関係者になってしみじみわかる「鬼より怖いマスコミのリーク記事」
昨日は三菱自動車燃費不正問題に関するリーク記事についてお話をいたしましたが、今朝も日経一面に三角株式交換による完全子会社化に関するリーク記事が出ておりまして、たいへん驚いた次第であります。かなり前ですが、加ト吉さんを日清食品さんがグループ会社化することをリリースする直前に、詳細なスキームまで日経一面で解説されており、「一体だれがこんなこと漏らすのだろうか」と批判的にみておりましたが、いざ自分が関係者になってみますとこんな情け容赦のないリークはあるのだろうか・・・と呆れてばかりです。
たとえば非上場会社のトップに某有名経営者が就任するとか、「●●社、いよいよ上場を検討」といった記事であれば「こりゃおもしろいネタだわ、ひょっとしてフライング?」で笑って済む話かもしれません。しかし上場会社の場合には一般投資家に混乱を生じさせることもあるわけでして(まぁ、それも投資家の自己責任だ、とか、情報管理ができていない会社側が悪いのだ、と言われればそうかもしれませんが)、市場にとっては悪い影響を及ぼす可能性が高いと思います。たしかに三菱自動車さんの公表した第三者委員会報告書を読みますと、すでに読売新聞の一面記事に出ていた内容のとおりでありまして「なんで調査委員会関係者以外知らない事実が漏れるの?ひょっとしてリークをさせて世間の反応を確認しているのかな?」と勘繰りたくもなります。
不祥事対応や支配権争い、不正調査等、企業の有事対応の仕事をしておりますので、マスコミの方々がレアな情報にアクセスしておられる(アクセスする努力をしておられる)ことは当然だと認識しております。しかし、保有している情報を記事化するタイミングというのは十分な配慮が求められると考えます。たとえば本日のフライング記事にしても、会社が正式に発表する時間まで、極めてインサイダー取引リスクが高まるわけでして、とりわけ昨日報じられた某上場会社の元会長さんのように「情報伝達者」の刑事立件が行われる時代になった今、犯罪を誘発する可能性も高まります。
大手の新聞社・通信社では、リークのタイミングは重要会議で検討されるわけでありまして、そこには経営陣も介入できない「編集権」の壁が存在することは承知しております。ただ、偉そうに言える立場でもありませんので「お願いベース」ではありますが、どうかリークされた方の苦しみも少しは理解していただきたいと思うところでございます。
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コメント
リークは、どれだけ当事者である会社が秘密を頑張って守っても漏れてしまう者ですよね・・・・周囲の関係者が要注意かな?とはいえ、文句を言える相手ではないことが多いのですが。
投稿: Kazu | 2016年8月17日 (水) 12時29分
最近は企業のIR戦術として大手マスコミにリークをさせて、世間の様子をみる・・・ということもありますね。まぁ、どっちもどっちというところではないかと思いますが。いずれにしても社内でも、誰が情報を共有すべきかというところから情報管理を始めていくと、おのずと社内力学もみえてきたりします。
投稿: toshi | 2016年8月17日 (水) 15時17分