関経連共催コーポレートガバナンス・シンポでコーディネーターを務めました
1月16日、私が理事を務めております日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークは、関西経済連合会との共催企画を開催いたしました。タイトルは「コーポレートガバナンス改革で日本企業は変わったのか?-ガバナンス・コードと向き合う企業の理想と現実-」。タイトルでほぼおわかりのとおり、企画及びシンポのコーディネーターを担当させていただきました。企業不祥事ネタは一切出さず、「稼ぐ力」としてのガバナンスだけに焦点を当てましたが、盛会だったのはひとえに関経連さんの(プロと申し上げて良いほどの?)ご準備によるものでした。
大阪弁護士会館2階ホールは通路に椅子を追加するほど満席となりまして、JR西日本さん、読売新聞さん、日本生命さんほか、企業の社長、元社長の方々にも多数ご出席いただきました。日経、朝日の記者さんにもお越しいただきましたが、記事になるかどうかは不明(たぶん好学上の目的でお越しになられていたかも・・笑)。ガバナンスネットワークの牛島信理事長による基調講演の後、「関西企業はガバナンス改革にどのように向き合うか」といったテーマで、帝人相談役の長島さん、関経連企業法制委員会の主査でいらっしゃる積水ハウス常務の中田さん、機関投資家代表のニッセイアセットの井口さんといった方々に登壇いただきました。大発会の鐘をたたきながら「成長戦略のためには企業統治が最重要」と担当大臣がおっしゃる東京では語れない内容でも、みなさん、雪で遅延する新幹線に乗って関西にお越しになると「口が軽くなる」ようで(?)、ガバナンスの理想と現実をホンネでお話いただきました。
シンポが盛り上がった要因は、まず関経連さんが昨年公表された「わが国企業の持続的な企業価値向上とコーポレートガバナンス整備のあり方に関する調査研究報告書」がなかなか他の経済団体では出せない内容だったから、という点が挙げられます。「四半期報告制度は、そもそも中長期の企業価値向上にはそれほど効果的ではなく、一方報告書作成に要する企業の負担が増すばかりなので、最終的には廃止すべき」といった提言も、「株主との建設的な対話」の中で議論させていただきました。すでにガバナンス改革に乗り出して20年近く経過した帝人さんの歴史から、社外取締役制度やアドバイザリーボード(取締役会の諮問機関)はどのように価値向上に結び付くか、といったこともお話が聴けましたし(やはりガバナンス改革の実効性検証にはまだまだ時間が必要ですね)、ショートターミズムから中長期の企業価値評価へと舵を切る運用機関のアナリストがどれだけ厳しい状況に置かれているか・・・といった話題も(スチュワードシップ・コード改訂直前の時期でもあり)興味深いものでした。
どんなにガバナンス・コードにコンプライしても、またコンプライしなくても、自社のガバナンスのベストを真剣に模索する企業こそ持続的成長を図ることができる、またどんなに辛口の意見であっても、真剣に自社の成長を支援してくれる株主と目的ある対話を続けることが大切だということを、私自身も認識いたしました。対外的には新大統領の経済・金融政策との関係で、また対内的には「働き方改革」というガバナンスの根幹を揺るがす課題との関係で、とても良いタイミングでシンポができたと思っております。登壇者の皆様、ご来場された方々、ガバナンスネットワーク事務局の方々、そして関経連の事務局の皆様、本当にお世話になりました。
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