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2016年2月18日 (木)

企業不祥事対応プリンシプルの趣旨を反映した第三者委員会報告書が登場

上場してわずか4か月後に過年度決算を訂正、しかも元役員の資産流用事件が原因という、またまた日本取引所を悩ませる会計不祥事が話題になっておりますが、こちらもそんな中小上場会社の不祥事対応の話題です。すでにパブコメ期限が締め切られ、まもなく日本取引所の「考え方」とともに正式版が公表される「上場会社における企業不祥事対応のプリンシプル」ですが、早くもこのプリンシプルの趣旨を取り入れた第三者委員会報告書がリリースされています(2月12日付け ジェイホールディングス社「第三者委員会による調査報告書受領のお知らせ」-報告書本文2頁の下注に記載されていますね)。興味深く読ませていただきました。

本報告書では、会社にとって重要なファイナンスを実行する際の社内手続き違反、適時開示違反が問題とされており、当該事案が発生するに至った原因を内部管理体制上の問題点を中心に掘り下げています。また、類似案件の存否についても熱心に調査が行われ、過去5年以内に数件の同種案件の存在を明らかにしています(これに伴い、会社側は2月12日付けで過去の案件について新たに開示しています)。経営陣(旧経営陣含む)からのヒアリング結果だけをみると、「ビックリするようなガバナンス体制・・・」のようにも感じますが、自ら調査範囲を設定して、内部管理体制を中心に原因究明を行い、説得的な再発防止策を提示しているところは、まさにプリンシプルの趣旨に沿った報告書ではないかと。

「経営者の内部統制無効化リスク」に触れているところも特徴的です。1月27日、東芝事件を受けて日本公認会計士協会の会長通牒「公認会計士監査の信頼回復に向けた監査業務への取組」が公表され、その中で光があてられた(すべての上場会社に存在する)リスクです。職業的懐疑心を発揮して監査に臨むためには、会計監査人の方々もこの「経営者の内部統制無効化リスク」の存否について厳しく評価をしていただきたいと思います。ちなみに私の個人的見解としては、管理担当取締役が存在しない点や上場会社の社外監査役の月額5万円報酬・・・という点において、すでに経営者の内部統制無効化リスクが高いとしか言いようがないような気がします(社外監査役の重要な役割からすれば、「どうか働かないで」といったメッセージだったのでしょうか・・・)。

取締役会、監査役会への厳しい意見が述べられ、このままでは将来的にも同様のガバナンス不全、開示義務違反が起こってしまう、と委員会は警鐘を鳴らしています。「あなたが出席していた取締役会で、もしこの少数の経営陣で決められたことが(付議案件として)上程されていたとすると、あなたは止めることができましたか?」と調査委員から質問され、「いやぁ、私はそれを止める自信はありませんね」と堂々とおっしゃる取締役、監査役の方々がいらっしゃるわけで。。。(^^;)「経営者=企業価値、期待価値」のような中小規模の上場会社のガバナンスって、どうしたらよいものでしょうかね。。。(^^;)

いずれにせよ、不祥事発生時、自浄作用を発揮できない企業は上場すべきではない(上場を維持すべきではない)…という点は、おそらく皆様方の共通認識ではないでしょうか。不祥事対応のプリンシプルは「時間軸」を持つ原則指針なので、ジェイホールディングスさんが「自浄作用を発揮した」といえるためには、今後この報告書を基にどのようなガバナンスを構築していくか、そこが最も重要なポイントです。真に「不祥事対応のプリンシプル」に準拠したといえるためには、これからの同社の地道な内部管理体制の構築が大前提です。お金のかかる「仕組み作り」よりも、気合いを重視する「運用」にこそ光が当たるガバナンス構築が必要ですね。

2月 18, 2016 独立第三者委員会 |

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