企業不正に対する内部統制の役割とそれを取り巻く者の責任(日本内部統制研究学会のお知らせ)
さて、昨年は当ブログで広報させていただき、思いのほか多数の方にご来場いただき、配布資料不足を招いてしまいました日本内部統制研究学会のお知らせでございます。昨年は東京開催でしたが(日本大学)、今年は関西大学で開催ということなので、たぶん、昨年のような混乱は生じないものと安心しております。
さて、8月31日(土)に迫ってまいりました第6回日本内部統制研究学会年次大会ですが、今年の全体テーマは「企業不正に対する内部統制の役割とそれを取り巻く者の責任-ガバナンス・会計・監査-」ということでして、
本大会では、「企業不正に対する内部統制の役割とそれを取り巻く者の責任」を統一テーマとし、内部統制の整備と運用に責任を持つ経営者・監査役等の企業内部者と、外部監査人・資本市場運営者等の企業外部者が、それぞれの果たしてきた責任を踏まえ、将来の企業経営向上に向けてさらに前向きに果たすべき責任に関して、それぞれの視点からご議論頂くことに致しました。
といった概要です。準備委員会の委員長が企業実務家でもいらっしゃる伊藤先生(関西大学)なので、統一論題のご登壇者の顔ぶれも多彩です(ご登壇者の顔ぶれはこちらのHPをご覧ください)。主催者側である私自身も、今から楽しみです。
ベンチャー支援、起業家の成長支援ということで、アベノミクスは上場維持費用の緩和の方向性を打ち出しているようですが、規制緩和によって起業の自由、営業活動の自由が広くなればなるほど、企業規制はソフトローに依存することになります。
たとえば最近、社員による不適切写真の投稿が批判の対象となり、東証1部のブロンコビリーさんが謝罪と店舗閉鎖、従業員への損害賠償予告、というリリースを出しました。この対応には「当然の措置!」「やりすぎでは?」と賛否両論の意見が出ています。ブロンコビリーさんでは、ネット上での炎上という事態を受けての自律的行動でした。ではまだ炎上していない「不適切写真」の存在が御社で発覚した場合、ブロンコビリーさんと同じ行動をとるのでしょうか?まだ炎上していない(つまり世間に知られていない)以上は、コソッと本人を処分をするだけで済ませますか?それとも社内処分を社内だけで公表して済ませますか?それとも炎上前から社外にもリリースして謝罪をするのでしょうか?また、そのような対応については社内で意見は一致するのでしょうか?
このような自律的行動が、果たして企業の信用を向上させるのか、低下させるのかは、当然のことながら内部統制構築の巧拙に依拠することになるわけでして、規制緩和によるソフトロー時代の傾向が強まる中で、今後ますます企業不正に対する内部統制への関心は高まるものと思われます(だって、みなさん、ホントにリスクは背負いたくないでしょうから・・・)。
朝9時半からの自由論題は、今年も4つの会場に分かれて開催いたしますが、私もそのうちのひとつである第4会場の司会を務めさせていただきます。テーマは「法的側面からの検討」ということでして、伊勢田道仁教授(関西学院大学法学部)による「内部統制に関する経営者と会計監査人の責任」、遠藤元一弁護士による「監査における不正リスク対応基準が監査人の財務諸表監査に与える法的影響等」という、いずれもたいへん興味深い内容のご発表です。法律家、会計専門職、経理・法務担当者など、多数の方々にご聴講いただきたいので、ぜひとも朝からお越しいただければ幸いです。
内部統制がしっかりしていれば「上司のミスは部下に押しつけ、部下の手柄は上司の手柄」といったことはなくなるかも(?)しれませんよ。8月31日の土曜日は、ぜひとも関西大学の吹田キャンパスまでご参集くださいませ<m(__)m>
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