裁判は、起こすところに意味がある
皆様、ゴールデンウィークはいかが過ごされましたでしょうか。私は諸事情ございまして、ブログ更新もお休みさせていただきました。ひさしぶりの更新です。
日曜9時のTBS池井戸ドラマ「ルーズベルト・ゲーム」の第2話、イツワ電機が青島製作所に知財訴訟を提起してきましたが、裁判は勝つためにやるのではない、起こすところに意味がある、と青島製作所の社長(主人公-唐沢寿明)が語っていましたね(実際、あの程度の裁判でマスコミに報じられるということはないと思いますが・・・(^^; )。今後の展開が楽しみです。
さて、東京海上日動さんの社員の方が、会社を相手取り、不当な降格が行われたとして3000万円の損害賠償請求訴訟を提起したことが朝日新聞で報じられました(朝日ニュースはこちらです)。いわゆる保険金不払いは会社の指示だったにもかかわらず、上司から責任を押し付けられ、不当に降格処分になった」というもの(まさにルーズベルト・ゲーム第2話と同じようなお話ですね)。記事では、「訴状では『会社は組織ぐるみで不払いを隠しており、会見内容は虚偽である』と指摘している」と報じられています。
東京海上日動さんの名誉のために申し上げますが、もちろん、この記事だけでは、原告社員の方の主張の真偽はわかりません。ただ、最近の風潮から、こういった裁判、ホントに「起こすところに意味がある」といったことを考えてしまいます。とりわけ原告側の手持ち証拠が不足していて、立証責任を尽くすことが難しいケースでは、不当提訴にならないかぎりは、とりあえず裁判を起こしてみる、という戦術もありかな・・・と思います。
先日、海上自衛隊いじめ自殺問題の逆転高裁判決(正確には損害賠償額の大幅上積み)が出ました。高裁で逆転裁判が出たことについては、海上自衛隊側の裁判上での説明が虚偽であることを示す資料(アンケート用紙は紛失した→アンケート用紙は存在する)が内部告発で公表されたことによるところが大きかったものと思われます(なお、先日、この内部告発をされた隊員の方は、公益通報に該当する可能性があり処分されずに済むことになった、報じられていましたね)。組織から隠ぺいを指示された社員が、このように裁判で苦しんでいる仲間がいることを知り、良心に従い思い切って内部告発に動く、ということは十分に考えられます。
東京海上日動さんの件も、このような裁判が起こされ、組織ぐるみの保険金不払いに関する指示の有無が争点となった場合、内部告発によって明るみになる事実があるかもしれません(ニュースには原告代理人のお名前も掲載されていますね)。こういった裁判は、勝つか負けるかは別として、やはり起こすところに意味がある事件の典型ではないかと思います。
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