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2013年9月 3日 (火)

企業法制改革論Ⅱコーポレートガバナンス編

Kigyohouseikaikaku法律が企業社会にどのような影響を及ぼしうるのか、企業法制は会社の行動を変える力をどれほど持ち合わせているのか・・・という疑問は、企業法務に携わる法律家にとっては一度は真剣に考えるテーマではないでしょうか。

こちらも先日ご紹介した「株式会社法大系」と同様に、なかなか格調の高い本ですが、中央経済社より出版されたばかりの「企業法制改革論Ⅱコーポレートガバナンス編」を拝読しました。2011年に出版されたⅠの続編として、コーポレートガバナンスに関連した5つのテーマを、専門家の皆様と武井一浩弁護士の対談で綴る一冊です。

本書の対談集は、すでに中央経済社の法律雑誌「ビジネス法務」に掲載されているので、そちらを購読されている方には新鮮味がないのでは?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし一橋大学大学院の伊藤邦雄教授と武井先生との対談「企業価値評価・会計からみたガバナンス-今、制度作りに求められるのは『知の統合化』」というところは雑誌に掲載されていない対談であり、私的にはとても興味深い内容です。

経営学の立場からコーポレートガバナンスがどのように考えられるのか、具体例を豊富に挙げて伊藤先生が語っておられます(「有能なCFOこそガバナンスの要である」というご意見はなるほど・・・と思います)。また法と会計の知的統合の必要性を、IFRSと会社法の関係などから説得力ある語り口で解説されておられます(この分野で伊藤先生の話を引き出す武井先生の知見もなかなかのもの)。法と会計の狭間に横たわる問題に関心のある弁護士、会計士、企業実務家の方は、たいへん参考になるはずです。以前、江頭先生の記念講演を拝聴して「残された会社法改正の論点はIFRSと会社法会計との関係である」と語っておられたことを当ブログでも紹介させていただきましたが、本書の中で伊藤先生も、やはり会社法会計とIFRSとの問題整理が喫緊の課題であるということを、(これも豊富な例を挙げて)語っておられます。法律家の「IFRSと会社法会計に関する論点への対応-公正なる会計慣行の解釈」について、伊藤先生なりの印象を語っておられるのも興味深いところです。

本書の目次を読むと、すべての対談の内容がとても気になります。それぞれに題名のとおり企業法制の改革に向けた提言(らしいご発言)が盛り込まれており、ガバナンスに関連する会社法上の論点を考えるうえで有用なものばかりです。単なる知識ではなく、企業実務に応用できる「知恵」を求めている方々には必読の一冊かと思いご紹介する次第です。

9月 3, 2013 本のご紹介 |

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