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2016年9月15日 (木)

第4次産業革命と「安心思想のコンプライアンス経営」

先週、今週と延べ700名を超えるJA(農業協同組合)のトップの方々にコンプライアンス経営に関する講演をさせていただきました。農協も統廃合が進んでいますので、保有資産1兆円を超える農協さんも10組合以上あるそうです。講演では、今年4月1日に施行された農協法改正(事業目的の変更)、そして今ホットな話題である農協改革(プロダクト・アウトからマーケット・インへの転換)に求められるコンプライアンスとして、「安心思想によるコンプライアンス経営」を中心テーマにさせていただきました。ちょうど本日(9月14日)の日経ニュースでとりあげられているシェアリングエコノミーやIOTが求められる産業における「安心思想によるコンプライアンス」について、具体例を示しながら解説させていただきました。日経記事で紹介されているようなサービスの提供者に「身分証明書の提示を義務付ける」といったことは、典型例です。

日本企業は「品質第一」、「安全第一」といった安全思想によるコンプライアンスは得意なのですが、「安心はタダ」と思っている民族性が顕著なのか、どうも「安心思想によるコンプライアンス」の発想は得意ではありません(そのあたりは、日本マクドナルド社の消費期限切れ商品販売事件やボーイング787運航停止事件等、このブログでも過去に何度も取り上げてきたところです)。しかしシェアリングエコノミーにせよ、IOTにせよ、AIにせよ、サービスの効率性が高まれば高まるほど、サービス提供者の「商品を超えた企業としての品質」が競争上重要になってくるのでありまして、これをいかに消費者や株主に示していくか・・・ということを真剣に考える時期に来ていると思います(そのような関係で、コンプライアンスは「ブレーキ」ではなく「アクセル」だと認識している企業も増えています)。

東京都の豊洲市場土壌汚染問題も同様です。ここまで問題が大きくなってしまいますと、いくら専門家の方々が集まって「安全です」と宣言したとしても事態の収束は困難が予想されますし、風評被害を除去するまでには相当な時間を要することになります。残された道は(本当に安全であるならば)「食べても安心です」といったストーリーを具体的な根拠をもって都民の方々に提示することでしょう。一般の都民の方々にわかるストーリーでなければならないわけですからそれなりの工夫が必要ですし、専門家と一般の都民とを結ぶプロの「通訳」が求められるはずです。上記のJAさんの講演ではお話させていただきましたが、不祥事を発生させた組織における「安心思想」のコンプライアンスには、独特の考え方、独特の発想があります。これは私が過去に何度も失敗を繰り返して認識したところでありまして、その工夫の中身については、また講演等の機会がございましたら、具体例を示しながら解説したいと思います(すいません、具体例が生々しいのでブログでの開示は控えておきます)。

産業競争力強化法に基づく国策会社の役員を2年以上務めさせていただいている関係で、ITやライフサイエンス、ナノテクノロジー、ロボット認知科学等の研究事業を知る機会が増えましたが、そのような先端技術事業を社会に役立てる場面において、コンプライアンス経営がビジネスモデルにとっていかに重要であるか痛感します。とりわけ周辺技術との融合で先手を打って(すくなくとも日本市場において)競争上優位に立つためには、この「安心思想に基づくコンプライアンス経営」を経営者自身が身につけることが必要条件であると認識しています。

9月 15, 2016 コンプライアンス経営 |

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