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2017年6月28日 (水)

取締役会の経営判断プロセスを刻銘に記載した監査役会報告書

本日もJリーグ運営組織の経営トップに近い方がパワハラで辞任されたという記事が出ていました。国内外を問わず、経営トップや政治家がパワハラで一発アウトとなる時代になりましたね。先日、ある講演で「どんなに仕事ができる方でも、パワハラで一発退場になる時代になりました」とお話したら、ある大きな派遣会社の女性役員の方から「その言い方はパワハラを許容している人の典型的な表現ですね。パワハラをする人は、それだけで『仕事ができない』ということです」と指摘されました。

さて、本日は会社側上程議案(監査役への退職慰労金支給議案)が否決された件、基準日をずらして総会開催日を7月以降にずらす定款変更決議がなされた件等もありまして(?)、またしても株主総会関連のお話です。

コメント欄にて「金融関係」さんから教えていただきましたが、アークン社(マザーズ上場)の監査役会報告書がなかなか素晴らしい(?)内容なので、タカタ社の話題に関するエントリーを用意していたのですがこちらに変更。昨年5月に同社からリリースされた「平成 29 年3月期通期業績予想値と実績との差異及び特別損失の計上に関するお知らせ 」記載のとおり、同社が引受けた社債の実質価額が著しく低下したため、減損処理を行い、同社は約2億円の投資有価証券評価損を計上しました。そして、社債引き受けを決定した経営判断に問題がなかったのか、監査役会が監査報告においてコメントしています。以下、監査役会報告書より引用-

なお、事業報告に記載のPPC社発行の転換社債2億円を引き受け、今期中に特別損失となった件については、平成28年12月の臨時取締役会で転換社債の購入議案が上程された時に監査役会として準備、調査不足を理由に議決に反対の意思を表明しました。しかしながら、当社として低迷する営業成績を回復させるために中長期的な新しい事業の柱を模索していること、多少のリスクを取らなければ現状を打開できないこと、またPPC社に取締役を派遣し資金決済もチェックするなど統制を効かせることで当社のリスクを低減させるという取締役会の判断に一定の理解を示すこととしました。-引用終わり

監査役の方々が、ここまで踏み込んで監査意見を書くというのも珍しいですね。取締役会としては「イチかバチかの勝負に出た」というのではなく、一応リスク管理をしたうえでの判断だったということの弁明でしょうか。しかし監査役会は、準備や調査が不足しているから反対の意思を表明した、と述べておられます(ちなみに同社にはおひとり、社外取締役さんがいらっしゃいます。常勤監査役の方は「システム監査や金融庁検査などの被検査部門の責任者として対応した経験を有する。システム管理、システム監査、内部統制などについて知見がある」方だそうです)。とりあえず取締役の方々には重大な善管注意義務違反はなく適法と判断した、監査役の意見が無視されたとしても問題はない、ということかと。それとも、これは「モノ言う監査役」としての抵抗の姿勢なのでしょうか(そうとれるようにも思えます・・・)。

経営判断の法的判断は読者の皆様におまかせするとして、いずれにしましましても「攻めのガバナンス」の時代、このようなたいへん透明性のある監査役会報告書には、とても興味がございます。

6月 28, 2017 商事系 |

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コメント

すみません。アークンの監査役会の報告書が見つかりません。どこにあるのでしょうか?

投稿: 元工場労働者 | 2017年6月28日 (水) 08時06分

株主総会招集通知に記載されているものかと思います。
当該会社HP→IR→定時株主総会招集通知40p
もしくは
東証HP銘柄検索→会社名か3927で検索→基本情報→定時株主総会招集通知→40pにて公開されて閲覧できました。

代表取締役の異動や退職慰労金の辞退など目を引くフレーズが多数です。
見方によっては、まともな監査役会が機能した痕跡にも見受けられます。
それとも監査法人と監査役会の協力がうまくいったのでしょうか。


投稿: たか | 2017年6月29日 (木) 08時15分

確認できました。ありがとうございました。

投稿: 元工場労働者 | 2017年6月29日 (木) 10時56分

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