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2014年2月12日 (水)

法務部必読!!タマホーム第三者委員会報告書

月曜日(2月10日)の日経朝刊法務インサイドで「最近の不祥事発生時の第三者委員会報告書ってどうよ?」といった特集記事が組まれていましたが、いやいやどうして、核心に迫っている第三者報告書が二本、10日にリリースされています。

なかでもタマホームさんの連結子会社の不適切事実に関する第三者委員会報告書は読みごたえあり!です。ちなみにタマホーム社子会社の不適切事実については、こちらあたりがご参考になるかと。

最初に委員会が会社側とどんな交渉をしたのか、どのように独立性を維持したのかを、事実を適示して説明を加えているところから「おお!」と思わせます。フォレンジックの内容も参考になりますし、会社側が不穏な動きをしたのではないか・・・といった疑惑についても記載があります。また事実の認定の段階から、かなり委員の自由心証に基づく判断が記載されており、これは説得力が感じられます。全体を読むと、2009年のフタバ産業事件のときの第三者委員会報告書にどこか似ているような気が(上場会社取締役・監査役必読!!フタバ産業第三者委員会報告書)・・・。

法律実務家としての興味からすると、親会社取締役・監査役の責任を、子会社取締役・監査役と区別して、丁寧に論証されているところは参考になります。親会社役員の子会社管理について、日本システム技術事件最高裁判決、アパマンショップ事件最高裁判決の(取締役の責任を論じるにあたっての)射程距離を意識しながら、最近の福岡魚市場代表訴訟判決、平成13年の野村證券孫会社代表訴訟事件判決なども参考にして検証しておられる点はとても勉強になります。コンプライアンスの視点からは、社長案件の利益相反取引に見え隠れする「触れられないブラックボックス」の存在・・・、これはどこの企業にもある病巣ですが、ここによく光があてられています。

また、上場会社の法務部の与信審査なども詳しく論じられていて新鮮です。ホームページのソースコードから反社情報が飛び出してきた・・・なんて、なかなかおもしろいですね。雑誌FACTAの記事などが企業に及ぼす影響なども「なるほど」と思います。たいへん長い報告書ですが、最後まで法務部員の方々にはお読みいただき、どのような感想を持たれるか、お聴きしたいところです。法的責任に関する判断において、親会社の取締役、監査役の法的責任を厳しく認定している(表現としては「善管注意義務違反が認められる可能性が高い」等)点をみても、この報告書の「核心への切りこみ」がわかります。社長が知らぬ、存ぜぬを押し通してしまうと、「法的責任の判断は下せなかった」で逃げてしまう最近の第三者委員会報告書とは一味違います。

個人的には「疑わしきは会社の不利益に」という前提で書かれたもうひとつのリソー教育さんの第三者委員会報告書にもぜひ言及したいのですが、また別の機会にということで(さっそく朝日新聞「法と経済のジャーナル」で奥山記者が本件第三者委員会報告書を取り上げていらっしゃいますが、マスコミ的にはリソー教育さんの第三者委員会報告書のほうが関心が高いかもしれません)。とりいそぎ、速報版としてご紹介させていただきました。

2月 12, 2014 ディスクロージャー |

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コメント

第一印象として、IPOの審査中、よくバレなかったなぁ、よく審査を通せたなぁと感じます。
最近は、本当にゆるめなんでしょうか。

監査法人や主幹事証券会社からは
「隠し事せずによい話も悪い話も出してくださいね、私たちは見つけますし、内部通報的に情報提供を受けることもありますから。」
とする指導を受けていたと思いまが、
「実はこんなことがあるのですが」
といった相談を持ちかけることはできなかったのでしょうか。
また、主幹事証券会社と監査法人からのビジネスモデルや収益の認識についての
チェックはどのようにされていたのか疑問です。
主幹事証券会社と監査法人の指導能力に疑問を感じました。
少しネット検索すれば、太陽光サービスの疑問を抽出できたであろうと感じるのですが、
ちょっとB2C企業への審査力に至らなさがあったのかなと。
第二に、反社対応ですね。
わかる人にはわかる人物が出てきていますよね。
与信担当者はセオリーどおりの手順、リソースで十分なチェックしていたと感じましたが、
商談ストップをかける規程のルール作りや、
トップマネジメント層との情報共有がイマイチだった点が個人的に残念だなぁと思いました。
「反社とは疑わしい方とも含めてゴルフ、食事等もしないようにしてね」
と指導を受けると思うのですが、トップマネジメント層はどうだったのでしょうか。
トップは最強の営業カードである面もあるとはいえ、とっているコミュニケーションには軽率な印象があります。
トップ自身の軽率さもあるとは思うのですが、秘書、総務の体制に疑問を感じました。
第三として、情報セキュリティの甘さですね。
従業員管理の甘さ、そして外部メールを会社で使うとかは、ちょっと上場企業では考えにくいですね。
従業員管理では、労働時間が一時期程厳しくないとも聞こえてきますが、
「誰(どんな属性の人)が、どれだけ労働しているか」はしっかりとチェックされるかと思いますが、
実質として「この人ってどんな人?」という観点からの確認はなかったのでしょうか。
また、印鑑、角印の管理も実態の押さえがされていなかったのかと思います。
全体的に現物現実現場について、キチンとトップマネジメント層と監査法人や主幹事証券会社は直視していなかったのではないかと感じました。
大所高所のレベルでは問題なさそうに見えたとしても、
実務担当者レベルの苦悩や問題が上で希釈されてしまうことがあったのではないかと感じます。

以下、ネットの小噺です。
 現場「これ絶対やばいっすよ」
 ヒラ「やばいらしいですよ」
 主任「やばいかもしれないって」
 係長「懸念すべき事項が一つ」
 課長「一つを除き問題ありません」
 部長「実に順調です」
 社長「うむ」

投稿: 法務担当 | 2014年2月15日 (土) 21時57分

法務担当さん、私も勉強になりました。ありがとうございます。宣伝になりますが、本日発売のビジネス法務4月号。第一特集は不肖私が「情報管理」についての企画を担当しております。法務担当さんほどのスキルの方には「釈迦に説法」かとは思いますが、またご意見がございましたらお気軽にお寄せください。

投稿: toshi | 2014年2月21日 (金) 14時29分

法務担当様の小噺、現場の臨場感が伝わってまいりました。
①小噺のように社長に情報が伝わらない場合:内部統制の構成要素である「情報と伝達」の不備
②社長に情報が伝わるが、情報がやばいものであることに社長が気付かない場合:社長の経営姿勢・経営理解の問題
③社長が見ないフリをする、あるいは自らやばいことをする場合:社長の倫理観の問題
ということでしょうか?

投稿: 会計利樹 | 2014年2月21日 (金) 20時15分

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