし、元会長さんを業務上横領に駆り立てた最大の要因は「以前、1億、2億と負け続けたときに、突然カジノで大勝してすべて返済できたことがある」という成功体験でした。これもタナボタ的成功体験と表現できるものです。

人生のすべての時期において、心の健康が保てるのであれば問題はありません。しかし、いくら弁護士といえども、心の健康を常に保てるとは限りません。心の健康のバランスが崩れたときに、預かり金通帳を眺めながら、「このお金があればなぁ」と規範意識が緩むこともあるかもしれません(もちろん世間的にみれば強い非難に値する行為です)。だからこそ、高い倫理意識を持って行動しなければならないわけですが、規範意識を飛ばしてしまう最大の要因(悪魔のささやき)についても光をあてる必要があると思います。

たとえば私個人の推測では、このタナボタ的な成功体験の他にも、企業におけるコンプライアンス経営軽視の風土(悪いことをやってでも成績を上げることが第一という思想)、「機会」に関するバイアスのかかった状況での誤解(冷静に考えれば不正発覚が容易な状況にあるにもかかわらず、発覚しないと思いこんでしまうこと)、といったものがこれに含まれるのではないかと思います。預り金着服の事例において、被告人が「経済的な困窮やずさんな経理は背景事情ではあっても最大の要因ではない。それは人間としての自分の弱さである」と証言したことは、まことに不正に向けて規範意識が緩む際の偽らざる心境ではないかと思います。

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2013年6月 7日 (金)

不正リスク対応監査基準の理解のためにお勧めの一冊

Kansakijun0023企業会計審議会というところは、単に会計や監査の専門家の方だけが集まって会計インフラについて議論する場ではなく、広く国民の意見を集約して、よりより会計監査制度を構築していこうとの意図でメンバーが選出されているそうです。監査部会の議論も同様なのですが、出来上がった(改訂された)監査基準を読みますと、会計監査の素人からは、何がどう変わったのか、そもそもなんで改訂されたのか、ということを理解するのは至難の業です。そこで企業会計審議会(監査部会)における議論の経過を基に、新たな監査基準を一般の方向けに解説された本がどうしても必要になります。

ということで、私もこのシリーズは監査基準の改訂がなされるたびに買い替えておりましたが、今回はとくに監査基準の改訂だけでなく、不正リスク対応基準の新設もあり、発売と同時に読ませていただきました。(逐条解説で読み解く監査基準のポイント 八田進二・町田祥弘 著 同文館出版 3,200円税別)しかしどんどん分厚くなっていきますね(^^;

ご承知のとおり、企業会計審議会の委員でいらっしゃる八田・町田両先生の対談形式による逐条解説です。もはや私のような門外漢が紹介するまでもない本かもしれません。しかし今後、金融商品取引法監査を受けておられる会社の担当者の方々にとっては、これを「有事」になってから読み始めては遅すぎるのではないかと思い、また「平時」にこそ、本書によって(リスク対応基準の)基本的なところは押さえておかれることをお勧めしたいので、あえてご紹介する次第です。会計監査上の不正リスクなるものについて、監査法人さんと会社との相互理解を深めることが大切であり、とりわけ今回の改訂版は、不正リスク対応基準に関する総論的な解説と逐条解説に分かれており、ときどき両先生の個人的な意見も含まれていますが、審議会で議論された論点がほぼ網羅されています。

不正リスク対応監査基準や改訂監査基準として、明文化された部分の解説は、すでに会計雑誌等でも学ぶことができますが、本書のおススメは、なんといってもこのような監査基準が出来上がった背景事情に細かく触れることができる点です。「こんな議論があったけれども継続審議になった」「この議論は今回は立ち消えになった」「こういった事情から、このような文言になった」といったところの解説はとても重要です。なぜなら、今回の不正リスク対応基準はこれで完結したのではなく、これからの運用状況をチェックしながら、改良され、完成形へと向かっていく通過点にすぎないからです(これは両先生の対談の最後でも触れられています)。

私の個人的な意見でいえば、会計不正の早期発見のためには、財務諸表の利用者、会計監査人、そして当局と、それぞれが努力をしなければならないと考えています。たとえば拙著「法の世界からみた会計監査」で述べたように、投資家や株主は自己責任によって(監査制度に対する)リテラシー向上を図る必要があり、監査人はより「市場の番人」に近い立場で、職業的懐疑心をもって監査に臨む必要があり、そして当局は企業に対する開示規制を工夫して、投資家や株主がおかしな会社にはそれなりの風評が立つような(レピュテーション効果)仕組みを考える、といったところです。

著者の八田先生が、本書の中で「もっと専門家を活用すべきである」とされ、CFE(公認不正検査士)の活用なども推奨していただいておりますが、我々CFEとしても、何もないところでいきなり不正調査を始めるわけにはいきません。やはり企業や監査法人、もしくは大株主から「どうもおかしいから調べてくれ」といった活動の端緒がなければ意義のある活躍の機会もなかなか付与されないので、関係者の方々が、不正防止、不正早期発見に向けた努力を実践していただけますと、それぞれが有機的に動き出せるのではないでしょうか。

企業会計審議会の中でも議論されておりましたが、不正リスク対応基準が(基本的には)上場会社の監査のために適用されるものなので、今後は監査の種類に応じて、監査のレベル感にも差が生じてもよいのではないか・・・という方向性も、本書において触れられています。これは法律家にも興味深いところでして、監査基準が変わると(もしくは監査制度の区別に応じて適用される監査基準が異なると)、どのように会計監査人の注意義務のレベルにも影響が生じるのか、そもそも監査基準というものが出来上がった歴史的背景との関係からみても、関心を抱くところです(ただ、このあたりは拙著の中で「リスク・アプローチを法的に考える」の章が、会計専門職の方々からご批判をいただいているのと同じように、あまり法的に云々・・・という議論は会計専門職の方からみれば反感を持たれるかもしれませんが。。)。いずれにしましても、監査法人の引き継ぎや連携問題、監査法人全体としての品質管理の問題など、中には会計士さんにとっては耳の痛い内容も含まれていますが、著者の方々の不正会計事件撲滅に向けての熱い思いが伝わってくるもので、ご一読をお勧めいたします。

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2013年6月 4日 (火)

不正リスク管理は「起こさない」よりも「起きたらどうする」

いつも楽しみにしております共同ピーアール社が公表するアンケート調査結果ですが、5月31日に「企業不祥事に関する意識調査」なる調査結果が公表されました。回答者は一般の給与所得者300名ということで、同じ調査は10年前にも行われているそうです。10年前と比較すると、自分の職場でも不祥事が発生している(可能性がある)と回答している人の比率が高くなっており、逆に不祥事が起きた企業については「倒産するのは当然」という回答よりも「一部の人がやったことだから、倒産は酷だ」と考える人の比率が増えているそうです。

10年前との比較でいえば、サラリーマンの方々の間でも、自分の会社でも不祥事は発生する、といった現実的な考え方が浸透しているのかもしれません。だからこそ、いざ不祥事が発生した場合には、「一人のために会社の倒産は酷である」と会社側にやや寛容な姿勢が生まれてくるように思われます。こういった一般のサラリーマンの方々の意識からすれば、企業不正リスクを考える上でも、「不祥事を起こさないためのリスク管理」だけでなく「不祥事が発生した場合に、これを早期に発見するためのリスク管理」「不祥事の芽を不祥事に発生させないためのリスク管理」というものも社内で少しずつ浸透し始めているのかもしれません。

たしかに「一人のために会社の倒産は酷である」「不祥事企業の製品は、当分購入については様子を見る」といった不祥事企業に対して寛容な回答が多かったことについては、企業不祥事発生企業をリアルに眺めている方が増えてきたことの現れかと思います。しかし、もう少しミクロの視点で眺めてみますと、不祥事は「一人」だけが批判されるべきものかどうかは検討しなければならないと思います。たしかに不祥事発覚によって刑事、民事、そして社内処分の対象となる者は行為者一人のみかもしれません。しかし毎度申し上げますとおり、その一人の不正行為について、①不正を知りつつ何も言わない社員、②不正の疑惑があるにも関わらず、何も調査をしない社員、③最初から不正など当社では起きない、といって懐疑心すら抱かない社員といった組織構成員の意識があろうかと思われます。これらの他の社員の作為・不作為は、それ自体が不祥事とは言えませんが、不祥事を容認する体質をつくりだしている人たち、とは言えるはずです。こういった体質が不祥事の後始末において何ら問題視されなければ、また不正は形を変えて同じ会社で発覚してしまうものと思います。

本日(6月3日)、読売、朝日、産経が報じるところですが、SMBC日興証券の30代の証券マンが、認知症の老人の(他社運用にかかる)投資信託を(当該老人の弟と扮して)解約し、自らが担当する証券会社の口座に入金し、運用を継続していた、というニュースがありました(たとえば読売新聞ニュースはこちら)。信じられない事実であり、高齢化社会に向けて高齢者の資産運用については機運が高まっているにもかかわらず、このような事故が発生してしまうと眠れる資産の運用に支障を来すことにもつながりかねない事件です。このニュースを子細に検討しますと、当該支店における幹部社員は、この女性が認知症の可能性があり、その取引には慎重な対応が必要だったにもかかわらず、何らの対応もしていなかったということだそうで、利益至上主義のもとでのコンプライアンスという視点からすると、営業担当者のコンプライアンス問題については構造的な不正体質が存在していた、と言えるのではないでしょうか(私は本件については、ぜひ第三者委員会を設置して、こういった不祥事を許容する体質の改善に努めるべきだと考えます)。

もうひとつ、上記アンケート調査結果の中で興味深い結果が出ています。10年前と比較すると、企業は消費者を意識しながら経営をしていることの理解が示されていますが、それでも不祥事は今後増加する、そしてその不祥事は消費者による監視などよりも、自律的な行動によって発見すべきであり、対応すべきだという意見の増加です。消費者の意識としても「不祥事は残念ながら今後も増える、しかし起きた不祥事にどう企業が自律的に対応するのか、そこが大切」というところが顕著となってきたようです。本日、東京ディズニーリゾートの景表法違反疑惑問題が報じられましたが、TDRが自ら不正の端緒をつかみ、自ら徹底的な調査をして、その結果を自ら公表する・・・、こういった姿勢が(たとえ不祥事が発生したとしても)企業の信用を支えるのものと思います。

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2013年6月 3日 (月)

サーベラスが西武の内部統制改善にこだわる理由(その2)

先週、内部統制に関する話題を取り上げましたが、非常にたくさんのアクセスをいただきました。これは内部統制に関する関心が高いからというわけではなく、タイトルの「サーベラス」「西武」のほうの関心が高かったから、ということだったのでしょうね。ということで、中身とタイトルにギャップがあることは承知しておりますが、もう少し先週のお話の続きをさせていただきたいと思います。

皆様ご承知のとおり、先週土曜日にサーベラスによる西武に対するTOBの結果が公表され、36%程度の株式取得に留まったそうです(目標上限は44%)。報じられるところでは、今後のバトルは6月25日の株主総会に移るとのこと。ということで、今後もサーベラス側と西武経営陣側とで「企業統治」「内部統制」に関する議論の対立がそのまま続くものと思われます。一番わかりやすい意見の対立がサーベラス→株主と対話をしようとしない姿勢にガバナンス上の問題がある、西武経営陣→いや、特定の株主のみを特別に扱う姿勢こそ内部統制上の問題、といったところでしょうか。

6月1日のコーポレートガバナンスネットワークの関西勉強会に参加いたしましたが、ある経営者の方が、「株主との対話」に関するご自身の経験を踏まえ、

日本の機関投資家の人たちは、社長と面談する際、多人数でやってきて、和気あいあいと意見交換をする。話題は会社の中期経営計画の中身とか、今後の収益見込みといったことが中心である。しかし海外の機関投資家の人たちは、比較的少数でやってきて(しかも若い女性が多い)、和やかな雰囲気はなく、終始真剣にヒアリングが行われる。決定的に日本の機関投資家と異なるところは、会社の方針がどうの、現状分析がどうの、といったことはほとんど聞かれず、終始「この経営者は本当に信用できるのかどうか」その一点だけを知ることを目的とした質問が続く。いわば「会社を見ている」のではなく「経営者を見ている」という雰囲気だった。

といった趣旨のお話をされていました。これは拙著「法の世界からみた『会計監査』」第11章「日本人は原則主義がお嫌い?」の中でも、私が「内部統制」について問題提起をさせていただいたことと共通しているものと思います。拙著の中で、私は内部統制の基本的な構造を「経営者による経営管理の手法」と捉えるべきか、それともガバナンスに近いものとして、経営者(取締役)をも拘束する行動規範として捉えるべきなのか、ここで議論を整理しなければ、法律や会計、経営学という学際問題においても、また会社法と金商法という法律間においても、内部統制に関する実務上の進化が遂げられないのではないかと書きました。

日本の場合、会計監査や内部監査の世界で「内部統制」に関する理論や実践の進化が先行しましたので、いわゆる経営者による経営管理というイメージが強く意識されてきました。本来は、監査役による内部統制監査、取締役会による内部統制の運用評価といったところを中心に、経営トップの業績評価の公正性をどのように担保するのか、経営トップの暴走をどのように食い止めるのかといった「企業価値向上策」と密接に関連させるべきものだったかもしれませんが、いまでもあまり経営者を縛るという意味での内部統制システム構築の議論は進展していないようです。やはり企業統治の在り方とワンセットで内部統制についても議論される必要があるのではないでしょうか(モニタリングモデルの取締役会の構築と内部統制システムとの関係等。ひょっとすると、会社法の分野では、今後「監査・監督委員会設置会社」における監査・監督委員の役割が議論される中で、正面から議論されるのかもしれません)。

今回のサーベラスと西武とのTOB紛争でも、(前回も書きましたが)内部統制は経営者を縛る行為規範としての意味合いがどれほどあるのか、そこに双方の認識の大きなミゾがあるように思われます。先の機関投資家と経営者との対話のお話も、やはり海外の投資家は「経営トップの人格や経営手腕、経営思想」こそ関心事であり、株価に大きな影響を及ぼすものと考えておられるわけで、やはり経営者に対していかに株主コントロールを効かせるのか、コントロールを効かせることができない場合には、それに代わる内部統制をどのように構築するのか、という点が重要なのです。

日本企業の経営者は、日本の金融機関、日本の機関投資家との間では共通認識を持てるけれども、海外の機関投資家との間ではガバナンスや内部統制に関する共通認識は持てなかったのかもしれません。これまでは認識の違いだけを理由にしていればよかったわけですが、このたびのアベノミクスの日本成長戦略でも話題になった「スチュワードシップコード」というものが次第に日本の機関投資家にも要求されるところになってきたようなので、日本企業の「株主との対話」路線にどのような変化が生じるのか、そのあたりにまた関心を向けておきたいと思っています。

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