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2013年9月27日 (金)

「社外取締役ガイドライン」の解説本が出ました(商事法務)

4785721190最近の日経新聞による「社外取締役の義務付けは必要か?」というアンケートでも64%の方々が「社外取締役の義務付けは必要」と感じておられることが報じられています。ただ、社外取締役の義務付けが必要だと感じる方が多いことと、上場会社において社外取締役の必要性はどこにあるのか、という議論が少し違うわけでして、「個々の企業がなぜ社外取締役を必要とするのか」という議論と「なぜ制度化すべきなのか」という議論は整理しておく必要があります。

理屈の問題はさておき、すでに上場会社の約6割の会社が一人以上の社外取締役を導入しておられるわけで、会社法改正を控えて、この傾向は、今後ますます強まることは間違いありません。そこで日弁連の司法制度調査会社外取締役ガイドライン検討チームが中心となって、この3月に日弁連の社外取締役ガイドラインを策定しました。そしてこのたび、そのガイドラインの解説本が商事法務より出版される運びとなりました。本日(9月26日)の日経朝刊の第一面にも広告が出ました。

「社外取締役ガイドライン」の解説(日本弁護士連合会司法制度調査会社外取締役ガイドライン検討チーム編 商事法務 3,200円税別)

詳細の目次は、上記リンク先をご覧いただきたいのですが、本書はガイドラインを作成するにあたり、法律に必ずしも精通されていらっしゃらない一般の方々にも、ガイドラインの内容がわかりやすく理解できるよう工夫されたものです。そもそも本ガイドラインは、経営者の方、取引先の方が社外取締役に就任する際に留意すべき点を中心に執筆したものであり、決して法律家の社外取締役だけを想定したものではありません。したがいまして、実際に就任されていらっしゃる経営者、元経営者の方々にこそ、「社外取締役のベストプラクティス」としてお読みいただければ幸いです。

一応の確認のために申し上げておきますが、本書は決して上述の「社外取締役制度」の推進を主張するようなものではありません。現実問題として社外取締役の導入の必要を感じておられる会社があれば、どう受け入れ態勢を整えて、社外取締役を企業価値向上につなげていくか、そういったことを検討するにあたっても参考になるよう工夫されています。ただ、取締役会の在り方については色々な議論があることは否めません。社外取締役が経営執行部にとって経営指南を行うような「業界に精通したプロフェッショナル」を求める考え方もあろうかと思います。しかし本書は、欧米の主流であるモニタリングを重視した取締役会を念頭におき、社外取締役がモニタリンスシステムの取締役会において果たす役割を明確にしています。このあたりは、会社法改正における審議の流れとも合致しているものと考えています。

また、この本は、共栄火災さん、東京海上日動さん、AIUさんのご協力を得て、各社の現時点におけるD&O保険の基本約款を参考資料として掲載しています。これは、役員賠償責任保険の内容を就任時もしくは就任後にできるだけ知っておいていただきたい、との意向によるものです。社外取締役への就任において、それぞれ責任限定契約を締結されることが多いと思うのですが、役員賠償責任保険がどこまでをカバーするのか、どういったケースではカバーされないのか、ということをあらかじめ確認していただきたい、といった趣旨です。

ちなみに私も検討チームの一員として、かなりマニアックな部分ですが、「監査・監督委員会における監査・監督委員たる社外取締役の行為規範」について解説をしています。会社法改正によって新たな機関設計として「監査・監督委員会」(仮称、監督委員会という名称になる可能性あり)が新設されますが、この監査・監督委員会設置会社の社外取締役には、制度上の特殊な役割がありますので、あえて監査・監督委員会の構成メンバーである社外取締役にフォーカスをあてて解説を試みた次第です。

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