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2013年11月12日 (火)

「組織ぐるみの不祥事」と言われないための役員のリスク管理

(本日のエントリーにつきまして、各種メディアへの転載はご遠慮ください)

メガバンクの経営トップは不適切融資の報告を受けていたか、名門ホテルグループの経営トップは偽装の事実を把握していたか等、企業不祥事は「経営者関与」「組織ぐるみ」と評価されることで企業の信用を大きく傷つけてしまいます。不祥事をトップが許容していたのか(知っていて放置していたのか)・・・・・、という点は第三者委員会による調査の重要な対象事実になります。

ところで、最近名門企業の不祥事が多発しているせいか、私がブログで紹介しても(残念ながら)あまり話題にならないのがNPB統一球問題の第三者委員会報告書です。この第三者委員会報告書は元最高裁判事、元最高検検事、大手法律事務所の大御所弁護士の方々が調査委員となり、きわめて秀逸な内容であるにもかかわらず、どうも話題性に乏しいままです。次々と発生する企業不祥事の話題の中で埋もれてしまうにはたいへんもったいない無形資産です。

なんといっても、コミッショナーが「絶対に統一球仕様変更の事実を私は知らなかった」と首尾一貫して否認されているにもかかわらず、第三者委員会は「たしかにご本人は否定しているけれども、ご本人は知っていたか、あるいは事実を知っていた場合に比肩しうる程度の(知らなかったことに)重大な職務違反がある」と結論付けています。つまり本人は否定しているけれども、証拠から見れば知っているものと同等に扱ってもよい」という評価です。

おそらく一般企業の代表者が、第三者委員会によってこのような評価を受けたとすれば、もはや「組織ぐるみの不正」ということで、訴訟リスクを背負うことになるものと思います。ご承知のとおり、取締役・監査役の不正関与につき故意または重過失あり、ということになりますと、会社法429条1項による(第三者に対する)賠償責任が認められることになりますし、D&O(役員賠償責任保険)の対象からも除外されてしまう可能性があります。

ということで、ここからは単なる「お知らせ」ですが、私、このNPB事件の第三者委員会報告書から、「取締役や監査役は、どのような事実が集積すると不正を知っていた、もしくは知っていたに等しい重過失ありと認定されるのか、を学ぶ」という珍しい研修セミナーを企画いたしました。研修といいましても、一般の方がお聴きになれるものではなく、企業の役員の方からご希望がございましたらプライベートセミナーということで、1時間から1時間半ほどのケースメソッド研修をさせていただこうかと思っています(とりあえず時間が許す限りにおいて、全国の上場会社を対象とさせていただきます)。なお、いくら公開されているからとはいえ、第三者委員会報告書をそのまま教材に使うことは倫理上も問題なので、この報告書をもとに私が教材事案を作成しています。

教材事案をもとに、役員がどのような行動に出れば、また社員がどのようなことを知っていれば、また有事になってどんな慌てた行動をとれば「経営者は不正を知っていた、あるいは知らないことに重過失あり」とされてしまうのかを双方向で学習しよう、というものです。もちろん立証責任や証拠能力、フォレンジックによる証拠収集リスクなどにも配慮した内容になっています。また、有事に慌てないように、スピード経営が求められる平時にはどのような行動をとれば不利な認定を受けないのか・・という平時のリスク管理にも言及いたします。

別に「お金儲け」というわけでもなく、あくまでも私の趣味に近いところでの研修企画ですが、けっこう自分で言うのもナンですが、経営者にとって有益なものに仕上がっております(笑)。もしご興味がございましたら、私宛にメール(toshi@yamaguchi-law-office.com)にてご相談ください。企画案の開示と共にお見積りさせていただきます。ちなみに一般公開のセミナー等でお話する予定は一切ございません。また、(わざわざ私に依頼するまでもなく)皆様方の会社の顧問弁護士さん方に、このようなセミナーを企画していただく、というのも推奨いたします。結構、この報告書はいま話題の企業不祥事を読み解くにあたっても有益ですよ。

経営者関与と認定されることは、単に訴訟に負けないため、ということだけでなく、そもそも訴訟を起こされないために必要です。そういったタイプのセミナーというのはあまり今まで見聞きしたことがありません。役員会終了後、役員会活性化のためにも、みなさんで勉強してみませんか?少しでもご興味がございましたら、ご検討いただけますと幸いです<m(__)m>。

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