公益通報者保護法実効性検討会WGのご報告
公益通報者保護法の法改正に向けた消費者庁の検討会WG(ワーキンググループ)の会合も今回が3回目となります。いよいよ、「公益通報事実」を広げるべきかどうか、公益通報者が会社から不利益取扱いを受けた場合の罰則をどうするか(行政措置のほか、刑事罰を設けるべきか)といった検討事項に入ってまいりました。傍聴にお越しの方はおわかりのとおり、このWGの議論は「予定調和」的な雰囲気はないですね。予想外の意見が予想外の委員から飛び出すこともありますね(おまえだろ!と言わないでくださいね・・・)
国民の生命、身体、財産の安全を確保するための法律への違反に限るのか?国益を保護する法律違反は含めないのか(たとえば世間で話題の政治資金規正法など、はたして公益通報事実に入るのか、入らないのか?もし入らないのであれば、入るような法律に改正すべきなのか-でもすでに刑法は入っていますし・・・)、法律違反に刑事罰が入っているものに限定する理由はあるのか?「法律」だけでなく「条例」で刑事罰が規定されているものは含めるべきかどうか?、あまり公益通報の範囲を広げすぎると、今度は刑事罰の前提となる不利益処分者の予見可能性が乏しくなり、憲法違反(罪刑法定主義)になるのではないか?・・・いろいろな課題が浮上します。
当ブログでコメントをいただいている方々の意見と同じ意見や、ちょっと違う意見等、私なりに発言をさせていただきましたが、またご興味のある方は(近々公開されます)議事録をご参照ください。今日は宇賀座長(東大教授)と升田委員(副座長-中央大教授)とのご議論もありましたが、座長も個人的なご発言をされるようになって、盛り上がりますね。みんな意見は違いますが、公益通報者保護法が消費者の利益にどうしたらつながるか・・・、最終目的に向けた気持ちの強さは同じだと思います。それにしても毎回、傍聴希望者の方は多いですね。
法律内部における条文間での整合性、他の法律との整合性への配慮、裁判例との関係整理、労働法や会社法、訴訟法実務とのバランス考慮、外国法の運用に関する分析、適切な立法事実の検証等、作業を進めてみると「法改正が必要」といった漠然とした希望だけではとても法改正に結び付かないことを痛切に感じます。ひとつひとつ、丁寧にクリアする作業がどうしても必要でして、当ブログのように勝手な自説を言い放つだけでは問題は解決しませんね(^^:こんな私でもなんとか国民生活のお役に立ちたい!企業のコンプライアンス経営を支援したい!という気持ちで、8月下旬くらいまで続く作業に携わってまいりたい所存です(また皆様方のお知恵をお貸しください)。
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コメント
論客の方々がオブザーバーとして参加されていることは重々承知しているところです。今後も、重要項目の審議が続きますので、気を引き締めて出席したいと思います。ありがとうございました。
投稿: toshi | 2016年6月23日 (木) 16時25分