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2017年6月20日 (火)

相談役・顧問制度に関する株主質問への回答例-武田薬品に学ぶ

株主総会リハーサルのシーズンですね。今夜、いろんな上場会社の社外取締役さんが集まる会食に参加しましたが、「今年の株主総会のブームってなんだろう?」という話になりました。ガバナンス・コード、議決権行使結果の個別開示、お土産廃止、社外取締役への直接質問、そしてマニアックなところでは財団への自己株式の拠出(1円譲渡を取締役会に一任?)といった項目が出ましたが、多くの方が挙げていたのが「相談役・顧問制度への質問」。

総会を仕切る総務部門の皆様にとっては、「なにをいまさら」かもしれませんが、たしかに相談役・顧問制度について株主から質問が出てもおかしくない状況ですね。想定問答集にも模範回答が掲載されているのかもしれませんが、ひとつのモデルとしては武田薬品工業さんのHPに掲載されている「第141回定時株主総会に関連する事項について」と題する一枚の書面がとても参考になるのではないかと。

武田薬品工業さんは6月28日に定時株主総会を開く予定ですが、株主15人による株主提案が議案になっています。その株主提案の中身は、「元最高責任者の相談役や顧問(就任)は経営面で強い影響力を持つ」として、相談役らの原則廃止を定款に盛り込むことを要望する、というものです(議決権行使助言会社も、株主提案への賛成を推奨されています)。上記書面は、その株主提案に対する会社側の回答、という位置づけです。

もちろん定款変更に関する株主提案、事前の書面による株主質問、総会における一般質問など、それぞれの形式への対応は異なるものだと思います。しかし、「当社の相談役制度を廃止せよ、とまでは言わないが、内容を開示せよ」といった風潮が強まる中で、どのような内容を開示すれば説明責任を尽くしたといえるのか、いろいろと迷うところもあると思います。上記武田薬品さんの書面では、そのあたりが過不足なく説明されているのではないでしょうか。ただ、本当は「その相談役さんは専用の個室があるのか、個室は経営陣と同じフロアにあるのか」といったことも質問される可能性はあるかもしれません(この点は、私の過去の経験からいうと、相談役の方が結構こだわるのです)。

なお、相談役制度は廃止しても「社友」なる名称で実質的には相談役待遇を残したり、また「最高顧問」なる名称を対外的に使用することを許容する会社もありますので、相談役という名称よりも、元経営者がどのように接遇されているのか、その実質を株主側としては質問したほうが良いかもしれませんね。東芝さんの例で代表されるように、相談役制度は「院政を敷く」ことが問題視されていますが、中間幹部の方々が、企業倫理・企業文化を尊重するという意味において「求心力を維持する」ことへの相談役制度の効用も、もちろん大きなものがあります(社長解任事件では、この求心力をよく活用させていただきました)。このあたりは、海外の機関投資家の皆様に説明することはむづかしいところですね。

6月 20, 2017 株主総会関連 |

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コメント

明日開催のS社株主総会に向けて、先週下記の事前質問状を送付しました。極めて穏当な質問だと思いますが、果して回答は如何に。
「2.相談役・顧問制度について
次は、最近ガバナンスの重大課題として浮上している相談役・顧問の在り方、特に社長・CEO経験者の問題です。会社経営に責任を有さない相談役・顧問が外部から認識できない不透明な形で不当な影響を及ぼすおそれがある点が懸念されています。そこで、当社の相談役・顧問の役割と処遇に関する基本的考え方と具体的任用条件(選任基準、任期、報酬、個室、専用車の有無等)をご説明下さい。一概に相談役・顧問の役割を否定するものではありませんが、情報開示を進め、経営の透明性を高めることが極めて重要です。」

投稿: いたさん | 2017年6月20日 (火) 23時35分

ありがとうございます。また、いたさんの質問に対する回答状況、先例として活用させていただきたいと思います。

投稿: toshi | 2017年6月27日 (火) 23時46分

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