内部通報制度の最新情報(直前ですがセミナーのお知らせ)
DeNA創業者の南場智子さんのご著書「不格好経営」では、独禁法違反(優越的地位の濫用事案)を指摘した公正取引委員会とガチで闘った経験から「そもそもグレーゾーンで事業を行うこと自体に当社の問題があった」と自戒をこめて回想しておられます。モバゲーサイトの「援助交際目的使用」撲滅作戦の経験なども含め、ビジネスモデルを展開するにあたり、今後同社はコンプライアンス経営の意識を強く持つ会社に発展するものと期待しておりました。
しかし、このたびのキュレーションビジネスにおける同社の不適切行為については、徳力基彦さんがご指摘のとおり、かなり悪質なもののように見受けられます。ただ、徳力さんも述べておられるように、私もDeNA社員の方による内部告発記事が掲載されたことが不祥事発覚の大きな端緒になったように思います(DeNAさんも、この記事が公開された翌日に問題サイトの非公開に踏み切りました)。従来からビジネスモデルに疑問を感じていた社員の方が、社会的に火がついたことをきっかけとして記者さんの取材に応じたものと推測されます。このような取材記事が掲載されるまで、今回の医療情報に関するキュレーションビジネスが社外からどのように受け止められるのか、DeNA社内で議論する機会はなかったのでしょうか。社内におけるレポートラインの在り方やヘルプラインの機能不全に関心があります。
さて、(ここからは広報ですが)年内の内部通報制度に関するセミナーに私も登壇しますので、(本当に直前となりましたが)お知らせいたします。今回は、リスクマネジメント・コンサルタントのエス・ピー・ネットワークさん主催(レクシスネクシス社後援)の出版記念セミナーに、私はゲスト的な立場で登場します。「あまり出しゃばらないほうがいいのでは・・・」と思いまして、ブログでの広報も控えておりました。ただ、「東京も大阪も、お席にまだ若干余裕がある」とのことなので、当ブログをご覧の方々で、内部通報制度や内部告発への社内対応に関心がございましたらお越しいただければ幸いです。ちなみに大阪は12月6日、東京は12月20日で、いずれも午後2時開演でございます(大阪のみなさま、ホンマに直前になりまして申し訳ございません)。
内部通報制度の最新事情~有効に機能する制度の運用と今後のあり方について
講演内容は上記HPにてご確認ください。私は第Ⅰ部の基調講演(60分)と、第Ⅲ部のパネルディスカッションに登壇いたします。公益通報者保護法改正に向けた審議状況の最新状況や今後の動向、11年ぶりに改訂される公益通報制度に関する民間事業者ガイドラインの改訂等についても若干触れたいと思います。企業不祥事を端緒とする役員のリーガルリスクという視点では、内部通報や内部告発への社内対応の巧拙が大きな影響を及ぼします。中小事業者を含め、ビジネスを円滑に進めることに役立つリスクマネジメント手法として、ヘルプラインを活用する時代が到来したと言えるでしょう。運用する会社側にも、また活用する社員側にも「密告制度」などといった10年前の暗いイメージはなくなってきたことを実感していただきたいと思います。なお、レクシスネクシスさんの上記HPからお申し込み可能でございます。
| 固定リンク
コメント
DeNAによると、
「 2.第三者調査委員会の構成 社外取締役を含む外部専門家によって構成するものとします」とあります。
恐らく「外部専門家」は弁護士等が想定されると思います。
このような場合、「第三者調査委員会」のメンバーに社外取締役が含まれることについて、委嘱される専門家は当該社外取締役に対し、何らかの誓約書(つまるところ関与していない旨の約束)等を取り付けるものなのでしょうか。
設置の目的などからして、当然に取締役会での議論についても調査対象に含まれるであろうと考えるからなのですが。
投稿: 博多ぽんこつラーメン | 2016年12月 8日 (木) 00時39分