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2014年10月 1日 (水)

海外不正リスク対応とコンプライアンスプログラムの活用

ここ数日でも、豊田合成さん、川崎汽船さん等、国際カルテル事件で高額の司法取引が行われた旨、報じられています。また9月中旬には、三菱、日立関連会社の合計7名が国際カルテルにて起訴されたことが報じられました(たとえばこちらの朝日新聞ニュース等)。注目すべきは、三菱電機さんの幹部社員らについて、部下に関係書類の廃棄を命じていたとして、司法妨害の共謀罪で起訴されていることです。DOJの公式文書では、「日本企業のこのような証拠廃棄事件については、今後も厳しい対応で臨む」と警告までなされています。日本企業の抱える国際カルテル事件への対応については、ぜひとも私が共同執筆しております新刊書(左のサイドバーで表示しています)をご一読いただければご理解いただけるのではないかと。

さて、月曜日(9月29日)の日経法務インサイドでは、昨年まで米国司法省次官補であったラニー・ブルーアー氏のインタビュー記事(海外の贈賄防止「米指針遵守を」)が掲載されていました。すでに当ブログでもご紹介しましたように、10月10日のACFE(公認不正検査士協会)JAPANの年次カンファレンスにラニー・ブルーアー氏をお招きし、講演をいただくことになっておりまして、おかげさまで500名の定員が満員御礼となりました(こちらにリリースがございます)。どうもありがとうございます。

日経の記事では国際カルテルについても意見を述べておられましたが、ブルーアー氏は(反トラスト局ではなく)米国司法省刑事局の責任者でしたので、カンファレンスでは主にFCPA(連邦腐敗行為防止法)違反の摘発に関して講演されるものと思います。いずれにしても、4年で40件ほどの大型案件の摘発を指揮してきた元司法官から「米国の正義」を知るためにはたいへん貴重な機会であり、今から私も楽しみにしています。

そのブルーアー氏が、日経のインタビューでは「FCPA執行ガイドライン」について語っておられます。ガイドラインに沿って法令遵守体制を整備すれば、社員個人は厳罰とされても、企業は責任を問われないことがある、とのこと。こういったガイドラインを米国企業は熟知しており、日本はあまり理解していないことが、「どうも日本企業にだけFCPA摘発は厳しいのではないか」と噂される要因ではないかと推測します。

「談合」や「賄賂」といった概念が、日本と海外では異なることに留意せよ・・・というのはよく言われるところですが、最近、某グローバル企業の日本法人の不正事件対策を担当して感じたのは、「コンプライアンス・プログラム」という概念にも日米の違いがある、ということでした。海外案件に精通しておられる弁護士の方でしたら「あたりまえ」かもしれませんが、コンプライアンス・プログラムというのは、米国企業ではトップから新入社員まで、「履行済み」であることが大切なのですね(だからこそ、刑の減免の対象になるということです)。日本だと、プログラムといっても、整備することに専念し、将来何かあったときの指針・・・という程度の感覚で作成しているところが多いと思います。しかし、それでは不正が発生した場合に、企業自身が重大なペナルティを課され、民事賠償責任を負わされることになってしまうことになりかねません。

プログラムを実践し、コンプライアンスルールが企業の隅々にまで浸透している状況、また、その状況を第三者が納得できるように工夫された証拠の存在、これらが実現できてこそ、「たとえ社内で不正が発生したとしても、(社員の厳罰はやむをえないとしても)企業として重大なリスクを回避できる」という体制が整備されることになります。とくに海外不正対応のケースでは、米国、EU、アジア諸国等、それぞれの地域によって摘発リスクが異なりますので、自社に適合したコンプライアンス・プログラムを策定する必要があります。日本の法律における内部統制システムの構築・・・といった感覚の指針とは、やや異なるものである、ということも理解しておく必要がありそうです。

10月 1, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 |

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