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2014年7月18日 (金)

DNA親子関係不存在確認請求事件最高裁判決に対する雑感

本日はビジネス法務とはまったく関係のないお話で恐縮ですが、DNA親子関係不存在確認請求事件の最高裁判決(3件)が出まして、その判決全文が最高裁のHPで読めましたので、やや雑感めいたものを備忘録として記しておきます。

過去に当ブログでも何度かつぶやきましたが、「やはり金築裁判官はすごいな・・・」と(^^;

個人的には櫻井裁判官の補足意見に与するところですが、私は昨年12月10日に出た性同一性障害の方の嫡出推定を認めた事件「戸籍訂正許可申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」の最高裁判決と比較すれば、このたびの法廷意見(多数意見)の判決(結論)は明らかだと思っておりました。つまり12月の判決が3対2で性別変更をされた方の主張を認めたのであれば、今回は全員一致で多数意見の判断が出るだろうと予想していました。

しかし今回の金築判事、及びこれに同調する白木裁判長が反対意見を表明されるとは予想外でした。そしてよく読むと、なるほど、昨年12月の最高裁判決の法廷意見(多数意見)の判断理由と論理的に矛盾せずに今回は反対意見を述べておられるのですね。さらに、法の解釈を超えるので立法に委ねる、とはせずに、解釈論として裁判所による個別解決を図るべき、とする理由をみると、司法権と立法権の役割分担にまで検討が加えらており、まさにミクロとマクロの双方の視点において最高裁判事にふさわしい判断理由が示されています(うーーーん、これは法律実務家として、何度も読んで勉強させていただきます!)ただ、子供の出自が明らかになっていない場合に、科学的な証明をもって子供にそれを告げることがはたして子供の幸福といえるかどうか・・・、このあたり「人として」意見が分かれるようにも思えますし、多数説になりきれない説得力の欠如があるのかもしれません。

私のような最高裁で弁論をしたこともない一介の弁護士が言うのもなんですが、昨年12月の裁判も3対2、そして今回の裁判も3対2・・・。こんな厳しい裁判を、大法廷で15人の裁判官で判断できないものでしょうか?もし15人で昨年12月の裁判が審理されていれば、結論が変わっていた可能性はありますよね。そして、その結論次第では今回の裁判のマジョリティも変わっていたかもしれません。司法事務の問題を私自身がわかっていないからかもしれませんが、ふと、そんな素朴な疑問が湧いてまいりました。

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