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2017年5月31日 (水)

改正個人情報保護法の施行と内部通報制度実務への影響

本日(5月30日)は、大阪OMMビル会議室にて、消費者庁主催「内部通報制度に関する民間事業者向けガイドライン説明会」が開催されまして、「企業経営における内部通報制度の重要性」なる講演をさせていただきました(消費者庁担当官の方の講演の前座です)。東京の追加説明会と同様、大阪も満席(というよりも予定満員数をかなり超えていました)という盛況ぶりでして、ご来場いただきました方に厚くお礼申し上げます。なお、質問の時間がとれず、終了後に個別のご質問をお受けしただけでとなり、失礼いたしました。

ところで、本日は改正個人情報保護法の施行日です。公益通報者保護法と個人情報保護法との関係、内部通報制度と個人情報保護法との関係を若干知っていただきたく、3つほどの事例を「頭出し」程度に紹介させていただきました。内部通報制度の支援や内部告発人の支援をしておりますと、「これって個人情報保護法が改正されたらどうなるのだろうか?」と疑問に感じることがたくさん出てきます。説明会でも述べましたが、公益通報者保護法の解釈、内部通報制度の適正な実務運用には労働法的視点、行政法的視点、消費者法的視点そして会社法的視点が交錯しているので、実務に落とし込むには工夫が必要ですね。

たとえば、①「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」と内部通報事実、公益通報事実の取扱い、②グループ内部通報制度を採用する親子会社間における通報事実の通知と「第三者提供」「共同使用」の概念、③外部窓口業務と「従業者・委託先への管理・監督」、④従業員による服務規程に違反した情報提供行為と「データの不正取得」、⑤通報対象者による保有個人データ開示請求とその対応などなど、内部通報実務に及ぼす改正個人情報保護法の影響はかなり大きいと思います(内部通報制度に関する民間事業者ガイドラインも、改正個人情報保護法も、中小規模会社の事業にも適用されます※)。本日は時間の関係で詳細な解説はできませんでしたが、内部通報制度の運用上の留意点として、きちんと整理をしておいたほうがよろしいかと思います。私自身もまだ試案程度しか持ち合わせておりませんので、同業者の方と意見交換をさせていただく予定です。

※・・・ただし、改正個人情報保護法では、「安全管理措置」について「中小規模事業者」について通則指針による軽減措置あり。

本日の私の講演レジメ及び講演録は、また後日消費者庁HPに掲載されますのでご参考いただければ幸いです。さて、ガイドライン説明会が終わりますと、今年の後半以降は公益通報者保護法改正に向けての「第2ラウンド」ですね。審議は消費者庁から内閣府(消費者委員会)に移り、いよいよ経済団体や消費者団体、中小企業代表等の方々との意見交換も始まるものと予想します。個人情報保護法が改正されたような「風」が吹くとは思っておりませんが(そんなに甘くないことは承知しておりますが)、企業コンプライアンスの実現に向けた施策が前進することを祈るばかりです。

5月 31, 2017 内部通報制度 |

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コメント

平成29年5月18日に東京で開催された「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」の説明会に出席しました。大阪での開催にも出席し、山口先生に是非質問したかったのですが・・・。「東芝」「オリンパス」等の昨今の大きな問題の勃発は、偏に「経営者」が深くかかわった問題であり、どのように「社内報告通報制度」を整えたとしても、結局は、社内の自浄能力がない結果、最後の手段として「公益通報」が、役所やマスコミに通報されて問題が発覚するわけです。その結果、通報者が不利益を受ける例が後を絶たない現実があります。更に「公益通報」をするに際し、会社の証拠資料を持ち出せば「不正競争防止法違反」として罰せられる可能性が指摘されています。ここは、提案ですが、日本も、「アメリカの内部通報者保護制度」の「ドッド=フランク法」を取入れて、通報者に報奨金を与える制度を検討できないものでしょうか。1000億円の社外簿外債務についての不正を告発した人に1/10分の報奨金を付与することとしたら、経理担当者は、退職覚悟で不正告発をする可能性が高まるように思うのですが。単なる、正義感だけで、しかも、告発者が不当な扱いを受ける現状では、不正の初期段階で「公益通報」する人はいないと思います。

投稿: ヒデブー | 2017年6月 1日 (木) 11時23分

5月30日OMMビル会議室には定員(80名?)より多く100名以上参加していたと思いました。
山口先生「御講演禄」の消費者庁HP掲示も楽しみにしています。
上司への通報や匿名通報も「公益通報」になることは薄々感じていましたが、マスコミだけでなく株主、消費者、地域住民も「告発先」となることは意外でした。
また(講演録には載らないかもしれませんが)山口先生が通報窓口をされた際のパワハラ事案について、大変つらい思いをされたことを聞くと、私は通報者の方の無念さに(もちろん山口先生の無念さにも)心が苦しくなってきます。
「事例を紹介するには講演時間(45分)が短い」旨おっしゃっていましたが、山口先生と同じく「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」検討委員であった井手様も「2倍は必要」と話されていましたね。

昨日6月3日は東京都板橋区にて日本消費者教育学会関東支部の研究発表会があり、井手様の公益通報に関する御講演(100分間)が一般公開されたので拝聴してきました。
「ヒデブー」さんが書かれている報奨金制度のお話も出てきて、「日本の通報制度は通報者に、極端な、過度な【正義感】を要求している」といった語りの部分は、私も普段から感じていましたが有識者の方も同様な思いなのかと納得し、嬉しくなりました。

内閣府(消費者委員会)での審議に神風が吹くことを期待するだけでなく、私も何らかの形で参加したいと考えます。

投稿: 試行錯誤者 | 2017年6月 4日 (日) 12時18分

内閣府消費者委員会とはどんなものなのか?と思い、6月6日の第248回本会議を傍聴しました。
この日の会議は「消費者基本計画工程表の改定」が主な議題で、消費者庁消費者政策課が5月9日までに行った「工程表素案」に対するパブコメ募集への意見が傍聴者にも配布されました(議事録と共に、いずれ公表されると思います)。
「消費者基本計画工程表改定素案」には4(3)③項として「公益通報者保護制度の推進」という項目があり、私が4(3)②項と合わせて応募した意見が誤字・脱字を修正されて(恥ずかしくもありながら、とてもありがたいことです)原文のまま載っていました。
4月20日に東京四谷の全国消費者団体連絡会殿の学習会で、消費者政策課殿に工程表の説明を受け、その場で質問した内容を活かしてパブコメ応募しました。
内容は「法改正時期の明示(秋の臨時国会か来年の国会)」と「法改正に向けて、大企業経営者向け(「大」にこだわる必要は無かった。。。と現在では思っています)に松本純大臣や消費者庁長官がTOPセミナーをしてほしい」というもので、「通報経験者の実態調査への参画」を、くどいほど要請しました。
「公益通報者保護制度の推進」に関する意見は、配布資料にある全320件(11件は工程表全体に係る内容なので除きました)中、7件で2.2%という結果は、工程表の中で埋もれない範囲であろうと思います。
パブコメ意見への回答は今月下旬までに消費者庁HPに展開される予定のようですが、「公益通報者保護法改正」への独立した調査会・審議会が内閣府消費者委員会で開催されたら、また傍聴したいと考えています。

投稿: 試行錯誤者 | 2017年6月 7日 (水) 17時43分

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