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2014年10月30日 (木)

第三者委員会に「三度目の正直」はあるのか?-JBR事例

四半期決算開示真っ最中で、適時開示を巡回するのもたいへんですが、このたびは「迷える会計士さん」から教えていただいたネタです(どうもありがとうございます<m(__)m>)。当ブログでも過去に二度コメントさせていただいたJBR(ジャパン・ベスト・レスキュー)さんですが、またまた内部告発があり、今度は代表取締役の不正に関する疑義が発生、会計監査人とも相談のうえ、第三者委員会設置を決めたそうです(同社HPのリリースはこちらです)。今度は大阪の法律事務所が利害関係のない第三者として登場されています。

本件は、あまりマスコミでも取り上げられていませんが、内部統制報告制度の在り方について考えさせられる事件です(たとえば拙ブログの過去のエントリーなどをご参照ください)。今年に入って、2回も第三者委員会が設置されましたが、またまた内部告発で経営者関与の不正疑惑が持ち上がったとのこと。経営権争いや経営者と監査役会との対立によって2度の第三者委員会が設置された例はありますが、企業不祥事発生をきっかけに第三者委員会が3回も設置されたのは初めてではないでしょうか?(フタバ産業さんの例では、たしか1回目は社内調査委員会だったように記憶しています)。

今回の内部告発と、以前の内部告発が同一の方からのものかどうかはわかりません。しかし、ここまで続くとなりますと、やはり「以前の第三者委員会が『他にも不正はないか』といった視点から調査をしたのだろうか?」との疑念が湧きます。もちろん、会社側から調査対象として依頼を受けた事項のみ調査をしていたから、ということだとは思うのですが、しかし不正の原因を究明したり、有効な再発防止策を検討するにあたっては、同種事案が他部署でも発生していないかどうか、最近はフォレンジック等を活用して調査をするケースが多いと思います。一昨日の椿本興業さんの例でも述べましたが、不正調査の時点で、もっと他にも不正がなかったかどうか、詳細に調査をしていれば、不正の兆候を見つけることができたのではなかろうか、とも考えられます。第三者委員会の設置費用というのも、結構バカにならないと思うので、度重なる第三者委員会の設置は、会社自身の信用問題だけでなく、企業資産の損失にもつながるかもしれません。

ハーバードビジネススクールの経営学の著名教授であるクリステンセン氏の「クリステンセン経営論」の中で、同氏は「限界費用の罠にはまるな」と警鐘を鳴らしています。自身の経験に基づく記述ですが、ルールを守るということに例外を設けて「今回だけは・・」という気持ちでルールを犯してしまうと、その「今回だけは」を許した自分が、容易に例外を許すようになり、今後の人生をダメにしてしまうとして、例外を許さないことの大切さを説いておられます(359頁以下)。私が過去に内部告発の支援をした方々も、同じような考え方でした。たとえ自分が告発をしたとしても、お金になるわけでもない、しかし、ここで会社の不正を糺しておかなければ、「あのとき、会社の不正を許してしまった」という気持ちのまま生きる自分が、これからの自分の人生で汚点になってしまう、といった気持です。内部告発は、こういった社員や元社員の人生観の中で誘発される、ということもあります。

今回のJBRさんの事例が、そういった内部告発者の心情によるものかどうかはわかりません。ただ、ここまで不正追及の告発が続くということは、やはり根の深い事情があるのではないか、と推測してしまうところです。

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コメント

11月11日付で3度目の報告書が公表されました。調査期間は第1回が32日、第2回が42日、今回が13日間と最短でした。「しかし、本件のように複数回にわたる内部告発が行われ、それがすでに第三者委員会による調査済みの事項に関する場合や告発者の推測の域を出ないものである場合等については、第三者委員会を再設置することの要否を含めて慎重な検討が必要であるように思われる」と、最後にツッコミを入れております。改めて第1回の報告書から通して読むと、告発者の意図が達成されたかは疑問です。二度あることは三度あるとも申しますが、三度と言わず次は別のステージが展開するのでしょうか。今回は第三者委員会が告発者にヒアリングをしており、告発者の処遇も気になるところです。

投稿: jibanyan | 2014年11月13日 (木) 17時42分

内部調査委員会の設置に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120150312411078.pdf

投稿: 迷える会計士 | 2015年3月15日 (日) 12時35分

第三者委員会の設置費用が会社の自己資本の数割に上るなんて普通じゃないと思いますけどね。不正は暴いたが、第三者委員会の報酬で会社が潰れたなんてことがあっては意味がありません。

社内調査委員会による調査結果について、第三者委員会でその信頼性を評価してもらうみたいな形で十分じゃないでしょうか?調査は社内で、信頼性評価は外部に委託という分担なら、設置費用は大幅に減額できると思います。

今の仕組みだと、専門弁護士が身内を何十人も引き連れて、フルスペックの調査をすることで億単位の金を持っていくという信じられないようなボッタクリの仕組みが出来上がってますからねぇ・・・

投稿: 匿名 | 2015年3月16日 (月) 21時01分

しかし思わぬ展開にビックリしております。私自身も社内調査委員会が中心でよいのでは・・とは思っていますが、最近は取引所さん以上に監査法人さんがこのあたり厳しい対応をされているのではないでしょうか。

投稿: toshi | 2015年3月17日 (火) 22時58分

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