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2015年1月16日 (金)

ガバナンス改革-社外役員と非常勤役員、その差はどこに?

最近、偶然にも3名の「社外取締役」の方、もしくはその候補者の方に別々にお会いする機会がありました。その方々に共通するのは、みなさん上場会社の社長経験者ですが、いずれも「会社法上の社外取締役ではない社外取締役」、つまり独立非常勤取締役(もしくは候補者)という点です。

会社法改正によって社外役員の「社外性要件」が厳格になります(猶予期間はありますが)。そこで今後は親会社から派遣される監査役さんが「会社法上の社外監査役」にはなれなくなるので、子会社の(会社法上の)監査役会制度を解消して「非常勤監査役さん」が増えることが予想されます。しかし監査役だけでなく、取締役にも「名刺の肩書は社外取締役」であっても、会社法上は社外取締役ではない非常勤取締役さんが増えるかも・・・という印象を持ちました。ただし監査役さんと違って、企業集団内部統制の一環ではなく、「業務執行に関与できるなら非常勤取締役をやりたい」という独立非常勤取締役への就任です。単純に業務委託契約を締結したアドバイザーというだけでは、たしかに聞く耳は持っていただけても社長への牽制までは期待できませんね。取締役会での議決権を持ち、さらに利害関係が一致するからこそ社長と本気でケンカできるのではないでしょうか。

会社法では社外取締役の選任が機関設計の要件となっていたり、社外取締役が取締役会において過半数を占めることの法的効果(権限を大幅に執行者に委譲できる等)が規定されているので、社外取締役の定義もあり、その身分では業務執行ができないことになっています。しかし、本当に企業価値を向上させるためには社外取締役が執行責任を社長と一緒にとる覚悟で業務に臨んだほうが良い、という意見の方も結構いらっしゃいます。そもそも執行に責任を負わないものが、なぜモノが言えるのか?会社の行く末に責任を負わない者が、なぜ社長の交代を進言できるのか?

理屈の上では「少数株主の利益保護のため」、「社長の暴走を止めて、コンプライアンス経営を図るため」、もう少し広く「株主利益の最大化を図るため」といった目的から社外取締役の意義を見出すのであればわかりやすいと思います。また海外から投資資金を呼び戻すため、という「株主の代弁者=社外取締役」論でも理解は可能です。しかし現在のように「持続的成長をはかり、企業価値向上を図るため」「稼ぐ力を取り戻すため」の社外取締役であれば、企業によってはむしろ、いま話題の「社外取締役さん」ではない(業務執行をガンガンやってもらい、その分、経営責任も一緒にとってもらう)非常勤取締役さんのほうがガバナンスの実効性が高まるのではないか、という意見にも一理あるように思われます(ただし現役の社長さんは、会社に迷惑をかけるリスクが高いので、法的責任制限の工夫をしないと実際には無理だとは思いますが)。

もちろん有事となれば社長と株主との利益相反状況になる可能性も高いので、執行の監督者という立場は重要ですが、平時における価値向上ということであれば一緒に業務執行にまい進する非常勤取締役という立場も十分に考えられるところかと。「社長と一緒に業務執行やらないで、なんで会社の将来の戦略なんて語れるの?実態のガバナンスは銀行と社員と株主によるガバナンスでしょ。監督者になんてホンネ言うわけないじゃないの」というある社長経験者の方の言葉が印象的でした。

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