「半沢直樹」から考える金融機関の内部統制(ご参考まで)
本日のエントリーは私が思いついたものではなく、ある方(某メガバンク出身)が某所でつぶやいておられたことを元に書かせていただいていることをご了解ください。すいません、ある方にはご了解をいただいておりませんので、「又聞き」ということでして、もちろん文責は私自身にあります。なお、先日の「破綻-バイオ企業・林原の真実」についても、数名の現役バンカーの方から有益なご意見をメールで頂戴しておりますが、こちらはちょっと公開するのは限界がありそうなので、また私の言葉に言い換えて別の機会にでもご紹介させていただきます。
いや、さすが名前が変わった(?)某メガバンクご出身の方だけあって、高視聴率「半沢直樹」を視ていても、私のようにドラマの展開にハラハラドキドキしている素人とは視方が違います(笑)。まずは半沢直樹を産業中央銀行(半沢が勤務する東京中央銀行は産業中央銀行と東京第一銀行が合併)に入行させてしまったことは旧産業中央銀行の人事部のミスである、とのご意見。
行内で不正を犯す人間の理由の第一位は「自分の人事考課に納得がいかない」というものだそうで、とりわけ銀行では「個人的な恨み」というものは内部統制上、極力回避しなければならないそうです。ドラマをご覧の方ならおわかりのとおり、半沢の父親は町工場を経営していて、融資を引き揚げられたことで父親が自殺をしてしまいます。しかしそうなりますと、その息子は入行させるべきではない、ということであり、父親が産業中央銀行と取引があったとなると、通常の銀行の事実調査からすると、容易にそのようなことはわかるそうです。なるほど。。。
次に、半沢直樹のドラマでは、合併前の産業中央銀行と東京第一銀行との間における派閥争いがとても派手に描かれているのですが、「あれは現実です」とのこと。支店長が産業中央なら副支店長は東京第一、その下の花形融資課長が産業中央なら、個人メインの取引課長は東京第一と、見事にたすき掛けが行われるのが通常であり、人事部はこのパズルを得意としなければやっていけないようです。内部告発を受領したことの行内報告書が第6話に出てきましたが、あの報告書にはたしか副支店長の印鑑がなく、課長と支店長の印鑑だけが押されていましたが、その方曰く「母体行が異なる副支店長には内密にしておきたかったのでは、と感じた」そうです。なるほど・・・さすが、そんなところまでリアルに描かれているとは(^^;;・・・・。派閥争いがないことが内部統制的には良いことなのですが、現実には派閥争いがあることが強烈なけん制機能となっているのが事実であり、「笑えない内部統制だったりする」そうです。
私なんかは、金融庁検査のような一大イベントがあれば、もう少し行内で一致団結するようになって派閥争いなど次第に解消されてしまうのではないか・・・などと考えるわけですが、まったく甘いのでしょうね。そういえば、これは別のある経営者の方からお聴きしたことですが、組織というものは、組織の信用を毀損するような大きな不祥事を隠すためには、誰かに無条件で責任をとらせる(辞めてもらう)といった小さな犠牲もやむをえない、ということで、組織の責任追及まで行く前に個人の責任追及で終わらせる、その際に派閥争いはとても役に立つそうです(こわ~(ToT)/)。最近多くの企業で「コンプライアンス部門」が法務部から切り離されて経営執行部直轄に移行している意味が少しわかってきたような気もします(汗)。
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