日産自動車の次期社長は現社長ではなく取締役会が決めた?
大阪市交通局の経営会議終了後、書店に立ち寄り購入しました。幹部育成プログラムにおけるカルロス・ゴーン氏の経営論に関する講演(発言)録ですが、日産自動車さんのコーポレートガバナンスへの関心から、一気に読み終えました(電子書籍版もあるようですね)。
グローバル・リーダーシップ講座カルロス・ゴーンの経営論 (公益社団法人日産財団監修)
このたびの社長交代が、ゴーン氏のレジリエント・リーダーシップの一環であること、後任人事は現社長が複数名を提案して、最終的には取締役会が決めることを信念としていること、経営トップが当然に高い報酬を得なければならないと考えていることがよく理解できました。また、私なりのフィルターで「これは大事だ」と赤線を引っ張ったところも何か所がありました。
なお、本書で一番印象に残るのは第6章「カルロス・ゴーンは日産の何を変えたのか」を執筆されたCOOの志賀俊之氏の論稿です。私の感想ですが「この人がいたから外国人社長のもとで組織がひとつになれたのでは?」と。本書でゴーン氏が語っておられることを、読者に「通訳」する役割を担っておられますが、それはまさに志賀氏が日産の従業員の方々に向けててゴーン氏の経営方針を通訳して来られたことを物語っています(三菱で起きたような燃費偽装が日産では起きないと確信できるようなお話も盛り込まれています)。
孤独やリスクに立ち向かう覚悟さえあれば「決断すること」はできても、自らの決断の実行主体である役員、社員をどのようにすれば動かすことができるのか、その点への深慮やコミュニケーション手法は(違和感を抱きつつも)とても考えさせられます。なお、今回の社長退任が、果たして日産経営の全権委譲なのか、一部権限委譲なのかは、本書を読んでも(私には)わかりませんでしたので、今後の会見に期待しております。
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コメント
カルロス・ゴーン社長や元ソニー会長ストロスカーンのように欧米でも社長の報酬は高くするべきという見解があるみたいですね
ただ欧米でもそうだからといってかつてのGMやソニー元会長、ユーシンの退任する会長のように業績や会社の状況を無視した高額報酬というのも考え物です
役員報酬はイコールで代表訴訟の訴訟額に繋がるという考え方があるのかというのも往々にして疑問です
(一方でだからといって訴訟が怖くて報酬低くて言いというのも責任逃れ染みていて問題なので難しい)
かつてのソニーや日産のように意外と外国人社長のいる企業に限って社長独裁気味という感じがしないでもないです
投稿: 流星 | 2017年2月24日 (金) 12時52分
カルロス・ゴーン氏の経営者としての評価は高いですが、私は、少なくとも彼がルノーのトップに就任以降は評価できないと考えています。ルノーと日産はアライアンスを組んでいますが、親子関係にはなく、両社とも上場企業です。ルノーと日産のトップを兼務した彼が、両社 の利害が一致しない事項に関し てどのような経営判断を下したのか、そこに利益相反はなかったのかについて疑念が深く残るからです。
東証は、複数の上場企業のトップを兼務することを認めていなかったと思いますが、 なぜルノーと日産は認められたのか?疑問が残るところです。
投稿: Beaver | 2017年2月24日 (金) 20時39分
海外上場企業のトップと国内上場企業のトップの兼任はOKとなると「日本人CEO要らなくね?」とかなりそうではある
投稿: 流星 | 2017年2月25日 (土) 04時08分