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2013年12月 4日 (水)

オリジナルの役員セミナー、1社決定!(引き続き募集中)

昨日、私が独立社外取締役および第三者委員会委員を務めておりますニッセンホールディングスのTOB賛同意見ならびに第三者割当増資に関するリリースが出ました(お相手はいずれも7&iネットメディア社です)。予想どおり(当然ですが)本日の値上がり率第1位でしたが、買付株数の上限が50.7%ということなので、今後の値動きがとても気になります。公開買付をされる側の社外取締役としては、ここで第1ステージは終わりですが、今後第2ステージ、第3ステージとまだまだ大切な役割が控えていますので、年末年始、体調を崩して関係者の皆様にご迷惑をかけないよう頑張っていきたいと思います。

個別案件の内容については一切お話できませんが、適時開示までマスコミからのリークは一切ありませんし、また昨日の終値がつくまで、不自然な取引もなかったようです。資本業務提携の内容を詰める段階で、次第に情報を共有する範囲が広くなりますが、それでも情報管理が徹底されていることを示すことができました。また、当社側の意思決定の内容を知るべきではない立場の当社役員、たとえば大株主出身の社外取締役や7&iホールディングス社の社外取締役を兼ねている当社の社外監査役の方などについては、本当に厳しい情報遮断が行われ、取締役会への欠席を含め、一切の経営判断過程からシャットアウトされました。一般株主の利益保護という意味においては、本当に冷徹なまでにデュープロセスが貫かれたことだけはお伝えしておきます。

さて、2週間ほど前に、こちらのエントリーでNPB統一球仕様変更問題を題材とした役員セミナーを企画しましたので、社内セミナーしませんか?と募集させていただきました。その結果、数社よりお問い合わせいただきましたが、このほどやっと第1号のセミナー開催が決定いたしました(どうもありがとうございます。<m(__)m>ちなみに開催は来年2月です)。東京に本社のある上場会社のグループ会社さん(非上場)ですが、海外駐在の取締役の方以外はお集まりいただけるようなので、私自身も楽しみにしています。まだまだ募集をさせていただいておりますので、もしご興味がございましたら当職までメールにてお尋ねくださいませ。

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コメント

いつもこのブログを興味深く拝見し大変に参考になります。有難うございます。
さて本件、社外取締役などの方々が判断過程からシャットアウトされたとのことですが、それは果たして必要なのでしょうか。このような重要な意思決定の過程で取締役会への出席も許されないことが必要なのでしょうか。情報漏洩防止の観点ではそうかもしれませんが、一方、取締役・監査役の職務遂行の上では議事に参加する責任と権利があるのではないでしょうか。
当然情報管理義務もあるわけですが、それは社外役員個人の責任で行われるべきであると思います。情報管理能力に不安を感じるような人は社外役員に選任するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
また、意思決定への参画者を恣意的に決めることの良否も懸念されます。
或いは、正論的にはそうであっても現実論ではやはり心配と言うことでしょうか。

投稿: O.S. | 2013年12月 4日 (水) 13時41分

O.S.さん、ご意見ありがとうございます。情報漏えいや情報管理という面からすればご指摘のとおりですね。ただ、やはり今回のスキームは資本提携合意と資本提携の解消が同時に行われる関係で、利益相反問題はきちんと対処する必要があるというのが本筋です。外観的にも公正な価格形成がなされたことを示すことが求められているのではないでしょうか。決して恣意的に決めたのではなく、合理的な理由があると考えてのことです。

投稿: toshi | 2013年12月 5日 (木) 01時14分

後学のためご教示賜れば幸いです。

非常に形式的な質問ですが、取締役が「社外」であることを以って利益相反が生じる、という解釈となるということでしょうか?
それとも今回利益相反となりうる可能性が高い大株主出身の社外取締役や7&iホールディングス社の社外取締役のみ決議から外れたということでしょうか(両社以外の第三者社外取締役は取締役会に出席・決議参加した、のでしょうか)?

もし、「社外」であることを以って利益相反が生じる、との解釈ですと、(日本ではあまり例はないと思いますが)仮に取締役会が全員社外取締役で構成されている場合、「全員出席できないor出席しても誰も決議参加できない→取締役会決議成立???」という事態になるかと思ったのですが…。

本件のような重要な決定は第三者たる社外取締役こそ株主ほか利害関係者の視点から意見を述べ、決議参加すべきものと考えました。
取締役会招集通知は会社法に従い社外取締役を含む全取締役に通知されたものと推察しますので、(出席は各取締役判断としても)出席した場合は「社外」であることのみを以って決議参加できないということはない、との理解で合っていますでしょうか?
(社内取締役を含め、当然にインサイダー情報にはなる、ということではあると思いますが…。)

投稿: 会計利樹 | 2013年12月 5日 (木) 19時34分

会計利樹さん、私の書き方がまずかったのかもしれませんが、利益相反は単に社外ということだけでなく、その出身母体と当社との関係からみて・・・ということです。おそらくこのあたりは、どのM&A事案でも法律アドバイザーからの指導があると思います。理由は昨日書いたとおりで、個々の案件ごとに利益相反を検討するよりも、やはりきちんと情報を一切遮断しなければ外観的な公正性は確保されないだろう・・・ということですね。

投稿: toshi | 2013年12月 6日 (金) 16時05分

山口先生、

早速のご教示ありがとうございます。すっきりいたしました。
出身母体と会社との関係をから社外取締役に対して考慮すべき事項があるというのは、昨今M&A事案が多い中、非常に勉強になりました。
特に一切の経営判断過程からの厳しい情報遮断という要素は私には新鮮な考察になりました(実務では当然のことなのだと思いますが…)。

投稿: 会計利樹 | 2013年12月 6日 (金) 16時29分

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