株主総会の裏で見え隠れするガバナンス・コンプライアンス関連事件
追記:ココログの障害により、コメント付記、管理行為が困難な状況でした。ようやく復旧したようなので、一部エントリーを修正しております。
著名な企業の定時株主総会の話題や英国EU離脱の話題により、当ブログが好む(?)マニアックな話題があまりマスコミで報じられていないようです。当ブログでも何度かとりあげた大手光学機器メーカーさんの中国贈賄疑惑の件、FACTA最新号で新たな展開をみせています(ところで最近のFACTAには日経新聞や朝日新聞等の著名な経済記者だった方々が執筆を担当されているようで、かなりパワーアップしておられますね)。こういった話題は大手のマスコミが腰が引けてしまうのでしょうか、海外のマスコミや行政当局の動きが今後のカギになるような気がしています。
先週金曜日(6月24日)、大阪の東証2部上場会社の定時株主総会では、大株主の修正動議が可決されて、社長を含む5名の取締役が全員交代、株主提案の取締役の方々が新たに就任という事態が起きました(選任された役員の方々のご経歴をみると、いろいろ興味深いところです)。大株主さんの議決権保有比率からみて、ひっそりと総会当日を迎えたほうが修正動議が通りやすかったのかどうか、電子投票や書面行使によって、すでに会社側は大株主の修正動議が可決される見込みが(総会前日には)わかっていたのかどうか、監査役の皆様は、この社長解任劇を予想していたのかどうか、またこの結果に対してどのように身の処し方をされるのか等、さらに興味は尽きません。
また、大手メガバンクHDの株主総会では、株主提案が51対49で否決されるという事態も発生しましたね(定款の一部変更に関する議案なので特別多数が必要ですが)。剰余金配当に関する決定機関の変更に関する議案ですが、議決権行使助言会社や大手運用会社も株主提案に賛同したのではないかと思います。独立社外取締役の頭数が一定数存在することをもって、配当に関する株主からの修正意見提出の機会を奪ってよいものかどうか、もちろん会社法459条、460条の規定はありますが(社外取締役の人数だけで取締役の行為規範が変動する)といったことにはなっていないので、株主への説明方法として、今後はほかの会社でも問題になりうるところではないかと。また、ガバナンス・コード補充原則1-1①との関係でも、このメガバンクさんが今後どのような対応をとられるのか(会社提案へ相当数の反対票が投じられた場合だけでなく、株主提案に相当数の賛成票が投じられた場合にも原因分析等が必要となるか)注目されるところです。
そしてなんといっても、私的にもっとも関心のある話題はマザーズ上場からわずか3か月で決算発表を延期して、この金曜日に第三者委員会調査報告書を公表、業績下方修正をした某社の事例です。粉飾決算を絵に書いたような事例ですね。取引先から会計監査人に「タレコミ」(いわゆる情報提供)がなければ、おそらく会計監査人がうすうす疑惑を抱いていたとしても、早期発見には至らなかったのではないでしょうか。(報告書にあるように、経営者関与の事例ではないとしても)結果としては上場するために会計不正に手を染めたということですから、この上場会社に対してどのように対処されるおつもりなのでしょうか。私はかなり温厚な人間なので、過激なことは申し上げませんが、ただ、IPOがかなり華やかな時期を迎えているだけに、対応を間違えますと世間が黙っていないようにも思えます。
私自身、諸事情ございまして、あいまいな書き方に終始しておりますが、また個別の事例に動きがありましたら、もう少し掘り下げて検討してみたいと思います。本日は自身の備忘録も兼ねた程度の内容で失礼いたしました。
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コメント
うっかり会計ミスがあったロジネットジャパンの監査法人はトーマツで、取引先から通報というのもロジネットジャパンと同じだった気がします。
投稿: 流星 | 2016年6月28日 (火) 10時02分
大阪の東証2部の会社の件、
本日のリリースで、監査役の方が辞任をされたようです。
いろいろ熟考を重ねられたうえでの結論だと思います。
投稿: toshi | 2016年6月28日 (火) 22時03分
大阪の東証2部の会社、あの会社ですね。まだまだ、いくつか波乱があるのでしょうか。
投稿: Kazu | 2016年6月29日 (水) 20時28分
KAZUさん、この事例も「創業家の乱」といえば「乱」ですよね。。
投稿: toshi | 2016年6月30日 (木) 02時07分
某カメラメーカーのFACTAに出た報告書読みました。自分のいる会社にそっくりです。警備会社と食堂という言葉が出てきましたが、大きな工場はこれに加え清掃業務などの外注が典型的な汚職の構造です。外注先になるか、外注してキックバックをもらうというものです。脱税での罰金も、コンサルを使うか、弁護士を使うか。弁護士なら弁護士料金に含めればいいわけで、基本構造は同じ。大変勉強になりました。
投稿: 工場労働者 | 2016年7月 1日 (金) 06時04分