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2017年6月29日 (木)

タカタ のどこを批判するのか?ー私の素朴な疑問

(追記あり)

昨日は、私が社外取締役を務める会社の定時株主総会が開催されまして、株主の皆様より再任をご承認いただきました。「当社は役員60歳定年制を維持しているが、社長後継者をどのように選定しているのか、ガバナンス委員会の委員長である社外取締役の●●氏から説明してほしい」との株主からのご質問がありました(やはりガバナンスに関連するご質問は増えていますね)。新たに第一三共さんの元社長さんも社外取締役として選任されました。総会終了後は、ガバナンス・コードに従って、3時間半ほど取締役研修を受講いたしましたが、その内容がとてもおもしろいものでした(また別途エントリーでご紹介したいと思います)。

さて、タカタ社の民事再生法申請、株主総会の開催ということで、マスコミでは同社に対する厳しい論調の記事がたくさん掲載されています。私もコンプライアンス経営の実現を支援する立場として、なにかコメントを・・・と思っているのですが、情緒的な批判になってしまいそうで困惑しております。

私は2年半ほど前に、「エアバッグリコール問題-タカタ側の言い分を考える」なるエントリーを書きまして、タカタ社としての正論(と思われる主張)をいくつか掲載しました。しかし、この私の疑問に対して、この2年ほどの間、合理的な反論(もしくは反論になりそうな記事)に触れたことがありません。タカタ社の日本社員の方による内部通報や内部告発もまったく報じられていないのも、このあたりに原因があるのではないかと思います。私としては、このタカタ側に立った主張へ合理的な反論が見つからなければ、堂々とタカタ社を批判することができないのではないかと考えています。

今年になってタカタ社が欠陥を認めたとありますが、それは紛争終結に向けた和解的解決のためであり、エアバック事故の根本原因は未だ明らかにされていません。ぜひとも、反論になりそうなご意見があれば、コメントもしくは私へのメールにてご教示いただければ幸いです。

(追記)

ある方から、さっそくメールを頂戴しました(どうも、ありがとうございます!)

タカタがことし1月になって、虚偽の試験データで顧客を騙したとされる電信詐欺の罪状を認めた、ということはこの「合理的な反論」にはならないのでしょうか。米司法省の起訴状によれば、顧客に提供する検査データについて、都合の悪いものを取り除いたり改竄したりする行為について、タカタ社内では「XXする」という隠語を使っており、2005年2月に「XXするしか選択肢がない」と相談しあったり、同年4月に「XXして」と若い技術者に指示したりした、そうです。

タカタの幹部社員が故意にホンダやNHTSAを騙していたのだとすれば、申し開きができない、と思います。1月に司法省からこれが発表されて、タカタがそれを認めて以降、タカタをめぐる状況は一挙に変化した、というふうに私などは見ています。でも、タカタはこれについて説明しようとしません。

そういえば今年1月に、米国でタカタ社の幹部社員ら3名が刑事訴追を受けた、とする報道がありましたね。欠陥があるにもかかわらず取引先や政府当局に虚偽の試験データを提出した、とされる件です。トヨタやVWの事件でも、情報開示が適切でなかったとしてペナルティを受けていましたが、そのような「虚偽申告」への批判という意味であれば糾弾されることは納得がいきます。またこのたびの会長さんの説明不足が批判される点も納得いたします。ただ、そこから組織風土の問題や創業家が60%の株を保有していて「モノが言える雰囲気ではなかった」といった最近の報道とが結び付くのかどうかは、ちょっと私自身もよくわからないのです。

タカタの場合はエアバックに欠陥があったことを知っていて、組織ぐるみでこれを10年以上も隠していた、ということに結び付くのでしょうか。もしそうだとすると、その「欠陥」の中身はどのようなものだったのでしょうか。それともごく一部の幹部社員による独断の虚偽申告だったのでしょうか。また、欠陥というのはタカタ社が制御可能なものだったのでしょうか。制御不能な不具合だから「助けて」と声を上げる必要があった、ということでしょうか。

それともミスがなくても「危険なもので利益を上げている企業は、原因は不明のままでも損害賠償の責めを負うべき」という考え方(危険責任法理)を、日本の企業もとらねばならない、という結論になるのでしょうか。さらに、情報を適切に開示していれば、このたびの経営破たんを防ぐことができたのか(できるとすれば、その処方せんはどのようなものか)。いったいどのあたりが「悪質」とされるのか、もうひとつよく整理できないところがあります。そのあたりのご意見がありましたら、ぜひともお聞かせくださいませ<m(__)m>

6月 29, 2017 コンプライアンス経営 |

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