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2016年9月22日 (木)

不正対応に向けた内部統制の機能(日本内部統制研究学会年次大会のお知らせ)

(本日はBLOGOSさん等、転載いただかなくても結構な話題でございます)従業員の長時間労働による過労死問題について、会社役員の責任を追及する株主代表訴訟が、我が国で初めて提起されたそうです。被害者のご遺族に対する(会社の)損害賠償義務が確定したため、従業員としての持株を相続されたご遺族が、今度は株主として会社役員を提訴されたようで、いわゆる職場環境配慮義務違反が根拠となるようです。これだけ世の中で「働き方改革」が叫ばれているわけですから、当然のこととして役員の内部統制構築義務違反を問う裁判は、労働法の世界にも波及することになります(ちなみに原告代理人はミスター株主オンブズマンで知られる手強いM先生ですね)。

さて、私が理事を務めております日本内部統制研究学会の年次大会も、今年で9年目となりまして、来週10月1日(土)に第9回大会が開催されます。隔年で東京開催となりますが、今年は御茶ノ水の明治大学駿河台キャンパスで行われます(詳細は日本内部統制研究学会のお知らせをご覧ください)。今回は企業不正に焦点をあてたテーマが統一論題となっておりまして、「不正対応に向けた内部統制の機能-内部統制の構成要素からみた評価と課題」を研究、報告する内容です。「ごあいさつ文」にもあるとおり、ついに!「統制環境」に光を当てます!いや、ホントに昨今の企業不祥事をみるかぎりは「統制環境」こそ内部統制の最重要課題ですよね。この学会の趣旨は企業実務に役立つ研究ということなので、もちろん企業の方々にも多数ご参加いただける内容になっております。

学会による上記告知のとおり、私は午前中の自由論題報告の司会を務めます。私が司会を務める第1会場は、企業不祥事発覚時の第三者委員会報告書について取り上げます。最初に報告をされる東ソー株式会社の齋藤氏は、自社の内部統制構築に、どのように第三者委員会報告書を活用されているか・・・という点を、長年自社の内部統制推進に携わっておられる実務家の視点から発表いただきます。また、会社法、金商法問題に詳しい遠藤元一弁護士は「第三者委員会制度を再考する」というテーマで、第三者委員会制度の理想と現実に鋭く切り込むことが期待されます。日弁連ガイドライン「なんちゃって」準拠報告の現状などにも触れられるかも?うーーん、こちらも楽しみであります(そういえばこの学会の会長は例の「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員ではなかったかなぁ・・・と 笑)。

また、第1会場と同時刻に開催される第2会場の自由論題報告では、青学の町田先生が司会を務められるようで、そちらでは内部統制コンサルタントの方による「企業における内部統制対応の現状」、生命保険会社の方による(COSOフレームワークを取り上げながら)内部統制の原点を探るといった報告内容だそうです。すいません、第2会場分の報告要旨は拝見しておりませんが、時間が重なっていなければ、こっちもぜひ聴講したかったなぁと(いつも思いますが、自由論題といってもジャンルが狭い学会なので、どっちも聴講したい人がかなりおられるのではないかと。なにか工夫できないものでしょうかね?)

その後の研究部会報告では、おなじみの神林先生司会、石島先生部会長による「ITを活用した内部統制のモニタリングの有効性向上策研究」が1年間の研究成果として報告されまして、おそらく会計専門職の方々を中心に聴講される方も多いかと思われます。

午後からは金融庁の古澤審議官による「不正事案等を踏まえた三様監査の進化」に関する記念講演だそうで、古澤審議官としては、あまり講演で扱ったことのないテーマではないでしょうかね?「不正事案等」の「等」は何を意味するのかよくわかりませんが。。。(「不正」と「不適切」は違うということでしょうかね?ともかく監督する立場の人たちが監査部門に何を求めているか・・・という点は、理解しておくと相当に役に立ちます。これは聴かねば・・・)。そして最後は統一論題によるディスカッションとなりまして、おそらく最近の企業不祥事の原因分析や再発防止に関する論点を、内部統制の視点から議論することが予想されます。まちがいなく「統制環境」に切り込む内容ですが、これこそまさに内部統制の本領ですね。細かな統制ルール違反ではなく、「取締役会自体の実効性がない」と評価することへの勇気が求められるところであり、これも興味あるテーマです。

さきほど事務局の方に問い合わせましたところ、まだ参加申込には余裕があるとのことで、都心のキャンパスでの土曜開催ということもあり、ぜひとも内部統制に関する理論、実務両面での企業対応状況にご関心のある方々には多数ご参集いただければ幸いでございます。なお、数年前に日大商学部キャンパスにて開催される年次大会直前、当ブログでご紹介しましたところ、多数の方がお越しになられて当日の配布資料が大幅に不足してしまいました。参加ご希望の方は、事前に出席通知を事務局あてお出しになられて参加いただけますと事務局側としてもありがたいです。どうかよろしくお願いいたします。

9月 22, 2016 内部通報の実質を考える |

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コメント

「取締役会自体の実効性がない」と内部監査の調書で書く事できるのでしょうか?子会社なんか、役員が名前だけで、実質なんにもやっていないところがゴロゴロあると思います(自社の話)。監査調書に取締役会が機能していないと書いた場合、監査室長はどうなってしまうのでしょうか?これを考えると、執行部と監督が全く別々になっており、干渉できないしくみになっていないと内部統制や内部監査が機能しないと思います。

投稿: 工場労働者 | 2016年9月23日 (金) 06時53分

 参加費を振込送金すれば、参加申込になるそうです。懇親会まで行こうかな?

投稿: Kazu | 2016年9月27日 (火) 12時29分

当ブログでも5年ほど前に書きましたが、某製薬会社の内部監査部長(のちに監査役に就任されましたが)がACFEの年次大会でおっしゃっていました。「あなたがこの取締役会にオブザーバーとして出席している意味はわかりますか?この取締役会の欠点を厳しく指摘するためですよ。あなたが指摘しなければ、オブザーバーとして出席する意味はないのです」と社長さんから言われていたそうです。
そのような会社もあるのですが、まぁ、少数派でしょうね(笑)。
KAZUさん、ぜひともご参加くださいませ。午前中から来てくださいね。

投稿: toshi | 2016年9月27日 (火) 16時59分

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