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2015年9月15日 (火)

投資家フォーラム報告書とコーポレートガバナンス・コードへの対応

お二人の法務ご担当者の方から教えていただいたのですが、9月11日にリリースされました投資家フォーラムさんの第1回、第2回会合報告書におきまして、私が社外取締役を務めている大東建託のコーポレートガバナンス・コードへの対応が高い評価をいただいたようです。取り上げていただいた箇所は4つありますが、73項目すべてについて報告書でコンプライとエクスプレインの内容を開示している点(コンプライ&エクスプレインの姿勢)、議決権行使基準や政策保有基準について、他社ではあいまいにコンプライしているように書かれている点について、「当社はコードに従わない」と明言したうえでエクスプレインしている点、例外なしに役員の60歳定年制を貫いて経営の透明性を図っている点(どのような肩書でも会社には残らない)が評価の対象とのこと(どうもありがとうございます)。

ガバナンス・コード対応のための報告書策定については、社長をはじめ多くの社内役員、社外役員が関与しましたので、このように機関投資家の方々のフォーラムにて高い評価をいただくことは、正直とてもうれしいですし、今後の励みになります。とりわけ5月14日の拙ブログエントリー「東証規則に組み込まれたガバナンス・コードに関する素朴な疑問」でも述べましたように、コードがプリンシプル・ベースで示されていることから、どうしてもコードの解釈には幅が生じます。したがって(客観的にはコードに従っていないと思われる場合でも)自社に都合のよいように解釈して「コンプライしている」と判断すれば、東証規則違反であっても開示されていない状況が生じます。私は「コードはコンプライすることが原則ではなく、従わなくてもエクスプレインすればよい、逃げずに開示すればよい」と考えていました。大東建託でも、その趣旨が貫かれていますが、これを評価いただいていることは「株主との対話」に積極的な姿勢が受け容れてもらえたものと理解しております。

なお、他社の事例でぜひとも見習いたいのは花王さんの「取締役会全体の実効性に関する分析・評価とその結果の公表」です。ガバナンス・コードの原則(補充原則)を基に、分析・評価のための4つの視点を掲示し、社外取締役の具体的な行動も含め、その評価結果を詳細に開示されています。さらに特筆すべき点として、花王さんはすでにガバナンス報告書を6月1日以降、更新してブラッシュアップしており、ガバナンスへの取組における「運用面」をすでにアピールされているところです。やっつけ仕事ではなく、整備+運用が大切というコーポレートガバナンス向上への姿勢はぜひとも見習いたいものです。また亀田製菓さんのように(ツッコミどころはありそうですが)、自分の頭で素直に考えたエクスプレインも機関投資家の方々には好評なのですね(なるほど・・・)。

もちろんこの報告書にも記載されているとおり、コーポレートガバナンス・コードへの対応は形として整備して開示するだけでは「株主との対話」には有益であったとしても自社の企業価値向上には役立ちません。役立たせるためには、これを社内で具体的な行動に落とし込む工夫が必要です。花王さん同様、コード対応のガバナンス報告書は常に運用状況を対外的に示し、中長期の企業価値向上に向けた取り組みを図るためのインセンティブとして活用しなければならないと考えています。上場会社の社内・社外の取締役、監査役が、外向けに取り組むのではなく、内向きに(前向きに?)取り組むことが必要だと思います。

9月 15, 2015 コーポレートガバナンス・コード |

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