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2016年11月16日 (水)

会計監査に関する企業調査(監査法人に変化はあるか?)

かなり話題に乗り遅れてしまって恐縮ですが、ロイターさんの企業調査「監査法人の対応、半数が変化を実感」の記事を読みました。東芝会計不正事件を機に監査法人側の監査の姿勢が変わったと実感している企業(回答数は230社ほどだそうです)が半数に達し、また自社においても財務報告に関するコンプライアンス強化を実践している企業が半数に達したそうです。

最近は監査法人さんのサイドで有事対応に関与することが増えましたが、有事対応の場面でも、監査法人さんの姿勢に明らかな変化がみられますね。現場社員の会計不正が認められた場合、以前であれば統制環境に著しい不備が認められないケースでは「経営トップは推定シロ」でした。しかし最近は、企業側から「トップは不正と無関係」といった心証形成に足りる証憑が提出されないかぎり「トップは推定クロ」の前提で会社側と向き合うことが多いようです。最近の監査法人に対する厳しい処分を経験して、監査法人側にも「報酬のために企業側に甘い顔を見せることによるリスクを考えるならば、そもそも内部統制に問題のある企業との契約は早期に解消したほうが無難」といった意識が高まっていると思います。

実際に企業側と対峙してみると、税務会計、管理会計、制度会計の数字を作っているのは経理担当部門ですが、まず経理担当部門が経営陣にどれだけ力を持っているかは企業によってマチマチだと感じますね。ただ制度会計については、どんな企業でも経理部門は会計処理方針に頭を悩ますわけです。通常であれば経理部門が頭を悩ませるような処理が求められる案件は「決算の仮締め」よりも相当前に経理部門に上がってくるはずです。しかし、経営陣の不正関与が疑われる案件では、この「通常案件」とはかなり異なり、決算数値確定の直前あたりに突然「天の声」が経理部門に舞い降りてきます。そのあたりのプロセスの異常性が認められますと、「推定クロ」を覆すのはむずかしいですし、これこそ会計の世界における「相対的真実主義」の存在意義が如実にあらわれる場面です。

ところで会計不正に関する企業の実態については、もうすぐ、某監査法人系の調査機関からたいへん興味深いアンケート調査結果とその分析結果が公表される予定です。リリースされましたら、また当ブログでご紹介したいと思います。

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コメント

監査作業中に、職業的懐疑心をシフト・チェンジして、原則中立アプローチから原則虚偽推定アプローチへの転換をすべきことは、PCAOBのAU sec.316Aなどからも、会計監査人にとっては既定のプロセスであったはずですが、従来それが実行できなかった背景こそが問われるべきですね!

投稿: Qchan | 2016年11月17日 (木) 15時12分

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