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2016年2月19日 (金)

金融庁SSC・CGCフォローアップ会議意見書への雑感

本日(2月18日)、金融庁に設置された「スチュワードシップコード及びコーポレートガバナンスコードのフォローアップ会議」から、「会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取締役会の在り方」と題する意見書が公表されました。上場会社のガバナンスコードへの対応状況を踏まえ、形式ではなく実効的なガバナンスを実現するために、現時点で重要と考えられる視点を示したもの、とされています。今回はとりわけ取締役会のあり方に重点を置いた内容になっています。

CEOの選任・解任のあり方、取締役会の構成、取締役会の運営、取締役会の実効性評価等、企業の不断の努力(PDCA)が必要と思われる内容についてはそのとおりかとは思うのですが、内容的にやや不満なのは監査役の取締役会における役割が全く示されていないところです。

ガバナンスコードでは、監査役は「守り」に徹することなく、取締役会において積極的に意見を述べるべきであるとされ、「攻めのガバナンス」への貢献が期待されています。このコードにコンプライしている企業が圧倒的に多いのですが、監査役の貢献は「現時点では重要ではない」ということでしょうか?それとも次の意見書でとりまとめられる、ということでしょうか?どこの上場企業にも社外監査役が2名以上存在するにもかかわらず、またコード2-4では(持続的成長のために)多様な意見を確保すべき、とされているにもかかわらず、社外監査役の有効活用がまったく取締役会のあり方において触れられていないのは疑問に感じます。

監査役は取締役会において監督機能を果たすべき、とガバナンスコードでは謳われている一方で、独立社外取締役は増え続け、監査等委員会設置会社も増加傾向にある今。そのような今だからこそ、各企業が監査機能をどれだけ重視しているか(軽視しているか)を株主が確認する指標としては、以下のような質問を(経営者に)投げかけることも一案です。

ひとつは社外取締役と社外監査役との報酬の差です。株主総会招集通知の添付資料を読むと、おおよそ差がわかりますので、「社外取締役と社外監査役との、この報酬の差はどこにあるのか、説明してほしい」と質問することです。

二つ目は監査等委員会設置会社に移行した会社の場合には、「これまでの社外監査役の報酬と、社外の取締役監査等委員との報酬がほぼ同じである理由はどこにあるのか?」と質問することです。

そして最後に常勤監査役さんには、「御社は今年の日本監査役協会監査基準の大幅な改訂に対して、どのように社内監査基準を改訂したのか?」と質問すべきです。改訂した企業、そうでない企業様々ですが、いずれであれ監査役さんの自信に満ちた理由を聞くことができれば、その会社の監査環境の整備状況がわかります。

これらの質問は、いずれも個々の上場会社の経営者が監査役監査の重要性をどのように考えているか、ひいては監査法人による監査(つまりは株主に対する情報開示の重要性)をどれだけ重視しているかを理解する糸口になるはずです。

私自身、社外取締役として取締役会議長を務め、任意の委員会の委員を務める経験からしますと、たしかに業績向上を後押しする重責を(社外取締役が)担っていることは否定しません。しかし、企業がスピード経営重視で儲けるためには常に「不祥事の芽」を抱えざるを得ないわけですから、行く先に光を照らす役割を務める監査役をどのように攻めのガバナンスに活かすか、これからとても重要に思えるのです。制度対応(外向き)ではなく、ガバナンスの実効性を高めるという視点でいえば、まさに外向きには説明しにくい「監査役」の活用こそ競争力向上のカギになると思います。

2月 19, 2016 コーポレートガバナンス・コード |

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