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2016年6月 8日 (水)

東京都知事の第三者委員調査についての雑感

政治に絡むエントリーは過去に苦い経験がございまして(たとえば田中文科相の大学認可拒否問題のときは行政法の理解不足を皆様からご指摘を受けてボロボロになりました)、あまり書かないようにしていますが、東京都知事の政治資金規正法違反疑惑に対して「第三者調査」というものが行われましたので、ひとこと。もちろん、私個人の意見であることを付記しておきます。

企業法務に詳しい方々のように、ふだんから企業不祥事発生時の第三者委員会等を知っている方からしますと、「あるべき第三者調査」のイメージも認識できると思いますが、企業法務の世界など、本当に狭い世界です。都知事の会見で初めて「第三者調査」というものを聞いた世間の多くの皆様は、第三者による調査といっても、どんなものかイメージが湧かないのが当然です。ほんの一握りのマニアックな世界で有名なオリンパス事件、東芝事件の第三者委員会といったものを知らない多くの方々が、今回の「第三者調査」をみて、「新聞で時々出てくる第三者調査というのはこういったものか」とイメージをもたれたのではないでしょうか。とくに法令に基づくものではありませんが、私の抱く第三者委員会調査と今回の東京都知事第三者調査との比較を図表にまとめてみました(まぁ、私のブログを閲覧される方々も、マニアックな方だけかもしれませんが・・・)

Toshijihikaku

いろいろ批判されていますが、第三者調査の費用は批判の対象とされている人(法人を含む)が出すことが前提です。したがって、第三者といいましても、どうしても利益相反状態は起きてしまうわけです。だからこそ、公正独立な立場で調査を行うということを、ほかのいろいろな点からステークホルダーに示す必要があります。表で示した項目はそのうちの一部だとお考えいただければ結構です。

フォレンジック(電子調査)があたりまえの時代なので、東京都知事と秘書とのメールでのやりとりなどを調べて、依頼事項以外にもフォーカスを広げないと第三者調査とは言えないでしょうし、とりわけステークホルダーは都民の皆様でしょうから、調査報告書の開示は必須ではないかと(私はある議員さんのブログから調査報告書の全文を閲覧しましたが、中間報告ということでもないようです)。ただ、こういった調査を「やりますよ」と都知事に説明した第三者委員候補者の方には「そこまでやるならもう結構です、依頼しません」と都知事側からお断りした可能性もありそうですね。ここは調査開始時点で委員の氏名開示がなかったので、かなり可能性は高いのではないかと思います。

第三者委員会による調査については、報告書が作成されるまでは依頼者(委嘱した者)にお見せすることは少ないのではないかと(ただし、金融庁や取引所などには中間報告的に見せることはあります)。なぜなら、予定された結論に対して依頼者から横やりが入ったり、(結論が依頼者にとって不都合だとわかった場合には)その時点で第三者委員会を解散させるような事態になってしまうからです。

最も違和感を覚えたのが記者会見です。都知事の横で第三者委員が座っているというのはどうみても都知事の代理人にしか見えないですね。記者の皆様からすれば取材が一回で済むという利点はあるかもしれませんが、ちょっと不自然ですね。法律家の意見をもらったとき、依頼者は「法的な問題がクリアできれば全てオッケー」と誤解して、コンプライアンス違反に気付かないケースがあります。政治資金規正法違反とはいえない、という結論はあくまでも法的意見であり、都民の方々がもっとも知りたい都知事としての品格・見識問題は残されたままと考えるべきです。

話は変わりますが(私は大阪府民なので単なる野次馬にすぎませんが)、都知事はなぜ公費を(間違って)自腹で払っちゃった領収書を出さないのでしょうか?公費もプライベートも「プール金」から出していて、プライベートも領収書をもらっている、という会見の内容を前提とするならば、自腹で払った領収書も会計責任者にお渡しになっていたのでは?仮にご自身で保管されていたとしても「ほら、本来なら公費なのに、まちがえて自腹で払っちゃった領収書もいっぱいありますよ!こんな感じで私も会計責任者もときどき処理を間違えていたのです。だから逆に自腹で払うべき分を公費と記載してしまったミスが生じてしまうこともあるんです。だって、公費になるかプライベートかはハッキリわからないものもあるんですから・・・」と説明すればよいのでは?・・・と素朴に思います。すべて公費である、という理由で押し通すほうが、「まちがっちゃった」と言って違法性(虚偽記載)を疑われるよりマシだという判断があるのでしょうか。しかし家族同伴旅行については「会議費」と記載されていたわけですから、どうみても「虚偽記載」の疑念は晴れませんよね。このあたりは興味があります。

6月 8, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 |

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コメント

いきなりまいりました。

投稿: 政治資金規正法 | 2016年6月 8日 (水) 09時17分

いきなりやってしまいましたww ご指摘ありがとうございます!

投稿: toshi | 2016年6月 8日 (水) 10時09分

「第三者委員会」「第三者調査」
第三者の意味するところは、世間とはかなりのズレがあるようですね。
「内部委員会」「内部調査」というようにして、第三者という言葉を使わないようにしてほしいです。


投稿: 南従事生 | 2016年6月 9日 (木) 17時47分

適法性や妥当性の話だと企業の監査役と監査(等)委員を思い出す所ですが

普通に東京都の監査委員会に裁定させたり東京都の監査委員会が第三者委員会を制定した方がまだいいような気もしますね

投稿: 流星 | 2016年6月12日 (日) 20時50分

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