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2015年5月26日 (火)

コーポレートガバナンス・コードを見据えた監査役監査基準の改正

本日(5月25日)の日経朝刊法務インサイドで報じられていますが、日本監査役協会の監査役監査基準が、意見公募を終えていよいよ改定されるようです。7月の理事会で承認された後に確定版となるとのこと。今回の改正は会社法改正に伴う・・・という点もありますが、なんといってもコーポレートガバナンス・コードにおいて求められる監査役の役割と責任という点を監査基準に明確に導入した点が最大の特徴でしょう。(良いか悪いかは別として)私も正直「ここまで変わるとは・・・」と驚きました。日本監査役協会の監査役監査基準には(数々の批判等にさらされながらも信頼され続けてきた)長い伝統があり、近時では(セイクレスト事件、ニイウスコー事件判決等)裁判所でも監査役の善管注意義務のレベルを検討するモノサシとして斟酌されていますが、「ああ、そういえば2015年ころガバナンスなんとか?って、話題になっていたよね(笑)」などと、5年後くらいにガバナンス・コードが語られることがないことを祈っております(^^;

ということで(?)、私は今週、名古屋、大阪、福岡におきまして、日本監査役協会主催の研修会講師をさせていただいております。本日は初日の名古屋(ミッドランドスクウェア)でしたが、3月決算会社の会社法監査が終了した直後とあってか、たくさんの監査役の方にお越しいただき、ホールはほぼ満席でございました(どうもありがとうございます)。とりわけ今回の研修は、監査役監査基準の改正において、「監査役はコーポレートガバナンス・コードの趣旨を十分認識して」監査に臨むことが新たに求められることから、近時監査役さんの周囲で話題になっている諸論点を、ガバナンス・コードへの対応という視点から解説をしています。

私自身もいくつかの上場会社のガバナンス・コード対応のお手伝いをしていますが、①株主との対話、議決権行使、上場規則による制裁、といったコード(指針)の実効性確保のための各制度による整理、②開示規制(15項目)と行為規制(58項目)へのコンプライの区別、③情報開示で求められるものと対話によって求められるものの区別、④コンプライオアエクスプレインかコンプライ&エクスプレインか、⑤会社と機関投資家との間において対話に求めるもののギャップ、といったいろいろな視点から、各企業にふさわしい対応を目指すことは意外とむずかしいと感じています。ガバナンス・コードは監査役だけでなく外部会計監査人も名宛人になっていたりするので、外部会計監査人をコードとの関係では「内側の関係者」として、外部のステークホルダーを意識することも必要です。

私は制度作りに関与した者ではなく、あまり偉そうに言える立場ではありません。ただ、取締役会議長として、また(任意機関ですが)指名・報酬委員会委員として、さらには社長の外部評価委員会委員として二つの上場会社の実際のガバナンス運営に深くかかわっている当事者なので、ガバナンス・コードは制度会計的視点(対外的PR重視)よりも管理会計的視点(社内目標として中長期の価値向上の社内努力重視)で対処すべきではないか、と考えています。監査役さんの監査環境整備のために、ぜひとも監査役さんにもガバナンス・コードを理解していただきたいですし、改正会社法の主要論点を学ぶことが、実はガバナンス・コードとも深い関わりがあることについても具体例をできるだけ示して解説させていただきます。本日の名古屋の研修会終了後、何名かの監査役さんに感想をお聴きしましたが、かなり自信を持てる内容だと思います。お話する私のほうも3時間半はあっという間でした。

今回の監査役監査基準により、監査役の果たすべき役割も大きく変わろうとしています。あまりにも性急すぎる・・・という意見もあるかもしれませんが、実際に改正される以上は、これをぜひとも自社のリスク管理能力の向上に活かしていただきたいと思います。

5月 26, 2015 監査役の理想と現実 |

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コメント

昨日はお疲れさまでした。監査等委員会設置会社に対するネガキャンの首魁の面目躍如でしたね(笑)。

旬刊商事法務2067号の《監査等委員会設置会社という選択》を読んで、「サントリーHDさんって勉強してるんだなぁ」と思っただけに(座談会に同席していたY社さん、ご免なさい)、監査等委員会設置会社への移行会社で、補欠の監査等委員である取締役を選任しているのが同社だけというご指摘には、思わず頷いてしまいました。
(なお、昨日、株式会社ゴルフ・ドゥさんが補欠の監査等委員である取締役候補者を発表しています)

投稿: skydog | 2015年5月26日 (火) 17時47分

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