元CFOとエンロン事件を総括する-ACFEカンファレンスのお知らせ
近い将来、機械が奪ってしまう職業の第2位に「公認会計士」がランクインされているようです(ダイヤモンドの記事)。一定の範囲で会計士さんの仕事が機械化(効率化)されることはあるのかもしれません。ただ、東芝さんの第三者委員会報告書の「G案件」の顛末(ウェスティングハウス社の見積工事原価総額の計上処理における費用見積りの「変更」と「誤謬」の狭間における人間臭い交錯状況)を読み、そこでの東芝さんと監査法人さんとの供述内容の食い違いに思いを馳せますと、会計監査などはとても機械によってできる仕事ではないと確信いたします。
さて、今年は日本でも会計不正事件が大きな話題となっておりますが、今年のACFE年次カンファレンスでは、あの巨大なアーサー・アンダーセン監査法人が解散に追い込まれたエンロン事件の首謀者の方をスピーカーとしてお招きいたしました。エンロン社の元CFOであるアンドリュー・ファストウ氏です(もちろんプラチナスポンサーさんは新日本有限責任監査法人さんです!お忙しい中、どうもお世話になります!<m(__)m>)。ご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ファストウ氏は粉飾決算の罪で禁固100年の言渡しを受け、最終的には6年の刑期を終えて社会復帰されました。当時ファストウ氏と一緒に仕事をされていたエンロン社の財務コンサルタントの方は「あの事件は意図的な不正ではなく、盲目的希望によるものであった」と今でも語っておられるそうですが(ダン・アリエリー著「ずる-嘘とごまかしの行動経済学」11頁以下)、おそらくファストウ氏もそのようにおっしゃるのではないかと。法務省が彼の入国を許可することが確実となりましたので、当ブログでも告知させていただきます。ちなみに開催は10月9日(金)、御茶ノ水ソラシティホールでございます。
ファストウ氏の講演後はご存じ青山学院の八田教授がファストウ氏にツッコミを入れる対談が開催され、最後は「経営トップによる企業不正、だれが止められるのか?」といったテーマで豪華パネリストによるパネルディスカッションが行われる予定です(いや、ホントに豪華メンバーです)。いまこそエンロン事件とは何だったのか、その総括を行い、経営者による企業不正にガバナンスは機能するのか、内部統制は機能するのか、そもそも「意図的な会計不正」とはどのようなものなのか、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。ACFE本部にお聴きしたところ、まだ残席があるとのことなのでご紹介させていただきました。マスコミの方々も大歓迎です。私も当日を楽しみにしております。
| 固定リンク
コメント
新日本監査法人がトップスポンサーでエンロンの元CFOが講演ですか。内容と社会情勢が一歩間違えれば、講演自体が趣味の悪いブラックジョークになりそうですね。エンロンの元CFOには東芝の経営陣の責任について聞いてみたいです。楽しみです。
投稿: 工場労働者 | 2015年8月20日 (木) 08時47分