第三者委員会報告書表彰委員会が「優れた報告書2014」を選定いたしました。
このたび第三者委員会報告書表彰委員会は、2014年度(2014年1月から12月まで)に公表された「不祥事発生時における第三者委員会報告書」のうちから優れていると認められるものを表彰することになりまして、その結果を公表いたしました。ちなみに落合誠一先生(東大名誉教授)が委員長、私が事務局長を務めさせていただき、9月2日の結果公表に合わせて経団連会館の記者ルームにて会見を開きました。全国紙と時事通信さんにお越しいただいたので「1社くらい記事にしてくれないかな・・・」と期待しておりましたところ、産経新聞さんが取り上げてくれました(=^・^=)ありがとうございます。記者会見の途中から、質問が東芝の第三者委員会報告書の件に集中しましたが、このあたりは想定内ということで、落合先生が適当に適切に回答されていました(ちなみに格付け委員会の次回格付け対象は東芝第三者委員会報告書だそうです)。
以前から活動している第三者委員会報告書格付け委員会の活動組織の一つとして位置付けられていますが、選定についてはそちらの委員の方々の関与は一切ございません。2014年に企業不祥事に関する第三者委員会報告書として公表された約30本のうちから、まず私が10本を選定し、その候補となった10本を委員の皆様が1カ月かけて熟読して、1位3点、2位2点、3位1点という採点形式で(理由を付して)評価していただき、その採点合計の高いものから2本を最終的に選考いたしました。もちろん委員会審議も尽くしました。和気あいあいと審議ができるものと楽観しておりましたが、ふたを開けてみると、結構ご意見の対立もあったりしまして、落合委員長にうまくまとめていただいた、というのが正直なところでございます。
事務局長として何が一番たいへんだったかと言いますと、30本の中から10本絞り込む作業がもっとも厳しいものでした。10本に絞られた後の選定作業となりますと、市場関係者や経営者、法律家、学者、マスコミ出身者等、いわば「報告書を読む人」の立場からの採点なので、格付け委員会の委員の方とはまったく視点が異なり、いろいろなご意見が出て私自身も勉強になりました(主な意見もHPにて公開しております)。優れた第三者委員会報告書として選定された2本は、当ブログでも取り上げさせていただいたものですが、「わかりやすさ」や「経営者との葛藤がにじみ出ている点」「事実認定や原因分析の説得力」という点において秀逸だったというのが委員の大方の意見でした。なかでも日本交通技術社の不正競争防止法違反(外国公務員贈賄事件)に関する報告書は、この報告書がリリースされた後、ベトナム政府が政府高官を逮捕したり、また東京地検特捜部が捜査が本格化する等、その社会的影響力の大きさも評価されました。
もちろん「(第三者委員会というのは)会社から報酬をもらっているとはいえ、ステークホルダーへの説明責任を尽くすための委員会なのだから、公正中立な立場で報告書を作成しなければならない」という理屈は頭ではわかっております。しかし、どうしてこれだけ会社(経営陣)に厳しい報告書を書けるのか、どの段階で「社長、あなたに厳しい結果になりますよ」ということを知らせるのか、そんな折にどうして社長から第三者委員会解散を通告されないのか、とても知りたいところですし、できればその過程を学んでみたいものです(でも、第三者委員会設置の段階で腹をくくっている経営者の方も多いので、ホントにむずかしいのはこの第三者委員会設置の前段階の「プレ第三者委員会」だったりもするんですよね・・・・・(^^ )。表彰委員会委員の皆様、熱い夏を報告書精読にいそしんでいただきまして、どうもありがとうございました。
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