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2016年4月19日 (火)

東芝会計不正事件-内部告発は二つ存在した

東芝会計不正事件について、朝日新聞に連載されている「(けいざいプラス)東芝の迷宮(ラビリンス)」はよく取材されており、たいへん興味深い内容です。毎日新聞出版「東芝不正会計-底なしの闇」でも疑問とされていた不正発覚の経緯が4月15日朝日新聞朝刊の「その5」で明らかにされています。私は内部告発後、金融商品取引法に基づく報告命令がいきなり東芝社に届いたのかと思っていましたが、その前に任意の資料提供要求があったのですね。

2014年12月ころに証券取引等監視委員会に内部通報(内部告発)がなされたことで、金融庁が不適切会計処理の存在を知ったことは既にいろいろなところで報じられていましたが、その後(時期は特定されていませんが)もう一度、別の社員から証券取引等監視委員会に内部通報(内部告発)がなされていたそうです(これは驚きの新事実です。私はてっきり社内の特別調査委員会に内部通報がなされて、経営陣に緊張が走ったものと考えていました)。しかも、朝日の「迷宮」の書きぶりからすると、最初の告発は(S元副会長の出身である)原子力部門における会計不正、そして二度目の告発は(N元会長の出身である)PC部門のバイセル取引の会計不正を暴くものだったそうです。

朝日の記者さんに上記新事実を提供しているのは「当時の役員」ということですから、こういった取材内容からしますと、これまで「闇」とされてきた部分に少し光があてられてきたように思います。あくまでも推測ですが、内部告発合戦が派閥争いの中で繰り広げられていた可能性についても否定できないように感じます(しかし、この朝日の記事には「元役員」とか「元副社長」とか、多くの元経営幹部が協力しています。このあたりも興味深いところです)。

最近、某社の不祥事が新聞で少しだけ記事になりましたが、その不祥事を経営トップが知るに至ったのは、現場社員からの内部通報でした。しかしながら、当該社員は会社側に「黙っているから誠意をみせてほしい」と暗に取引を要求してきたそうです。会社側は毅然とした対応をとりましたが、その際、自主的に公表することを決断しました。内部通報制度や公益通報者保護制度の運用は、通報者の正義感による通報を当然の前提として議論されているわけですが、実際は通報者の様々な意図によって通報や告発が行われる、ということも現実の課題として受け止めねばなりませんね。

著名企業が会計不正に手を染める原因や動機は様々かもしれませんが、オリンパス事件や東芝事件の不正発覚の経緯を眺めてみますと、不正を暴く内部告発の力の大きさを痛感します。誰がどのような目的で金融庁に内部告発を行ったのか、そのあたりが東芝事件の真相を解明するためのカギだと思います。

4月 19, 2016 企業会計 |

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