会社法研究会検討課題以外の立法提案について(個人的な雑感です)
本日は会社法改正という「立法手続き」に関するお話なので、守秘義務もしくはエチケット違反に極力配慮しながら書かざるを得ないことをご了承ください。
私は数か月前に(コーポレートガバナンスに関連する)ある事項について、このたびの会社法改正審議(法制審議会会社法制部会での審議)に先立ち、立法提案をさせていただきました。ご承知の方も多いと思いますが、すでに(法制審議会に先立つ)会社法研究会での報告書が公表され、ほぼ会社法改正のための審議事項は固まっていると思われます。
ただ、会社法研究会での検討課題以外の立法提案についても、日弁連を通じて検討事項として取り上げるかどうか協議をする機会がありました。そこで、ある事項について、具体的な立法提案をさせていただきました。日弁連の対策委員の皆様には賛成意見、反対意見を多数いただきました。また、私なりの再反論なども提出させていただきまして、最終的には日弁連の正式な立法提案として、法務省との協議対象に採用していただきました(賛同意見、反対意見を含め、私の立法提案を真剣に審議いただいた日弁連委員の方々にたいへん感謝しています、どうもありがとうございました)。
抽象的な物言いで恐縮ですが、①法務省側の「会社法改正」に関する考え方(一般論として、どのような事態となれば法改正の必要性あり、と認められるのか)、②具体的な改正要望事項と現行の会社法法制とのバランス(他の条文の制度趣旨と整合性がとれるのか)、③法改正までしなければならないほどの実務上の不具合が、現行法上で立法事実として認められるのか(たとえばソフトローで足りるのでは?、利害関係者間での金銭的補償で目的は達成できるのでは?)といったことが相当クリアにならないかぎり、なかなか俎上には乗せてもらえない、という現実を認識いたしました。単純な「世の中の流れ、社会の変化」程度では(議員立法ならいざ知らず)法改正の審議の場にさえ乗せてもらえない、という高い壁を痛感しました。
具体的な結論は申し上げられませんが、率直に言って私の力不足でした。私の提案事項は、すぐにでも法改正の必要性が高いと思っておりますので、たいへん悔しいです。反省すべき点もあり、自分の能力がまだまだ低いことを認めざるをません。ただ、真剣に法改正に向けた手続きにチャレンジしたことで、いろいろと学ぶことはありました。とりわけ今後の公益通報者保護法の改正審議にあたり、条文化作業などにも自分なりの意見を述べたいと考えていますので、今回のチャレンジの結果をバネにして(政治的な風だけでは到底法改正はむずかしい)、手続きの厳しさを十分理解したうえで準備をしておきたいと思います(まずはファクトをきちんと提示できることと、現行法を誰よりも理解することを徹底する必要がありますね)。
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コメント
この法律は、そもそも最初から大失敗してるのだから、旧商法時代まで一度戻して、もう一度初めから作り直したほうがいいと思いますけどね。
学者の研究目的のような、実務上はほとんど意味を持たない部分は必要以上に手厚いのだけど、実務上問題になりそうな部分での利害調整は殆どできていないし、株式取得関係では大穴が開いているし。
基礎工事に失敗してるんだから、補強工事してもどうにもならんのです。
最終的な利害調整を裁判所に丸投げするようなやり方は、裁判所の能力を過大評価しているわけで、原則容認ではうまく機能するわけがないです。
大失敗立法による法の歪みのせいで利権屋が生まれてしまい、すでに後戻りもできないでしょう。利権屋側は、改悪なら賛成ですが改正には猛反対。力不足ではなく、改正する気が無いのだと思います。
投稿: 傍観者 | 2017年4月 4日 (火) 15時05分