産地偽装米騒動第3ラウンド-週刊ダイヤモンド誌を刑事告訴へ
証券市場の健全性を確保するため、いよいよ不公正取引の発見にAI(人口知能)が活用される時代となりましたが、はたして産地偽装を発見することにAIを活用する時代は来るのでしょうか。
企業不正に関する内部告発に関心を持つ者として、どうしても事件の帰趨が気になるのが京都の米卸会社による産地偽装米騒動です。今週発売の週刊ダイヤモンド誌がどのような反撃に出るかと期待しておりましたが続報は全く掲載されていませんでした。
その一方で、偽装米を流通させているとダイヤモンド誌で指摘された京都の会社は、「調査報告第7弾」を公表し、本日、ダイヤモンド社に対する刑事告訴状を京都地検に提出したそうです。親会社であるJA京都中央会が設置したサイトにおいても、詳細な調査結果が報じられています。週刊ダイヤモンド誌が検査に出したとされる精米と同じものを取引先から返品を受け、東京の財団法人日本穀物検定協会でDNA鑑定および同位体検査を受けるとのこと(検査については元最高検検事の弁護士の方が担当されていますね-毎日ニュースが報じています)。
ところで既に行政調査が進んでいるはずですが、一向に調査の進捗状況は報道されません。ダイヤモンド社としては、「同位体研究所」の検査結果に依拠して記事化したものなので、それなりに真実相当性に自信を持ってのことかとは思います。ただ、普通の名誉毀損、信用毀損の紛争ではなく、国民の食生活の安心に関わる事実の真偽が対象となるだけに、裁判で長期間争うような性格の問題とは言えないでしょう。誰かが早期に「国民の安心」のために真偽を明らかにしなければなりません(JA京都中央会さんは、当事者ではありますが、まさに社会的責任の一環として、ここまで熱心に調査報告を開示しておられるのでしょうね)。
今回のダイヤモンド誌の記事については内部告発によるものではない模様ですが、やはり社員による内部資料が存在しなければ、このようなスクープ記事は他紙が追随するような事態にはなりにくい、ということでしょうか。通常は行政調査機関に対して第2弾、第3弾の匿名、実名通報が届くケースがあるのですが、そういったものが届かないとなるとマスコミの反撃も苦しいかもしれません。
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コメント
以前「公益通報者の日」制定のコメントを出された方に激しく同意したのですが、どのエントリーか忘れました。。。本当に申し訳ありません。
2月4日を「通報(ツーフォー)の日」とする案が弁護士会(東京地域限定なのかもしれませんが)にあるようです。
産地偽装米騒動ということで、消費者団体の対応も気になりますが、本日3月1日に行われた東京弁護士三会のコンプライアンスシンポジウムでは、ディスカッションのパネラーから団体とマスコミ双方に厳しい意見(自主規制をしているなど)もありました。本騒動に関することではなく、三菱自動車燃費不正等通報対応一般についてです。
昨日2月28日に、電子政府による「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会 最終報告書」意見募集が締め切られたこともあり、事態の推移を見守りたい(「見守り」だけでなく、攻めのガバナンスも必要か?)です。
投稿: 試行錯誤者 | 2017年3月 1日 (水) 22時24分
産地偽装米騒動は静かなままですね。おそらくJA京都中央会が東京の調査会社に調査を依頼して、その結果待ちというところだと思うのですが、それにしても農水省側の調査はどうなっているのでしょうかね?私自身は「闘うコンプライアンス」問題としてたいへん関心を抱いているのですが・・・
投稿: toshi | 2017年3月12日 (日) 21時20分