不正リスク管理・有事対応-経営戦略に活かすリスクマネジメント
さて、秋の新作3部作の最後にご紹介しますのは、私の本業にもっとも近いところである、不正リスク、有事対応に関する経営者向けの新刊書です。いよいよ東京地区は10月2日、全国では10月3日より書店に並ぶことになりました。
不正リスク管理・有事対応-経営戦略に活かすリスクマネジメント (山口利昭著 有斐閣 2,592円)
有斐閣さんといえば、もうかれこれ30年近く前になりますが、司法試験受験生として、鈴木・竹内会社法、大塚刑法、平野刑訴法、鈴木手形法、松坂民法など、まさに多くの基本書としてお世話になりました。弁護士になって24年。まさか有斐閣さんから単著で本を出版できるなどとは夢にも思いませんでした。しかも江頭先生の「株式会社法」と同じ書籍第1部により、編集いただき、苦節2年(?)、いまここにようやく350頁の書物を世に出すに至りました。本業に近いところのテーマを扱っておりますので、本書を出すにあたっては、多くの方々のご協力のもとで成しえた一冊です。この場を借りて、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
まず、形式的な点から申し上げますと、素晴らしい紙質です!30年ほど前、あれだけ線を引き、マーカーを引き、付箋を張り直したにもかかわらず、裏写りしなかった伝統技術(?)が活きており、「これで350ページ?」と疑うほどに薄く仕上がっています(これは私も驚きました)。
次に、中身についてですが、詳しい目次はこちらの有斐閣さんの紹介ページをご覧ください。本書の特徴は、リスクマネジメントに予算をつける経営者向けに執筆した点です。管理部門にどんなに優秀な人材が揃っていても、経営者が営業や技術開発と同様、リスク管理にも予算を配分する気持ちにならなければ人材が活かされないという現実に常に直面しているわけでして、どうすれば、経営者が不正リスク管理に予算をつける気持ちになるだろうか?といったことへの解決策を提案しています。副題にある「経営戦略に活かす」というのは、やはりリスク管理が儲けにつながる・・・という点にかなり力点を置いていることを示しています。「はしがき」の冒頭部分のみご紹介いたしますと、
経営者向けということですが、もちろん多くのビジネスマンの方々にも、「不祥事は起きることを前提に平時から考える」重要性を理解していただければと思っています。マスコミで大きく報じられる企業不祥事ばかりに目が向きますが、不祥事が発生しても、小さな芽の段階でこれを摘み、マスコミに報じられないうちに社内で解決できた事例のほうが圧倒的に多いわけでして、こういった事例をも参考にして本書を書きました(帯にある「不祥事はどこの企業でも起きる」というのは、そういった意味を込めています)。また、リスクがあるから新たな事業に進まないのではなく、リスクを承知のうえでリスクをとりにいく経営者を応援することを目的として「トライ&エラー」の手法によるリスクマネジメントをお勧めしています。
どうか多くの方々にお読みいただき、私の問題意識へのご意見をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。<m(__)m>
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