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2014年3月 7日 (金)

「気がつけば我が社も粉飾企業」と後悔しないための経営者の知恵

上記タイトルで、東京証券取引所主催セミナー「会計不正のリスクとガバナンス」の講師を務めさせていただき、2月の渋谷公会堂、3月4日の大阪銀行協会ホールと、無事終了しました。今回は上場会社の役員向けということで、関東と近畿延べ1400名ほどの役員さんやIRご担当者の皆様方に向けてお話させていただきました。地元大阪も400名近い方がお越しになり、やはり東証主催セミナーの認知度の高さを痛感しました。前の方から後ろの方までよく存じ上げている方がお見えになっていたので、とてもありがたいと感じました。

後悔すべきは、最近は拙ブログをお読みの方々に向けた講演が多かったので、「二次不祥事」などという言葉は聴講されている方に説明するまでもない・・・という「驕り」が私にあったことです。聴講された方々の感想として「二次不祥事というのがよくわからなかった、もっと具体的な例をあげて説明してほしかった」とのお声もチラホラでして、私のブログもご存じない方が多い中で若干反省をしております(大阪では若干修正できましたが)。

ただ、実務担当者向けの解説では「どうすれば粉飾を防止できるか」ということを述べるのに対して、経営者向けには「どうすれば粉飾企業にならないか」と問いかける意味はご理解いただけたのではないかと思っています。お伝えしたかったメッセージは「知識」ではなく事業経営に忙しい経営者に向けた「知恵」なのです。

今朝の朝日新聞記事でも、博報堂さんの製作映画に「やらせ」があったこと、監督さんがこれを認めたことが掲載されていましたが、たしかに冷静な第三者の目から見れば明らかに「やらせ」です。でも被災者の姿を描くことに懸命だった(熱くなっていた)監督さんの立場からすれば「この程度は演出だ」と本気で考えていたことも可能性としてはあります。真剣勝負に没頭している本人の思考回路としては十分にありうるところであり、だからこそ社外役員や監査役さんらの「第二思考回路」が不可欠だと思います。人の会社のケースでは粉飾がみえても、いざ自分の会社では見えてこない・・・それはなぜか?ということを私自身も考えていきたいと思っています。

なお、第三者委員会報告書から参考事例を紹介させていただきましたが、第三者委員会報告書の読み方というのは、やはり実際に報告書を書く立場になってみないとわからないことがたくさんあります(これは講演後にもうひとりの講演者である宇澤会計士さんとお話しているときに、宇澤先生もおっしゃっていました)。報告書を書く立場から、また委員会解散後のコンプライアンス委員に選任された立場から、会計不正事件や企業のガバナンスを眺めてみると、またマスコミ報道とは異なる真実がみえてきます。どんな企業が「粉飾企業」の仲間入りを果たしてしまうのか・・・グループ会社経営の諸課題を含めて、そういったことをまた何かの機会にまとめてお話できればと考えています。

とくに私自身、内部告発事案などに関わる機会が増えてきますと、「粉飾とすれすれのグレーゾーンでもがき苦しむ大企業」の担当者・担当役員の姿に、制度会計と向き合う経営者の思想が垣間見えてきます。その企業における監査役や監査法人の立ち位置も見えてきます(ホント、これは千差万別です!)まさに宇澤先生が講演でお話されていたように「粉飾はアート」だと思えてきますね。

ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました<m(__)m>。また、即興で(当日発生した)大証システム停止の事件を題材とした質問を会場に投げかけて、関西人らしい「つかみ」をやってしまったにもかかわらず、笑って流していただいた「太っ腹」の東証の皆様にも感謝申し上げます(もうお声がかからないかもしれませんが・・・・笑)。

3月 7, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 |

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コメント

「粉飾はアート」に反応しました。サニーサイドを渡り歩いている上場企業の役員さんは業界特有の不正や粉飾パターンは熟知されていると思います。ただ業績の悪い部門では稀に知恵者がいてとんでもない粉飾アイデアを出し、それが人事異動に伴って他の部門へ伝播するということがあるのではないでしょうか?
果物は陽の当たる方から腐りますが企業は日陰の方から腐りますね。

投稿: Student | 2014年3月 8日 (土) 08時40分

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