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2016年4月13日 (水)

第82回監査役全国会議にてコーディネーターをさせていただきました。

4月12日、第82回の監査役全国会議が開催されまして(パシフィコ横浜・国立大ホール)、6年ぶりにコーディネーターをさせていただきました。今回はカルビー社の松本会長兼CEOによる基調講演と「企業不祥事防止と監査役-会計監査人等との連携の在り方を巡って-」と題するパネルディスカッションです。

まいどのことながら、1900名の監査役の皆様の前でお話するのは緊張いたしますが、「連携と協働」についてこれほど真剣に考えたことがなく、私自身が一番勉強になったのではないかと。ご来場者の皆様との懇親会では、いろいろと改善すべき点などもご教示いただいたので、個人的にも有益でした。進行については正直、パネリストの皆様のキャラクターに助けられました。

ところで終了後の懇親会で、西山芳喜先生(九州大学名誉教授)と少しばかりお話させていただく機会があり、日本監査役協会の歴史とともに、監査役制度の歴史についていろいろと教えていただきました。①戦前の企業は取締役6名に対して監査役は4名程度であり、取締役も含めてみんな「独任制」の機関だったため、監査役もいわば「経営者」であったこと、②25年ぶりに会計監査だけでなく業務監査権限を復活させた昭和49年商法改正のころは、大企業では取締役が50名ほどのところに監査役は1名だったこと、③だからこそ、日本の監査役を商法学者は支援する必要があり、鈴木竹雄先生が初代会長、大隅健一郎先生が初代副会長として日本監査役協会を発足させたこと、④多くの有能なビジネスマンが監査役に就任してほしいとの願いをこめて「適法性監査(監査役は適法性だけをみればよい、という解釈)」という概念を推し進めたこと等。ちなみに学説は違えども、文化勲章を受章された大先生おふたりはとても仲が良かったそうです。

コーポレートガバナンス改革の中、監査役制度は海外から批判的にとらえられていますが、長年この制度が活用されてきた商法の歴史をふりかえりますと、時代にあった監査役の権限を考えてみるのもおもしろいかもしれません(まぁ、その一つの回答が監査等委員会設置会社かもしれませんが・・・)。しかし取締役が50名もいる時代の取締役会とは、いったい何を審議していたのか・・・昔日の感があります。むしろ「閑散役」と揶揄されながらも、多数の取締役の中に一人だけ監査役が存在していたことを想像しますと、逆に会社内ではそれなりの存在感があったのではないかと。

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コメント

戦前は配当が9割近かったりしたそうです。今以上に経営者と株主が近かったようです。いわゆる日本型経営は実は戦後の神話かと。確か最近の証券アナリストジャーナルに書いてありました。

投稿: 工場労働者 | 2016年4月13日 (水) 05時02分

昨日参加していた者です。東芝事件のあとで開催されたので注目して聞いていたのですが、三様監査とThree line difense、相互連携など従来の議論と変わらず、少なからず失望しました。パネラーは皆さん素晴らしい方々ばかりで、こうした方々が経営していれば問題は起きないのでしょうが、現実にそれらの制度がワークしなかったのは何故なのか? 東芝のような事件を再発させないためにはどうしたらいいのか?
内容的にはアメリカ流一辺倒のモニタリングモデルですが松本さんの話の方が迫力があり、あれだけ強烈な業績向上のドライブをかけてもガバナンス上の問題は生じていないだろうな、との納得感がありました。
失礼な物言いになり申し訳有りません。

投稿: 初コメ者 | 2016年4月13日 (水) 14時22分

いえいえとんでもございません。ご批判、ご異論どうもありがとうございます。ご期待に添えず申し訳ございません。たしかに具体的に東芝事件のような会計不正事件をテーマにして連携を考える、といったことのほうが、もっと参考になる話ができたかもしれません。いろいろと登壇者の方のお立場もある、ということで、監査役協会における議論のしかたに限界があることもたしかですが、ツッコミについては工夫ができたように反省しています。次回以降(あるかどうかわかりませんが)参考にさせていただきます(私の講演についても)。

投稿: toshi | 2016年4月21日 (木) 18時57分

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